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第9話 パパの帰還

「レティっ!!ただいま。元気にしてたかい?」


 あれから5日後。

 城門でパパを待っていれば、両手いっぱいに私へのお土産を抱えて、パパがニコニコ顔で馬車から降りてきた。

 他の領地に塩を売ってくれるように交渉に行って帰ってきたのだ。

 銀髪短髪の美形さんだ。


「会いたかったよ。ケガはなかったかい?また無茶をしてなかったかい?」


 と、ボトボトと抱えていた私へのプレゼント用らしき荷物を落としながら私を抱き上げる。

 落とした荷物の中身は無事なのだろうかといらぬ心配をしていれば


「お前、その親馬鹿ぶりは何とかならないのか」


 一緒に馬車に乗っていた親友で商人のセクターさんにジト目で突っ込まれる。

 パパの親友のため大体交渉事にはパパに同行してくれる。

 金髪碧眼の男性だ。


「親馬鹿とは心外だ」


 と、カルロさんは急に真面目な顔でセクターさんにかえす。


「お前みたいのを親馬鹿と言わないで誰の事を親馬鹿というんだ?」


「何を言っている。

 私をそこらへんの親馬鹿と一緒にしないでほしい。

 私のレティへの愛はそれ以上だ」


 と、無駄にイケメンの決め顔でセクターさんに抗議するパパ。

 第三者視点からいけばはっきり言って二枚目なのに残念キャラである。

 それでも相変わらずのパパで嬉しくて


「パパおかえりなさいっ!!!!」


 と、ニッコリ笑ってかえす。


「ただいま。レティ。いい子にしてたかい?」


「うん!いつも通りだったよ!」


 私がいえば、


「ってことはお前それ、悪い子だったってことじゃねーか?」


 セクターさんが私に突っ込んできた。


「セクターさん、それ酷い」


 むぅっと口を尖らせる。

 どうせ普段の行いが悪いですよーだ。


「そうだぞ!セクター。

 レティはお転婆なところを含めて可愛いんだ!」


 とパパも抗議してくれる。

 ……でも、それは褒めてくれてるのかな?


「相変わらずお前は親馬鹿だな。

 目に入れても痛くないとか言いそうだ」


 セクターさんが言えば


「何を言っているんだ。

 レティの大きさで目に入るわけがないだろう」


 真顔で答えるパパ。


 ……うん。パパはちょっと天然かもしれない。

 にしても嬉しいなパパが帰ってきてくれた。

 1ヶ月ぶりだ。

 今日は絵本を読んでもらって、あとちゃんと勉強を頑張った事を言って!!


 と、考えて私はハタとその動きを止める。


「ん?どうしたんだいレティ」


 パパが私の顔をのぞき込んで言えば


「あ、うん。

 ごめんなんでもないよ!

 パパ帰ってきて嬉しいっ!!」


 と、いつものように抱きついた。


 にしても、どうしよう。

 パパが帰ってきた途端、記憶を思い出す前の私に無意識に戻ってしまった。

 今もちょっと気持ちがソワソワしている。

 私は中身24歳のはずなのに。


「所でカルロ様。塩の方は……?」


 ラディウス様が聞けば、パパが首を横に振って


「いや、ダメだった。

 どこも塩不足でうちに回すほどの余裕はないらしい」


 そう言ってうつむいてしまう。


「それはよかったです」


 と微笑むラディウス様。

 その言葉にパパとセクターさんが顔を見合わせるのだった。



 ■□■


「本当か!?それは凄いじゃないか!?」


 ラディウス様がグレンお兄ちゃんの魔法の報告をしたあと、セクターさんが嬉しそうに声をあげた。

 パパも魔法でできた塩をまじまじと見てる。


「これは凄い。純度もかなりいいのでは?」


 とサラサラと手にとって感心していた。


 あのあと。

 グレンお兄ちゃんに頼んで、お兄ちゃんが考えた事にしてもらった。

 そうすればお兄ちゃんが学校に行きやすくなる。

 私が考えたと言うと、どこでその知識を手に入れたと問い詰められたら本当に困るから。

 こういうのは目立たないのが基本なのだ。

 

「この魔法は比較的簡単なので、子供でも教えればできるでしょう。

 領土で使う塩だけなら手の空いている子供たちが担当すれば補えると思います」


 ラディウス様が告げれば


「是非その子供に会いたいですね。

 よくそのような事を思いつきましたね」


 と、ミレイユ。


「とにかく、その魔法のことを詳しく聞くぞカルロ」


「ええ!?私はレティと!!」


「アホかお前っ!!どれだけの海水の量で出来るかとかちゃんと見る必要があるだろう!?」


 セクターさんにずるずると引きずられていくパパ。


 ……ちぇ。もうちょっとパパと一緒にいたかったのに。

 そこまで考えて。ハッとする。


 いや、パパといっても他人だよね?

 魂は。

 私は24歳の日本の出身だ。

 

 そういえばここ最近思考が記憶が戻る前の私に近寄りつつある気が……

 もしかして私……幼児化してる?

 と、考え込むのだった。

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