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第46話 まさかのヒーロー登場

 王子に案内してもらったが王都はやっぱりすごかった。

 高い建物も多いし、街並みも綺麗で人の数も多い。

 貴族専用の区画ということもあるのだろうけれど、センテンシア領とは違いお店もこじゃれた建物だ。

 風景としては中世ヨーロッパ風だ。

 ちゃんと馬道と歩道もわけられており、歩道を歩く人はとても多い。

 うちの領地のようにポツンポツンと人が歩いてるのとは全然違う。

 ああ、もうしばらくぶりに感じる都会感だよ。

 ちょっぴり日本にいた頃を思い出す。

 などと道行く人や建物に感動していれば立派な貴族の屋敷のような場所に到着した。

 それもでかい。

 超でかい。

 ベルサイユ宮殿くらいでかい。

 これは何の建物だろうと、王子を見れば王子はおかしそうに笑って


「さぁ、つきましたよ。お嬢様」


 と、手を差し伸べた。


「え、誰のお屋敷ですか?」


 私が聞けば王子は微笑んで


「君が行きたがっていた魔道具の専門店だよ?」


 と、おかしそうに目を細めるのだった。


 ■□■


 王都で一番品揃えがいい魔道具屋さんは、物凄く豪華な建物だった。

 王族が住んでると言われてもおかしくないほどの豪華な屋敷がまるまる魔道具屋なのだ。

 入るには貴族の身分証が必要とかでシェールさんと一緒にいれてもらえた。


「凄い広さですね。警備も物凄い数ですし」


 美術館のように商品が立ち並ぶお店の中で巡回する兵士たちを見つめ私が言えば


「うん。貴族レベルでないと買えない魔道具ばかりだからね。

 ダンジョンで手に入れた高純度の魔石や素材なども全部ここに集められている。

 ドラゴンの牙とかワイバーンの鱗とか伝説級のものまでね」


「……それは凄いですね。

 どうやって倒したんですか?」


「まさか、人間が倒せるわけがないじゃないか。

 老衰や飢餓で死んだドラゴンやワイバーンだよ。

 運良く見つけたものさ。

 それでも手に入れたのは300年前のものだけどね」


 そう言って魔道具の材料がズラリと並べられた部屋につく。


 そこには所狭しと教科書にしか載ってないような素材がずらりと並んでいた。


「凄いですね」


 と、キョロキョロする私。

 でもお値段を見るとうちみたいな弱小領地が買えるような物じゃない。

 うちの領地がだせる金額じゃないのだ。


「……ふむ。あまり興味がないようだ」


 私を見て、王子が言う。

 く。バレたか。


「買える値段じゃないですから。

 大量生産を考えるとこーもっと庶民的に手に入る素材じゃないと」


 私の答えに王子は面白そうに笑うと


「最初から大量生産が前提とは君は考える事が根っからの商人なんだね。

 私の知ってる魔道具師達はここに来ると目の色を変えるのだけれど」


「シェール様は私を買いかぶりすぎです。

 そこまですごいものを作りたいわけじゃありませんから」


「じゃあ何が作りたいんだい?」


「こちらの魔道具でどういうことが出来るのか知りたいです。

 この技術があるならあれが再現できるんじゃないかとか想像するのが楽しいですから!

 作るのは詳しい人に丸なげします!」


 そう、温風がだせるならドライヤーが作れるんじゃないかとか。

 廻る歯車ができるなら扇風機とかうまくいけば船のスクリューとか作れるんじゃないかとか。

 妄想して実現に向けて頑張る過程が一番楽しいのであって。

 まぁほぼ発想だけで作成はラディウス様に丸なげだけど!

 

 ぐっと拳を握りしめれば、ミレイユに睨まれる。


 くっ。お嬢様らしくないと言われてもお嬢様教育をうけてないのだ。

 どうせ精霊様の加護で辺境領地から出ないし!婿貰う立場だし!と、サボりまくった結果である。

 今更お嬢様やれと言われても無理なものは無理。


「成程。じゃあ実物を見たほうが楽しいかな?

 こっちだよおいで」


 と、王子に案内されたのは山ほどある魔道具の区画だった。



 ■□■


「……君がレティシャか」


 王子に案内された先にいたのはどこかで見たような銀髪のメガネの美形さんだった。

 年の頃ならカルロさんと同じくらいだろうか?


「……あの?」


 知らない人に困って私が王子を見れば


「魔道具師のクライム・メル・ランスだ。

 将来的には君の領土に車開発で行ってもらうことになっている。

 今のうちに顔をあわせておいたほうがいいと思ってね」


 と、にっこり微笑んだ。


 クライム・メル・ランス。


 ……はて?どこかで聞いたような?

 疑問に思ってミレイユの顔を見れば、ミレイユが私の耳元で


「ヒーローの一人です」


 と、告げる。

 うん。そうだ。思い出した。

 不器用設定ヒーロークライム・メル・ランス。

 魔法学校の教師で主に魔道具担当。

 攻略対象の一人だ。


 ……私は、攻略したんだっけ?

 あまり思い出せない。


「……何か?」


 眉根をよせて私をガン見するクライムさんに私は首を横にふって


「い、いえ、何でもありませんっ!!」と手を振った。


 な、なんでよりによって攻略対象の一人がくるかな。

 チラリとシェールさんを見ればニコニコ顔で?マークを浮かべている。

 ……まぁ、確かに王子に攻略対象までは教えてないので知る由もないけれど。

 せっかく学園に行くのをやめたのに攻略対象の方から来るとかなんの罰ゲームだろう。

 まぁヒロインじゃないから強制的にゲームがはじまるとかはない……よね?


「では、魔道具について説明しよう」


 と一人不安な私を他所にクライムさんが私たちを案内するのだった。



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