表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/113

第32話 10歳になりました

 あれから季節は巡り数年が経過した。

 領地は雪がすっかりとけ春になり私は10歳になった。

 センテンシア領も精霊さんが手伝ってくれる&精霊王様の全面バックアップやら塩が思ったより売れたりとかしたおかげで経済事情もかなり改善出来たと思う。


 領地内の領民が住む建物も精霊さんたちに資材を作ってもらい綺麗に建て直したりもした。

 豪雪に耐え、室内が暖かくなるように大工の人やラディウス様とかとよく相談して壁の素材から屋根の形から考え抜き材料を用意し設計して建て直したのだ。

 領地の人も自分のボロボロだった家が綺麗になると建て直しに我先にと参加して手伝ってくれた。

 男の人は領地改善の手伝い&女性や子供、年寄りは塩の生産と役割分担をして3年くらいで領地の改善ができたのが大きい。

 建物はちょっと私の趣味が入っていたりするけれど、収納が多く、動線が考えられてて住みやすいと領地の人に褒めてもらった。 

 某建築の匠が家を建て直す番組を見て突っ込みをいれまくって仕入れた無駄な知識が役立ったともいえる。

 無計画に乱雑に建っていた建物の位置も整備し、ちゃんと雪かきをした雪を除去できるスペースやら雪捨て場なども作ってある。

 それでいて攻め込まれても一気に館にまで攻め込まれないような位置に建物を配置した。

 道も馬車が通りやすく広く整備したり、エルフが使っていた下水道も修繕し使えるようにしたため4年前とは比べ物にならないくらい街並みも綺麗で住みやすくなった。

  外貨が必要な時は精霊王様が貴重な木の実を分けてくれているので特に砂糖とかを売らなくても前より豊かだ。


 レティの記憶ではもう10歳時点で借金まみれになり、カルロさんが仕方なく後妻を迎えていたので、もう歴史は変わったとみていいのかもしれない。


 カルロさんを薬漬けにするはずだった後妻はといえば、精霊王様たちに裁きをうけた。

 精霊王様曰く、本来なら国ごと滅ぼす所を私に免じて後妻を殺すだけで許してやろうとの事。

 詳細を皆に聞いてみたが、皆話を逸らすだけだったのでかなり酷い事をされたのかもしれない。


 そんなことを考えつつ、ミレイユと中庭で魔法の訓練をしていれば


「34歳だぞ!?レティの結婚相手になど考えられないっ!」


 カルロさんの声が聞こえてくる。


「そりゃまぁなあ。

 だがレティは、精霊王様の加護のせいでこの領地を出られない。

 レティの婿になれば領主確実だ。

 そりゃ、各地の領地の2、3男坊から申し込みがある程度くるのは想像できただろう」


「でも!30だぞ!30!

 私より年上じゃないか!!

 抗議だ!抗議してくるっ!!」


「落ち着け親馬鹿!!!」


 などと渡り廊下で口論しているカルロさんとセクターさんに


「相変わらずの親馬鹿ですね」

 

 と、ミレイユからツッコミが入り。


「パパ、外に聞こえてる」


 と、私も突っ込んだ。


「レ、レティ!?」


「何だお前らいたのか」


 驚くパパと、ああ、助かったという表情のセクターさん。


「またお見合いの話?」


 私が聞けば


「ああ、今度は南方の地域の領地の3男坊だ。

 モテモテだなレティ」


 とセクターさんが言えば


「却下だ。絶対会わせるつもりはない」


 不貞腐れた表情で言うカルロさん。


「別に30は十分範囲内だろう。

 相手は再婚だ。ありえない年齢じゃない」

 

 セクターさんが言う。

 私にすればありえないけれど。この世界では再婚もふつうなのでこの年齢差の結婚も普通にあるとか。

 というのも、母親側が子供を生んで死亡というのも多いらしいのだ。

 ……レティの母親がいないのもレティを生んですぐ死んでしまったから。

 魔法がある世界なのに回復できないのかと聞いたのだけれど。

 子供を産んだ事で体内で子供に供給していた魔力が行き場を失い、暴走する。

 そしてその魔力の暴走に耐えられなかった親は死んでしまうのだとか。

 この世界では魔力の高い貴族は子供を生むのは命懸けで、妻死んじゃったから次と結婚☆も普通の感覚なのだとかで。

 薄情すぎるとも思うのだけれど、この世界の貴族は血筋が絶えるとガチ使えなくなる魔道具とかがでてくるので子孫繁栄のためには仕方がない事らしい。



 もちろんそれは私にも当てはまるわけで。

 ちょい子供生むのが命懸けすぎて怖い。

 加護はあるけど、外的要因のダメージじゃないので加護無効でした!とかあるかもだし。

 なので結婚はできなくてもいいと思ってたりする。


「20代ならともかくレティはまだ10歳だぞ!?それに私より年上は絶対却下だ」


 と、カルロさん。なんだかカルロさんなりに親の威厳があるらしい。


「まぁ、確かにレティというよりここの領主になりたいのが見え見えだしな」

 

 セクターさんがぼりぼりと頭をかいた。


「当たり前だ。

 大体、私の年齢より跡取りの年齢の方が上とか何の冗談だ。

 私より年下以外は認めない」


「でもなぁ、いつか何とかしないとな。

 レティだって一生独身ってわけにはいかないだろう」


 セクターさんの言葉に


「え?私一生独身でもいいよ?」


 と、言えばカルロさんが勝ち誇った顔をして


「だ、そうだ。セクター。

 レティの意思を尊重するべきだ。

 跡取りはうちの親戚から養子でもとればいい。

 大体、恋愛の末の結婚なら認めるけれど、わざわざお見合いなどする必要なんてない。

 私だって彼女と出会ったのは学校で……」


 言いかけて、カルロさんがハッとする。


「あ、ああ。ごめん。

 レティは学校には行かないのだったね」


 と、申し訳なさそうに言うカルロさんに


「うん!ここでパパ達といる方が楽しいし!」

 

 と言って私は微笑むのだった。



 ■□■



 気を遣わせちゃったかなぁ。

 自室でベッドに横たわり私は考えた。


 最近勉強が物凄く楽しい。

 嫌い嫌いと逃げ回っていた昔が嘘のようだ。

 ミレイユに実践の魔法を教わり

 ラディウス様に魔道具の作り方の基礎を学び

 カルロさんに簡単な剣技の訓練を受けている。


 これで学校に行けばもっと専門的な知識を学べるのかと思うと、ちょっと心惹かれなくもない。

 ゲーヲタの性でやっぱり異世界に行ったらそれなりに魔導を極めてみたいという欲求にかられてしまう。

 それにレティは転魂の術を王都で学んだのだ。

 どうやってかは知らないけど。

 もしかしたら日本に帰れる方法が見つかるかもしれない。

 王都に行きたいと思うこともある。

 

 でもやっぱり。


 まだ確実に死亡フラグを回避したわけじゃない。


 時々見るレティの過去の夢。

 第二王子に虐められていたり、カルロさんが私を汚物を見るかのような目で見たり。

 夢なのに私まで辛くなるのだ。


 あんな思いをするくらいなら、学校になんて行きたくはない。


 だから決して無理をしているわけではないのだけれど。

 カルロさんたちも私がちょっと学校に行きたいと思っているのに気づいてるみたいで気を遣わせてしまっている。


 せめて第二王子とマリエッテさえなんとか出来ればなぁ。

 第二王子は4歳上なので学園にはいないのだけれど、マリエッテの後ろ盾だし。

 マリエッテも表面上はニコニコしてて、影で人を操ってこちらに嫌がらせしてくると思うとうんざりする。

 学校の虐め程度ですめばいいが、相手は領地が金持ちな分、こちらに嫌がらせし放題なのだ。

 下手をすれば領地に危害が及ぶかもしれない。

 そんな危険を冒してまで行きたいとは思わないし。

 

 まぁ、あの二人がいないのなら学校も行ってみたいのも確かだけれど。


 そういえば私が昔書いた記録ではそろそろ新しいダンジョンがラムデシア王国内に出来るはず。

 そこで第一王子が死ななければ、第二王子とマリエッテの学園内での影響も小さくなるかもしれない。

 でも、それはそれでまた別の問題がでてきちゃうけれど。


 はぁー世の中うまくいかないな。


 私は心からため息をつくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

■□■宣伝■□■
★書籍化&漫画化作品★
◆クリックで関連ページへ飛べます◆

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵

表紙絵
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ