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第49話 謝罪

「私は失礼な事を言ったようだ。

 すまなかった」


 次の日。


 私が滞在している屋敷に両手いっぱいのバラの花束をもってクライムさんがやってきた。 


「えっと、これは?」


 私が花束を見ながら聞けば


「女性を泣かせた時どうすればいいのかわからなかった。

 花が一番喜ぶと聞いたのだが……迷惑だっただろうか?」


 と、10歳も歳下の女の子の前で、情けない顔になる彼に私は申し訳なくなる。


「こ、こちらこそ申し訳ありませんでした。

 勝手に怒って勝手に泣き出して」


 私が慌てて頭を下げれば


「いや。君が傷ついたというのなら私が無神経だったのだろう。

 確かに君に強要していたととられてもおかしくない言葉選びだった」


 と言って花束を私に渡す。


「シェールも長旅で疲れていたところを無理矢理連れ出して申し訳なかったと言っている。

 約束はまた今度落ち着いてからと伝えてくれと」


「お気遣いありがとうございます。

 その、本当に私が悪いのでクライム様のせいでは……」


 差し出された花束を受け取るべきか迷ってると、後ろに控えていたミレイユが受け取った。

 どうやら貴族の間では受け取るのがマナーらしい。


「ひとつだけ言い訳させてもらいたい」


 ミレイユが花束を受け取るとクライムさんが私を見つめ


「私は君の発想力を評価している。

 車だけではなく塩の抽出方法。フリーズドライ製法。

 技術的には出来たことを誰もやらなかったのを君は見出せた。

 それはとても素晴らしい事だ。

 たとえ前世の記憶があったとしても。

 

 君の中にはまだきっとアイディアが眠っているのだろうと思う。

 それを自主的に規制して封印してしまっているのが残念に感じてね。

 私はそれが知りたかったばかりに解決案をだしたつもりだったがそれが余計だった」


「こちらこそすみません」


 申し訳なさそうに謝るクライムさんに私もペコペコ頭を下げた。

 そうだこの人はゲーム上でも言葉選びが悪くていつも誤解をあたえるけれどいい人という設定だったはず。

 あまりにも気にしていた事にクリティカルヒットしすぎてて泣いてしまった、私が失礼なだけ。

 いきなりヒステリーに泣かれても怒らず謝ってくれる所は彼は大人なんだろう。


「落ち着いたら、一度君の世界の話を聞かせてもらいたい。

 いいだろうか?」


「はい!宜しくお願いします。私もクライム様にいろいろ教えていただきたいですし」


 私が言えばクライムさんは少し嬉しそうに微笑むのだった。


■□■



「お嬢様は無駄に責任感がありすぎなのです」


 カルロさんセクターさんミレイユ、私というメンバーで食事中ミレイユに突っ込まれる。

 う、やっぱりミレイユに怒られた。


「大体何なんですか、そのネガティブ思考は!

 加護の件といい、車の件といい、お嬢様はそうやってすぐ悪い方向にばかり考える!

 いいですか、便利なものを発明してそれを悪用されたとしてもですよ!?

 悪用したほうが悪いのです!発明したほうが悪いなんて理屈があるわけないじゃないですか!?」


「そ、そうかもしれないけど……」


 私が口ごもれば


「お前なぁ。なんで素直に心配だからと慰められないんだ」


 セクターさんが突っ込む。


「仕方ないでしょう!?そういう性格なのですから!?」


「まぁ、もういいじゃないか。

 レティも長旅で疲れてるんだ。

 今日はゆっくりしよう。

 精霊王様には許可はとってある。

 領地の事も心配ないから」


 カルロさんのセリフに私は頷いた。

 どうも王都に来てから少し熱っぽい感じもある。

 加護があるから病気にはならないはずだから気分的なものだろうけど。

 ちょっといろいろありすぎて今日はゆっくりしたい気分。


 今日はベッドでゴロゴロしてよう。


 私は心に誓うのだった。

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