第28話 精霊さん
『嬉しい嬉しいやっと手伝える!』
『受けた恩かえす時。僕たちの力の見せ所!』
――結局。
ラディウス様の「小精霊達は頑固なので手伝わせないと悪戯をはじめるかもしれません。
仕事を与えたほうがマシでしょう」
の一言で手伝ってもらう事になった。
が、何故かOKをしたら氷の精霊王様の氷の精霊達の他に、火の精霊や緑の精霊、土や光の精霊達まで交ざってくる始末である。
100人くらいの小さい精霊さんたちが平原でわしゃわしゃと働いているのだ。
まるで子供がはしゃいでるように見えなくもない。
「あれですね、まるで御伽噺をみているかのような光景ですね」
と、ミレイユが精霊達の行動を黙って見つめ、
「お前こんな事外にばれたら、この地が聖地とか祭り上げられるかもしれないぞ」
と、セクターさんが腕を組んだ。
「凄い光景だね」
と、カルロさんも冷や汗をかいている。
精霊王様がOKをくれた平地部分の耕しをやってくれてる精霊さんたちは凄かった。
土の精霊がぽんぽんと耕し、氷や火の精霊は力仕事で邪魔な石などを除去。
そしてそれが一通り終わると
光の精霊と緑の精霊が田畑一面に甜菜や小麦などを実らせて、ほかの精霊達が収穫し、それをまた砂糖にする作業までやってくれている。
みんなワイワイ楽しそうだ。
あれ、ひょっとしてこのまま砂糖をいっぱい作ってもらえば私たち大富豪になれるのだろうか?
ちょっと他の精霊王様の加護をもらってきたほうがいいのではと心が揺らぐが……でもなぁ。
漫画やアニメとかで、過剰な力をもった人って結局ろくな末路を迎えないのがお約束だし。
もうすでに光の精霊王様の無敵の加護と、魔法の攻撃力がアップする氷の精霊王様の加護がある。
火の精霊王様は物理的攻撃力の加護だし緑の精霊王様の加護は回復魔法の効果アップだ。
緑の精霊王様の加護は……欲しいかなぁと思ったりもするけれど。
私が回復魔法を使えばどんな傷や病気も治ると知られれば治してほしいひとが大挙して押し寄せてきてしまう。
この土地は、昔から過剰な力を持たずひっそりと暮らす事を選んでいる。
だから領地の人はみんな人がいいし、表立って悪い人なんて皆無だ。
ここで私が凄い力をもってしまえば、聖地とかになって人がいっぱいきてしまい、今までの環境が大きくかわってしまうだろう。
それは避けたい。
セクターさんの言うとおり、小さい領地なりの幸せが一番いいと思うから。
■□■
「まぁ、精霊達は一週間もすれば飽きて帰るとラディウスがいっていたから、砂糖を作らせておけばいいだろう。
精霊王様の力であの平原は他の者には野原にしか見えないようにしてくれるとのことだからな。
他の領地の連中にバレることもない」
と、セクターさんがはぁーっとため息をついた。
ラディウス様の話だと精霊は気まぐれなので戦力としてはあてにしてはいけないとのこと。
たまに手伝ってもらえればいいな、程度で考えておかないといけない。
「砂糖なら腐ることもないだろう。第二倉庫に保管しておこう」
と、カルロさんが考え込みながら図面を見ている。
「だが精霊達が耕してくれたのは助かったな。
これで大分作業が早くなる」
「魔物が入れないように結界をはってくれたみたいですし、至れり尽くせりですね。あとは柵で囲うだけです」
とミレイユ。
「これも皆レティのおかげだな」
ワシャワシャとセクターさんが私の頭を撫で、途中でやばっという顔をする。
「あー、こういうの止めたほうがいいか?
つい癖でな、悪い」
気まずそうにいうセクターさんの顔がおかしくて
「ううん、大丈夫。
嬉しいよ」
と私は微笑むのだった。











