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第3話 何という事でしょう

 そうだ。

 忘れていた。


 このゲーム、一人が使える属性は一つまでだった!?

 だから転生してきた主人公は全部の属性が使えてsugeeeeというゲームだったのだ。


 火の魔法で一気に釜炊きして塩を大量生産♪

 知識チート!!!


 などと出来るほど世の中は甘くないらしい。


「えええええ。じゃあ私氷魔法しか使えないの?」


「ええ、そうなりますね。

 授業でやったはずですが?」


「う、えーっと。

 それはそれとして……。

 じゃあ、私の火の魔法で大量に塩を作ろう計画がダメになっちゃう」


 私が言えば、ラディウス様は微笑んで


「ああ、お父様の役に立ちたいということですか。

 お嬢様は本当にお父様思いですね。

 きっと喜びますよ」


 言って頭を優しく撫でられる。

 うん。思いっきり子供扱いだ。

 まぁ実際最近まで6歳の子供だったし仕方ない。


「塩は確かに海水から取ることができます。

 ですが、この領地は雨が多い地域です。

 天日干しはできませんし、うちは石炭などの燃料はありません。

 精霊王様の森に囲まれているため木々の伐採などはもっての他です。

 燃料は精霊王様にお許しを得て、枯れ草や枯れ枝などを賜るかそれ以外は全て外から買い取っている状態です。

 塩を買うお金よりも燃料代のほうがかかってしまいます。窯炊きなどはできません」


「えーーと。じゃあ魔法でちょちょいと」


「うちの領地は氷の魔法の領地です。

 火の魔法を使える者は就職先も多いため、うちのような地域にはこないでしょう」


 と、かなり無情な事を言う。

 あれ。何だろう。いきなり積んだ。

 魔法でチートする予定だったのに。


 これはあれだ日本の知識チートで!!

 と、考えてみるが……



 あれ?よく考えたら、私そんなに頭よくない。



 うん。無理だ。

 ここでweb小説の主人公なら日本の技術俺tueeeできるはずなのに。

 私そんなに頭よくないわ。

 今すぐ役立つ知識なんて何一つ持ち合わせていないし、思いつきもしない。


 あああああ。やっぱり勉強って大事。

 やりたい事をやるのが一番だとか言うけれど、やっぱり頭よくないと何もできない。

 ううう、火の魔法でぱぱぱっと塩を♪とか簡単に考えてた。

 もちろん現地の人だって窯炊き位知ってるに決まってるじゃないか。


「そ、それじゃあ昔からここに住んでいた人はどうやって塩を手にいれてたの?」


 私が聞けば


「わかりません」


 と、キリッと答えられる。


「わ、わからないの?」


「この領地は昔エルフが使っていた城塞をそのまま使っています。

 人間が住み始めてからまだ100年しかたっていません。

 人間がこの地に移りすんだ時にはすでに塩は輸入していましたから」



 ああ。そっか。

 この土地は元はエルフのすみかだったのだ。

 けれど100年より前。

 ある日エルフは突然姿を消した。

 住んでいた城塞をそのまま捨てて。

 元々人間とは交流がなかったため、何故エルフが姿を消したのかは不明である。

 噂では神々とともに別の世界に去ったのだとも言われている。

 この土地はその後国が自分たちの土地と言い張るために、王位争いから脱落した王族を島流し的に住まわせて現在に至る。

 残念ながら領主の一族は王族の血を引いていないらしいけれど。

 私は母が王族の血を引いていたらしい。

 確か授業で習ったや。


「エルフ達はどうやって手にいれていたんだろう?」


「さぁ、どうでしょうか。

 エルフは人間と交流がありませんでしたから。

 彼らの方から人間との交流を拒絶していました。

 そもそも彼らの身体が塩分を必要としていたかわかりません。

 それに採れる魚介類から塩分は摂取できますから。

 私たちも輸出を考えなければ、塩分は魚からの摂取で足ります。

 ですが産業が何もないため外貨を得る手段が干物を売ったりするくらいしかありませんので。

 海水で作ったのでは塩分濃度がまばらになって輸出できるかも微妙になります」


 と、ラディウス様。

 確かに。

 うちの領土も自分たちの生活だけなら魚などで塩分は摂れる。

 だが、塩は冬の保存食・そして外貨を稼ぐ干物などの輸出品のために必要なのだ。

 うちは精霊の森に囲まれているため、極端に外貨を稼ぐ手段が少ない。

 精霊の森はガチの精霊王様が住んでいるため、森からの恵みは領地内の分なら許されるが外貨を稼ぐために乱獲することは禁止されているからだ。


 塩を規制されるとうちは外貨を稼ぐ手段がなくなってしまう。

 このまま手をこまねいていたら、領地が借金苦に陥りレティの父親が身売りで結婚。


 後妻に操られて、私はそのまま王族に売り飛ばされ破滅街道まっしぐらだ。


 ううーん。どうしよう。


 私は大きくため息をつくのだった。

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