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第20話 ゲームのイベント

「レティっ!!!」


 目を覚ますと。何故か自分の部屋のベッドで寝ていた。

 カルロさん達が心配そうな顔でのぞき込んでいる。


「……パパ……」


 私が手をあげれば


「目が覚めたかい?よかった」


 そう言ってそのまま力強く抱かれて私はちょっととまどう。


「もう4日も目を覚まさなかったんですよ。よかった目が覚めて」


 と、ミレイユも泣きそうな顔で言ってくれる。

 ああ、そっか。


 精霊王様と話して意識を失ってたのか。

 一週間後と言っていたのもこの為だったのかもしれない。


「ごめんね心配させて。精霊王様に加護もらえたから

 もう大丈夫だよ」


 私が微笑んで言えば


「よかった。本当に」


 とカルロさんが頭を撫でてくれる。


「にしても、よかったなレティ。

 これで記憶がなくなることもなくなったじゃないか」


 今度はセクターさん。

 

「うん!

 でもまだもう一回精霊の森に来るように言われたの。

 行った日から一週間後だからもうすぐかな?

 あと、平原で畑やってもいいっていわれたよ!」


「本当かっ!?」


「うん!」


 私が答えればセクターさんが私を抱き上げてくれる。


「でかしたっ!!レティ!!

 これでうちの領地も今よりずっと潤うぞ!!」


「やったね!!」


 きゃっきゃとセクターさんにくるくると回されて


「セクター様、横」


 とラディウス様が私たちに声をかければ……


 何故かパパが部屋の隅でいじけている。


「一番最初にできなかったからいじけてますね」


 と、ミレイユ。


「貴方は少し空気を読むべきです」


 と、ジト目でラディウス様がセクターさんを睨む。


「あー、うん。なんか悪かった」


 セクターさんが汗をかきながら謝るのだった。



 ■□■



「……では、やはり、本来の歴史では精霊王様は……」


「はい。滅んでいると精霊王様も言っていました」


 精霊王様との会話を皆に話すと、カルロさんがふむと頷いた。


「レティ。何か思い当たることはないのか?」


 と、セクターさんが私に聞いた。

 

「もしかしたら物語を憶えている時に書いたメモに何か書いてあるかも。

 今ちょっと出します!」


 そう言って私はパタパタと、自分の机から引き出しごと紙を取り出そうとして固まる。


 そこには。怖い怖い怖いや、ヤダヤダヤダ、助けてなどひたすら書きなぐった紙がやまもりだった。

 やばい。これでは私は単なるヤンデレをこじらせた痛い系女子になってしまう!?

 

「ちょ、ちょっと整理するからまってて!!」


 そう言って、一時期怖いとか書きなぐっていた紙を別の引き出しにしまい、ちゃんと書いてある方のをとりだした。

 至るところに隠していたので全部集めるのにちょっと時間がかかってしまう。


 6歳の手の大きさや感覚に慣れてなくて、文字はみみずのような字だけどなんとか読めた。


「この中に何かヒントがあるかもっ!」


 そう言って私は皆に差し出すのだった。


 ■□■


「お嬢様。この攻略対象の親愛度とはどういう意味でしょうか?」


 ミレイユが私の書いた紙を指さしながらいう。


 皆で私が書いた紙をみつつ、何かヒントを探そうとなったのだが……。


 ゲームのイベントやストーリーなどを箇条書きしたものなので、ゲーム用語のわからないカルロさん達に説明攻めにあってしまった。

 

「えーっと。誰と結婚するか決めるために友好度をあげる事?」


「このように複数人と同時にお付き合いを?

 この主人公という方は不誠実極まりないですね」


 プンスカとラディウス様。

 確かにゲームを知らない人から見るとそう見えるよね。

 しかしゲーム脳だったためその発想はなかった。

 これは不誠実というのだろうか?


「えーと。同時進行ではないから別に不誠実じゃないかな?」


 ゲームの主人公が浮気女みたいに見られるのは可哀相なのでフォローすれば


「では時間が巻き戻されるたびに心変わりして相手を変えているということですか?

 それはそれで心変わりが激しすぎますが」


 ラディウス様が憮然とした顔で言う。


「相変わらず硬いなお前は」


 セクターさんが呆れて言えば


「この主人公という子が不誠実すぎるだけです。

 愛とはそのように軽薄なものではないはずです」


 と、ラディウス様が反論すれば


「大体、あなたも貴方です。

 女性を口説きすぎなんですよ」


 と、ミレイユが参戦してセクターさんをジト目でみる。


「な!??お前今その話関係あるか!?

 レティの前で言う事もないだろう!?」


 と、ラディウス様とセクターさんとミレイユが口喧嘩をはじめたのを見ながら私はチラリとパパを見た。

 パパが読んでいるのは……ゲームでのレティの扱い。

 本当の娘の未来。

 一体どんな気持ちであの箇条書きを読んでいるのだろう。


 寂しげな横顔に胸がチクリと痛む。


 大丈夫。私はちゃんとパパの子供なんだから。


 それからしばらくして


「レティお嬢様、もしかしてこれが精霊王様関連のイベントでは?」


 そう言って紙を見ていたミレイユが差し出した。


 そこに書いてあったのはミミズのような文字で書いてある『荒神イベント』だった。





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