第22話 甘えるだけじゃだめ
「パパ、パパ」
寝かしつけの絵本を読んでいる途中のカルロさんに呼びかければ
「あ、ああ。ごめんレティ何だい?」
と、微笑んだ。
あれから、私の書いたメモを読む作業も終わり、みな少し休もうと部屋に戻ったのだけれど。
カルロさんが見るからに元気がない。
何をするにもうわの空で、心ここにあらず状態なのである。
本を読んでくれてたその手も途中で止まってしまう。
そりゃ、6歳の私から見ればカルロさんは大人に見えるけれど。
まだ24歳なんだよね。
私の日本人だった時の年齢。
自分のせいで精霊王様が殺されてそのせいで娘も酷い人生を歩むと知ればショックを隠せないのも無理がないのかも。
って、あれ?
私大分思考が日本人よりに戻ってきてるかも?
「えーっと。もう絵本大丈夫!
パパも疲れてるみたいだからもう寝たほうがいいよ!」
私が言えばカルロさんは微笑んで
「うん。じゃあそうしようかな」
そう言ってそのまま横になる。
最近は私が寂しがっていたせいか寝かしつけしたあとカルロさんが一緒に寝てくれていた。
抱っこされながら寝ると物凄く安心できたから。
こちらの世界ではわりと普通の事らしいのだけれど。
うん。でも。
何だろう。
ちょっとドキドキするのは思考が戻ったからだろうか。
なんだか自分でも驚く程精神が不安定だ。
昨日まで子供だったのに今日はいきなり大人だったり。
私は一体どういった状態なのだろう。本当に嫌になる。
あと一回精霊王様に見てもらえれば安定するのかな。
不安になってカルロさんを見れば、バッチリと目があってしまう。
「うん?どうかしたのかい?」
カルロさんが聞くので
「う、ううん。何でもない」
と慌てて目を逸らす。
するとカルロさんが私を抱きしめて
「大丈夫、絶対守るから」
呟いた。
――けれど。その言葉は私に向けられたものなのだろうか。
どこか遠くに向かっていうような言葉に私は少し胸が痛むのがわかった。
あの本物のレティの末路を読んでいたカルロさんの顔が忘れられない。
間接的にとはいえ、自分のせいで何度も断罪され死ぬ娘の末路にカルロさんはどんな気持ちだったのだろう。
それは本物のレティを守れなかった罪滅ぼし?
と聞いてしまいそうになり、慌てて口をつぐむ。
たぶん、今のカルロさんもいっぱいいっぱいなのだ。
そんなことを聞けばきっと傷つけてしまう。
自分もいっぱいいっぱいなのに私を慰めようと一緒にいてくれている彼にそんなことを言うのは私の我侭だ。
いつもいつも守ってもらっているのだから、カルロさんが不安定な時くらい私がしっかりしなきゃ。
お前なんか娘じゃない。
面倒見るつもりもないと私を追い出す事だってできたはず。
それなのに守ってくれて娘として育ててくれてるだけでも、カルロさんは立派だと思う。
そういった意味で、ミレイユもセクターさんもラディウス様も。
この領地の人たちは情にあついといえる。みんな馬鹿がつくほどお人好しだと思う。
けれどそれに甘えているだけじゃだめだ。
普段甘えさせてもらってる分、皆が辛いときは私も頑張らないと。
よく考えればリアル日本の年齢とこっちで生きている年数をふくめれば私が一番のお姉さんだもの。
一番の年長者としてこういう時くらいはしっかりしないとね。
「うん。パパ大好き」
そう言って私はいつもの子供を装って抱きつくのだった。











