復活
体が重い。
私は、一体どうしてしまったのか?
視界には霧が立ちこめ、立ち上がることも困難だ。
確か、ペンキストリートでお兄さん(名前忘れた)から何ちゃらプロジェクトの話を聞かされて、それから……
(ま、まずいっ)
もしかして、帰りがけに拉致られた?
くそ、その辺りの記憶が曖昧だわ……
とにかく、今どういう状況なのか、確かめる必要がある。
それとも、このままこのストーリーに幕を下ろして永遠の眠りに付くか。
いや、私が主人公の小説なんてこれが最初で最後だし、何とかこの粘つくような眠気から逃れないと……
微かに人の声がする。
私は声を大にして叫んだ。
「たっ、助けて…… 助けて下さいっ!」
「いつまで寝ぼけるんですか、エリさん。 ゴールデンウィークはとっくに終わりましたよ」
「……へ?」
気がつくと、目の前には親戚のおばちゃんの顔。
そう、ここは居候させてもらってる家の自室だ。
私は、ゴールデンウィークの10連休でやることがなく、3日間眠り姫のごとく眠りについていたのだ。
「昏睡状態の患者みたいに起きないから、本当に死んだのかと思いましたよ」
「いやいやおばちゃん、眠り姫と言ってもらえるかしら」
「王子様なんか現れやしなかったじゃないの。 そんなボサボサの頭で。 早く起きて、今日からバイトの初日でしょ」
……全く、おばちゃんは色々ズレてるんだから。
それに、バイトじゃなくて、正社員ですから!
私はムクリと起き上がって、洗面所へと向かった。
身支度を済ませ、電車に揺られる。
そこで、さっき地元の友達からラインを確認したのだけれど、そのせいで職場に向かうのが億劫になってしまった。
何故なら、ペンキ職人なんて辞めた方がいい、と言われてしまったからだ。
(はあ、どうしよ……)
最初はすごい乗り気だったのに、私の選択は間違っていたのか?
ちょっと否定されただけで、気持ちが揺らいでしまった点からして、適当に決めすぎた感はある。
今日は中華ストリート駅から徒歩10分の坂の上にあるエリスマン亭と呼ばれる建物の補修作業で、待合せは8時。
「次は~、中華ストリート駅~、中華ストリート駅~」
電車のアナウンスが、次の停車駅を告げた。




