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第21話 魔術師

『荒神様』


 昔昔、この世界には神様と悪魔がいました。

 けれど神様は突然いなくなってしまいます。

 神の御使いのエルフを連れて、どこかへ行ってしまったのです。

 同時になぜか悪魔もこの世界から去っていきました。


 神様はいなくなるさい、精霊達に力を与えました。

 この世界を維持できるようにと。


 それが精霊王様達です。

 精霊王は自分が守護を任された場所限定ならば、神に近い力をふるえます。


 精霊王様達が更に力を持つと神様になれるとさえ言われていました。


 そんな中。


 精霊王様を疎ましく思っている人物がいました。

 第二王子の側近の娘です。

 彼女には思い人がいました。

 けれどどんなにアプローチしても、私は精霊王様の御使いだと断られてしまうのです。

 その精霊王様がいる限り、彼女は結婚することもできません。

 そんな時。精霊王様を消せると言う魔導士が現れました。

 彼は力の弱い生まれたばかりの精霊を、ある魔術をつかって荒神化できると言うのです。


 この世界の荒神は、神になりそこなった精霊。

 

 荒神は神様になりたくて、ほかの精霊達を呑み込んでいきます。

 力を得るために。

 第二王子の側近の娘はその魔術師に頼みます。

 私の思い人の土地の精霊王様を魔術で荒神をつくり呑み込ませてくれと。


 魔術師はそれを受理します。


 他の土地の精霊王様を呑みこみつつ、女の願う精霊王様を荒神に飲み込ませたのです。


 女は喜びます。

 思い人がやっと手に入ったと。

 精霊王様がいなくなった事で土地に実りがなくなり、借金まみれになった――レティの父と結婚し、魔術師に頼みレティの父を薬漬けにして自分の理想通りの男にしました。



 そして……と書かれた所で筆が止まっている。

 理由は忘れたけれどそこで私は書くのを止めたらしい。


 カルロさんの顔が真っ青になるのがわかった。

 セクターさんも顔色が悪くなっている。


「おい。第二王子の側近の娘ってファンデーヌじゃないか?」


「……ああ、エシャロフ家の………まさか領地ではなく、自分を手に入れるためにそんな事をしたと?」


 呟くカルロさんは顔色がかなり悪い。

 そういえば前はカルロさんが気にするからいけないと思って、後妻は領地を手に入れるためにカルロさんを操ったと説明したかもしれない。

 伏せていたのを忘れてそのままメモを見せてしまったことを後悔する。

 なんでそんな大事な事まで私は忘れちゃったのだろう。

 自分のせいで、レティが。精霊王様がひどい目にあったのだとしれば、カルロさんも平常ではいられないだろう。


「レティ、この魔術師ってのは誰なのか思い出せないか?」


 セクターさんに聞かれて私は首を横に振った。

 かなり重要人物のはずなのだけれど。

 私は全く覚えてない。

 普通の雑魚悪役で記憶になかったのかな?

 それとも書いてる途中で何かあってそれから記憶をなくしたのだろうか。


「とにかく、他にこの件に関するメモがないか探してみましょう」


 と、ラディウス様。


 一体、私はその時何を思っていたのかはわからないのだが、メモはなぜかレシピやら思いついた理科の知識やら、地球の豆知識やらを書き込んでいたので量はかなり膨大だ。

半分以上がゲームに関係ない日本の知識が書いてある。

 そういえば記憶がなくなっちゃうとかなり自暴自棄になっていたっけ。


 ミミズのような字でかかれた紙を見つめ。あの当時の自分はかなり病んでいたのだなとしみじみ思う。


「ああ、そうだね。何か解決策を見つけないと」


 そう言って微笑むカルロさんは私から見てもかなり無理をしていることが見て取れた。


「おい、カルロ。

 お前欲しさにファンデーヌが何かしたとしても、それはお前に責任があるわけじゃないからな?」


 セクターさんが言えばカルロさんが


「そうだね」


 と、微笑むがそこに余裕は一切ない。


「あ、あのパパ」


 その後無言になってしまったカルロさんに心配になって私が顔をのぞき込めば


「ああ、ごめん。ただちょっと考え事をね。

 さぁ、仕事に集中しようか?」


 そう言って私を抱き上げた。何時ものパパを装う為に。

 その姿が妙に痛々しくて、私は口篭る。

 なんと声をかけてあげたらいいのか、私にはわからなかったから。

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