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公私混同

人事部へ加勢へ来てから早半年。

今日もいつも通り仕事をこなす。

けれど今日はなぜか居心地が悪い。

和泉が険しい顔をしながらため息を付いているからだ。

ポーカーフェイスな和泉なのに珍しいこともあるもんだと、有希は気になって仕方がない。

和泉がマグカップを持って席を立ったのを確認して、有希もこっそり給湯室へ出向いた。


難しい顔をした和泉が、壁にもたれながらバリスタでコーヒーを入れている。

給湯室に和泉しかいないことを確認して、有希は話しかけた。


「和泉課長、どうかしたんですか?」


和泉はちらりと有希を見やると、ため息混じりに呟く。


「課長というものは無力だな。所詮、部長には勝てない。」

「…はい?」

「課長権限なんてたいしたことないという話だ。」


意味がわからず、首をかしげる。

何かあったのだろうか?


「有希。」


おーい、和泉さーん。

プライベートモードになってますよー。

有希は「岡崎です」と訂正を促すが、全くもってスルーされる。


「有希の加勢が終了するかもしれない。派遣を入れるそうだ。まあ、総務からも早めに返せと言われていたしな。それを俺が無理やり引き止めているだけなのだが。」


そう言って、和泉は考え込んでしまう。


有希は総務部から加勢で人事部にきているだけだ。

いつかは総務部へ戻らなければいけない。

それは重々承知だが、戻ってしまうと和泉と社内で会うことは滅多になくなってしまう。

公私混同はしない。

当たり前のことだけど、それがひどく寂しく感じられる。


だが、総務からも早めに返せと言われているということは、総務部でも有希を必要としている証拠だ。

必要とされるのは嬉しい。

だけど本音は和泉と一緒に仕事をしたい。

仕事も大切。

和泉も大切。


「さて、どうしたもんか。」


本気で悩んでいる和泉に、有希は苦笑した。

公私混同はしないなんてクールに言っていた和泉の顔が思い出される。


和泉さんが進んで公私混同している気がするんですけど。

本人にその自覚はないのかしら?


眉間にシワを寄せた和泉に、違った意味で有希も眉根を寄せた。



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