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詩集「無地ノート」

少女期【春の詩企画】

繭みたいな白詰草を手折るのがもったいないと言って

その子は代わりにはこべを摘み

花かんむりにした


デニムのベストを着こんだ

それは11の純然たる少女

思春期の森に近付くのを無邪気に楽しんでいる



背を丸める蚕

ため息の糸

上質の絹


を希少な宝物として

中庭で思い思いに転がるのを保護し

踏みつけないよう眺めては

もうすぐその美しさが

自分のものになるのだと

夢見ていたのだ

だがその白い宝石を惜しむあまり

大釜で煮ることができない

適切な処置を先延ばしにして

庭の中に遊んでいる



白詰草を背に秘め隠し

はこべを髪に飾った少女

たぶん 仲間と同じように

機を逃さずに華々しく着飾れば

背後から手招く無数の糸に絡め取られることは

なかったのだろうに

中庭に閉じ込められることは

なかったのだろうに


醜い蛾となった白詰草は

少女を置き去りにして中庭から消えた


はこべの花かんむりは

伸び放題の毛に混じりしおれきった

2008年制作。


本作は「春の詩企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)

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― 新着の感想 ―
[一言] 少し恐い感じのする詩ですね。 無数の糸の正体は、人によって連想するものが違いそうです。 私の場合は、親かな……
2019/02/19 21:07 退会済み
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