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第58話 聖女になったと報告したら王子が飛んできた

「……まさか本当に聖女になるとは思わなかった」


 私の話を聞いたシェールさんこと中身第一王子が唖然とした声で呟いた。

 あれから、精霊王様達に聖女の契を結んでもらった。

 王子に本当に聖女になったから宜しく☆と連絡をいれたら頼みもしないのに即行でうちの領土へ飛んできたのだ。

 この王子前から思っていたがフットワークが軽すぎる。


「私を聖女にして妾にするとか言ってたじゃないですか」


 私がお茶を飲みながら言えば


「め、妾とは言っていないはずだよ。

 それにまさか君がなるとは思っていなかったから、冗談だったのもあるし。

 本当に聖女になるならまた話は別だ。

 本当に聖女の称号を賜るなら一国の王子より君の方が立場が上になる。

 第三王妃などという立場で迎え入れるなど言えるわけがない。

 そんな事をすれば不敬だと神殿連中から袋叩きだからね」


 と、頭を抱えた。

 そんなに偉かったんだ。聖女って。


「じゃあ、もう現時点で私の方が立場が上なんですか?」


「ああ、そうなるね。

 かしこまったほうがいいのかな?」


 と王子が言う。

 くっ。答えなんかとっくにお見通しの癖に。


「面倒なのでそのままでいいです。

 私だって王子にこういう態度でしたし」


「そう言ってもらえるとありがたいかな」


 と、にっこにこで微笑む王子。相変わらずこの人は神経図太い。

 まぁだから相手をするのが楽で助かるのだけれど。


「それで王子。頼んでいた件ですが」


「ああ、マリエッテ嬢だね。

 調査した結果、君の言う通り真っ黒だ。

 何故かこちらにバレないように情報を隠していたようだが。

 彼女の身の回りで起こるはずだった不幸をすべてあらかじめ回避している。

 彼女も私たちと同じ前世の記憶持ちだったと考えるべきだろう。

 彼女は私より記憶を戻すのがはやかったようだ。

 3歳時点で饑饉を指摘し、父親に対策をさせている。

 そのせいで、父親や領地の者は彼女を聖女のように崇めているらしい」


 と、手早く調査書を取り出した。

 慌ててもこういうのをちゃんと用意してくれてるあたりこの王子はきっと優秀なんだろうなぁと思う。


「……それに」


「それに?」


「ゲオルグも彼女に操られている形跡がある。

 勿論これは憶測でしかなく確証はない。

 ただ、ゲオルグは加護をもっていないからね。

 操ることは可能だ」


 と、王子。


 ……ゲオルグって確か第二王子だよね。

 影薄いからすっかり忘れてた。

 こいつに婚約破棄されたのに影薄い。

 そういえばこいつにはレティが過去散々いじめられたけれど。

 加護がないってどういうことだろう?


「加護がない?」


「本来、王家の血筋はよほどの事がない限り精霊王様から加護はいただけるんだよ。

 状態異常を防ぐ加護をね。

 そして国王になったものが誓約者となれる」


「けれど20年前から時空の精霊王クロシュテイム様が行方知れずなんだ。

 王家のものがその地に訪れても気配すら感じる事ができない。

 他国に知られれば攻め込まれる恐れがあるから国家機密なのだけれどね。

 だから私以降の王族は誰一人として加護をもらえていない。

 君なら何か知っているのかと」


 そういえばそんな話を最近聞いたばかりだった気がする。

 てかゲーム上ではどうだっただろう?


 レティの死亡フラグにばかり気を取られていてそこらへんの設定をまったくメモしてなかったのが本当に悔やまれる。

 精霊王様に記憶を覗いてもらったけれどこれといって新しい発見はなかったしなぁ。

 もしかして第二王子がレティに敵意がすごかったのもマリエッテに操られてなのだとしたら。


 うん。元凶すべてマリエッテじゃねーか。


 こいつがいなきゃレティが人生に悲観などすることなく、私も身体を入れ替えられるなんて事をしないですんだ。

 カルロさんも不幸にならなかったし、領地の皆が貧困で困ることも。

 セクターさんやラディウス様やリンちゃんや孤児院の皆が、あんな不幸な道を歩む事はなかった。

 

 いままでカルロさんの後妻のせいだと思っていたけれど、裏で手引きしてたのは全部マリエッテだったとわかった今、もう何も遠慮することはない。


 


 断・罪・決・定!


 

 一度敵認定したのだから徹底的にやるよ!


 その高飛車で傲慢なプライドを徹底的に叩き潰す。


「さぁ王子!これからが反撃の時間です!

 ダンジョンに行く前に徹底的にやっちゃいましょう!!!」


 ガッツポーズで私がにんまり微笑めば、王子が笑いながらう、うん?と、頷くのだった。

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