第41話 断罪
殺せ!!殺せ!!
反逆者を殺せ!!!
大合唱が聞こえる。
ここは処刑台。
私と父のカルロは並んで両手を縛られて歩いていた。
久しぶりのお父様との再会は処刑台だった。
学園生活中は義母にお前の家はもうここにはないと言われ、マリエッテの元に身を寄せていたからだ。
精霊王様に報告に一度領地に帰らないと魔法の属性がなくなってしまう縛りがあったため、年に一度は領地へは帰省していたが、お父様に会うことも叶わなかった。
だからこそ、自分の帰る場所を提供してくれたマリエッテに心酔してしまったのだが。
久しぶりに会う父は――変わり果てていた。
酷い白髪でやせ細り、自分が知っている父の面影がまったくない。
目に生気はなく、まるでミイラだ。
義母に愛されていたから、操られた状態でも大事にはされていると思ったのに。
何故こんな惨い姿なのだろう。
声をかけてみようか迷うけれど。
また幼い時のようにまるで汚いモノを見るかのような目で見られたらと思うと、声もかけられない。
死刑台に並べられた二つのギロチン。
ここでお父様も私も処刑される。
やってもいない反逆の罪を着せられて。
――全部私のせいで。
殺せと大合唱する民衆を前に、私は泣きたい気持ちをぐっと抑えた。
泣いたところで何もかわらない。
だったら最後くらい我が領地の恥にならないように、毅然と死のう。
そんなことが何の意味も持たないことは分かっている。
きっと泣きわめこうと、毅然としたまま死のうと、悪評が流されるのはかわらない。
でも、これは最後の私の意地なのだ。
ギロチンに首をかけられ、私とお父様が並ぶ。
第二王子が何か言っているが、私にはもう聞こえていなかった。
もう、この世に未練などなにもない。
私を慕ってくれたあの子の行く末が心配ではあるけれど。
あの子は異界の力がある。
国とて彼女の力を手放したくないはずだ。無碍にはできない。
だからこそ、あの子がいない夏休みの間に私を処刑するのだろう。
あの子が止めに入らないように。
あの子は強い。精霊王様達があの子を愛している。国王よりも強い存在だ。
だからきっとマリエッテの嫌がらせなどには屈しないだろう。
第二王子が死刑を宣告し、私がふと、父の方に視線を向けたその瞬間。
父が私の方を見て、何かを呟いた。
その目は昔の優しい父の瞳。
最後の言葉はー
■□■
がばっ!!!!!
私はそこでベッドから飛び起きた。
気が付けばいつもの私の部屋。
まだ景色は薄暗く、夜はあけていないらしい。
またレティの昔の夢を見たみたい。
夢の中で聞こえてなかったはずなのに、何故か父の最後の言葉が聞こえた気がした。
ごめん、レティと。
私はぜぇぜぇと荒い息を整えた。
最近、年齢が上がったせいか、思考が大分昔の日本人だったころに戻りつつあるのに。
なのに、何故かレティだったときの夢をみる回数は幼い時より増えている。
よりによって、なんで父がダンジョン探索に向かうのが決まったこのタイミングでこんな夢を見るのかな?
事態はいい方向へと進んでいるはずだ。
精霊王様の加護をもらい。
領地も借金に悩まされる事もなく義母予定だった貴族も精霊王様達に殺された。
第一王子がうちの領地を全面的にバックアップしてくれることになったし、ダンジョン探索から第一王子が無事に戻ってくれば、もう第二王子が王位に就ける余裕はなくなる。
私が断罪される未来になりようがない。
なのに何だろう?
夢のせいか妙に心がざわめく。
私は大事な何かを見落としているのだろうか?
本当に私は破滅の未来を回避できているのかな?
私は大きくため息をつくのだった。











