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第4話 パンがないならお菓子を食べればいいじゃない

 パンがないならお菓子を食べればいいじゃない。

 某有名人が言ったとされるその言葉。

 まぁ実際、マリーアントワネットはそんなことを言ってはいないらしいのだが。

 問題点はそこじゃない。


 そうだ。

 火がないなら凍らせればいいじゃない。


 なんでこんな事に気付かなかったのだろう。

 図書館で一人ウンウン唸りながら考えれば、急に私は思い出した。


 塩って凍らせてもとれるんだぜ(ドヤァ と。


 い、いや皆知ってるんだけど、ここは漫画の主人公みたいにカッコよく知識チート扱いみたいな方向でお願いしたい。


 そうだよ!凝固点だよ凝固点!


 海水を冷凍庫で凍らせると、凍った水分に押し出されて塩分がでてきちゃうって理科の授業でやったじゃない!

 なぜこんな事を私は忘れていたのだろう。

 確か水の凝固点より塩の凝固点の方が低いんだ。

 だから北極の氷もほぼ真水で、塩分は押し出されて下の方に沈殿していくと何かのテレビで見たことがある。


「そうだ!凝固点!」


 私が思わず一人でつぶやけば。


「おや、起きましたか」


 と、ラディウス様。

 ……どうやら考え込んでいたのを居眠りと勘違いされたらしい。

 まぁ、確かに記憶が戻る前の私は本を読むとすぐ爆睡していたけど。


「ラディウス様!ちょっと出かけてきます!」


 海水とってきて早速魔法で試さないと。

 私がダッシュで立ち去ろうとしたとき。


「あーレティお嬢様遊びにきてたのー?」


 と、声をかけてきたのは、神殿の孤児院の子供達だった。




 ■□■




「あれ、リンちゃんたち。

 皆揃ってどこか行くの?」


 声をかけてきた孤児院の子供達は全部で4人。

 籠をもってお出かけの準備をしていた。

 小さいロロちゃん、同い年のリンちゃん、一つ年上のリカルド、一番年上のグレンお兄ちゃん。


「うん。これから落ち葉拾い。

 セクターさんのところで買い取ってもらうの」


 と、ニコニコ顔で答える。

 この孤児院の子達は皆いい子で、よく孤児院のお手伝いをしていた。

 精霊の森は精霊王様のモノという考え方で採れるものは落ち葉や落ちた枝くらい。

 ほかは木の実一つでも取るには精霊王様の許可が必要となる。

 なので孤児院の子達がお小遣い稼ぎをするのは落ち葉を集めるくらいしかできないのである。


「お嬢様はどこ行くの?」


「うん。港に行こうと思って」


 私が言えば、ラディウス様が


「そうだね。グレン。レティ様一人で港は危険だからついて行ってやってくれるかな?」


 と、一番年上の孤児院の子に話しかける。


「はい。わかりました。行きましょうレティ様」


 そう言って年上のグレンお兄ちゃんがにっこり私にほほ笑んだ。

 黒髪のおとなしそうな男の子。

 年は12歳位だと思う。

 

 普通なら孤児院の子と領地のお嬢様が!と思われるかもしれないが。

 この領地辺境地すぎて、余所者がいない。

 陸側の通路は精霊の森を通り、海側も魔の海流があるため他所から誰かがくることもなく、領地のものが近海で漁にでるくらいしかできないのだ。

 王都とは陸地続きなのに精霊の森があるせいで陸の孤島状態になっている。

 よってほぼ全員が顔見知りであり誘拐とかの心配もない。

 そこらへんは他の領地よりたぶんアバウトなのだと思う。


 ……他の領地はわからないけど。


 この領地に限っていえば漫画や小説のような確たる身分差はあまりない方だろう。

 私は孤児院の子達に連れられて館を後にするのだった。

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