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第38話 本来の年齢

「所で君の本当の年齢を聞いてもいいかな?」


 シェールさんこと王子に聞かれ私は紅茶を飲む手を止めた。

 会話中自然な流れで聞いてきたからこの王子抜け目ない。

 あれから何日か経過し、王子は何故か私と話したがるので王子の相手はもっぱら私になってしまっている。

 王子があの後、これからの手順をいろいろ決めないと!と、ぞろぞろと騎士を連れてきたせいでカルロさん達がその対応に追われているからだ。

 どうやら精霊の森前で第一王子直属の部下は待機していたらしく、精霊王様のお許し得て、領地内にはいってきたのだ。

 フリーズドライがどの程度この領地で対応できるのか。

 王都からどれくらい支援をしないといけないのか話し合うらしい。


 その場に王子本人がいないってどういうことなのさと思うのだけれど。

 最終判断をするだけの存在だからと、笑ってごまかされた。

 

 カルロさん不在の間にきっと私から何か探ろうという魂胆なのだと思う


 カルロさんは口が硬いし。

 私はすぐ口を滑らせるから。


 この王子ニコニコ顔で結構やることはしたたかだ。

 まぁだからこそ王子様なのだろうけど。

 見抜く目が鋭いというか、私が口を滑らせやすいからなのか。



 ……たぶん。両方なのだろう。


 

 い、言い訳させてもらうなら、記憶がごっちゃになってるから口を滑らせやすいだけで、本来の私はこんなに口を滑らせやすくなかった……はずだと思う。


 ちょっと思い出せないので自信がないけれど。


「王子の少し下くらいです

 それ以上はノーコメントです」


 と、私が答える。


 王子は28歳だから、4歳差だ。

 こちらで生きている年数を加えれば年上ともいえるけど。

 幼児をしていた年齢を実年齢に数えるのは違うと思う。

 まぁ6歳からの4年を年齢に数えるならば同じになるけれど。 


「なるほど。道理で考え方が大人びていると思った。

 それにしても残念だ。

 君が本来の年齢なら、結婚を申し込んだのだけれど」


 との王子の言葉に私は思わずティーカップを落としそうになる。


「はっ!?」


「うん?嫌かい?」


 ニッコニコで答える王子に私は顔をひきつらせて


「嫌に決まってるじゃないですか!

 私は平凡、平穏に暮らしたいんです!

 貴族のドロドロした権力争いだけには巻き込まれたくありませんし!!」


「大丈夫第3王妃としてだから。

 過去にも精霊王と契約している后はいたが、王都にでてくるのは、本当に稀だった。

 ほとんどこの領地にいても構わないよ。

 名目上の夫になるだけさ」


 あ、それならちょっと惹かれるかもしれない。

 第二王子が手出ししてこれなくなるから。


「ただね。娘が丁度9歳でね。

 私が同じくらいの女性と結婚をしたら口をきかないというんだ」


 はぁーっとため息をつく王子。

 なんだ王子も親馬鹿なのか。


 カルロさんの顔が浮かんでなんだかおかしくなる。

 そういえば本来の年齢でいえば丁度カルロさんと同じくらいだ。


 そっかー。本来の体ならカルロさんとも付き合える年齢なんだ。

 ちょっとその発想はなかった。


 うん。カルロさんなら理想の旦那様だよね。

 優しいし。子供思いだし。奥さんも大事にしていたらしいし。


 ……って、何を考えてるのかな私は!?


 カルロさんと付き合う姿を想像してしまい、頭をぶるぶると振った。


 いやいやいや


 カルロさんが優しいのはレティの身体だからであって、私だからじゃないし。

 そもそも父と娘だしっ!!!!


「どうかしたのかい?」


 一人悶絶していると王子につっこまれる。


「え、いや!!!

 その王妃同士の争いとか想像したら怖いなぁっと思って!!」


「……確かに。

 女同士の争いほど醜いものはないよね」


 と、悟った事をいってお茶を飲み出す王子。

 王子もいろいろあったのだろうか。



 に、してもカルロさんとか。

 私はちょっと胸が痛むのを感じた。


 たぶんこの感情は恋愛感情じゃなくて親子愛なのだろう。


 ……もし親子愛じゃなかった場合。


 それだったら最悪だ。

 この体のままじゃカルロさんに付き合ってと申し込むことすらできない。


 いや、申し込めばたぶん受けてもらえると思う。

 別にうぬぼれているわけではなく、カルロさんなりの罪滅ぼしで無理にでも付き合ってくれるだろう。

 流石に娘の身体は抱けないと身体の関係は拒まれるかもしれないけれど。


 でもそれじゃあ、付き合ってるといえるのだろうか。


 無理矢理付き合わせてるの間違いじゃないだろうか。


 カルロさんが私に対する負い目がある限り、私達は対等になれないのだ。


 愛してるの言葉をもらっても、それはレティの身体だから?罪滅ぼしだから?と疑念を抱いたままでは私の方もつらい。



 これはきっとレティの身体に残ったパパへの想い。

 恋愛感情なんかじゃない。



 私はそう言い聞かせて、再びお茶を飲むのだった。

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