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コムスメは失恋に夢をみた

作者: 天野きつね

 好きな人が見ているのは、自分じゃないだなんてことは明らかで。

 それでも、この気持ちを閉じ込めていられなくて、かといって嫉妬に狂って何かをしようとも思えなかった。

「あなたのことが、好きです」

 だから、せめて。

 初恋がかなわないとは知っていても、せめて。

「―—あなたには、いくらでも愛をささやく人がいるでしょう? 多くの愛を求める気持ちは理解できませんが、それだけいれば十分なのではありませんか? 私にはそのようにあちらこちらに媚を売るような女性の取り巻きに加わるような趣味はありません」

 せめて、振られ方にぐらいは、夢を見てもよかったんじゃないかなあ?!






 わたしがこの場所―—もっと正確にいうならば、“この世界”に来たのは、半年ぐらい前のことだった。

 朝起きて、身支度を整えて、家族に挨拶をして、朝食を食べて、学校に行って、授業をうけたり友達とおしゃべりをしたり部活をしたりして、おうちに帰って夕食を食べて、お風呂に入って、宿題をちょっとやったり、友達と携帯でやりとりをしたりして、眠る。そんな、女子高生として当たり前の日常を過ごしていたわたしは、やけに晴れたその日、学校からおうちに帰る途中でこの世界に召喚されたのだ。

 あまり人通りのない通り道。携帯をいじりながら歩いていたわたし。あまり意識はしていなかったけど、たぶん誰かとすれ違った、その瞬間。

 足元に光る陣が浮かび上がって、そして落ちた。―—落ちた瞬間に空気が変わって、一瞬違うはずなのに水の中にとぷんと落ちてしまったような錯覚を覚えたのをよく覚えている。

 そして、瞬きの間に、見知らぬ石造りの建物の、光る魔法陣の中にいた。最後だけはやけにゆっくりで、よくわからぬままに、わたしは座り込んでいた。

 瞬きを繰り返して、おそるおそるあたりを見回すわたしの視界に入るのは、たくさんの人。そのどれもが、見慣れない顔立ち、見慣れない服装。けれど、よく知っているとも思えるそれは、例えるならファンタジーな漫画やゲームの中のものだった。まるで魔法使いのような人、まるで神官みたいな人、まるで騎士みたいな人、まるで貴族みたいな人、まるで王子様みたいな人――。実のところ、わたしの予想はどれもアタリであったのだが、この時は知るはずもなく。

 混乱の極致。何が起きているのか頭が理解を拒否をしているようだった。ただ、わたしの斜め後ろにスーツ姿の女性がいることにだけ気づいた。わたしと同じように呆然とあたりを見回していて視線は合わなかったけど。

 そのことについてほっとすることも何かを考える間もなく、王子様みたいな人が私の前に立って、手を差し伸べてきた。

「―—我らの呼び声に応えてくださり感謝いたします、うつくしい“光の姫”よ。どうか、この世界を救ってください」

 ……なにこのファンタジー。わたし、変な夢を見ているのかな。

 とりあえずわたしはその手を取る前に頬をつねった。痛い。



 その後、わたしは王子様みたいな人に手を引かれ、映画に出てくるような場所で事情の説明を受けた。ちなみに王子様みたいな人はこの国の三番目の王子様だった。

 この世界には“滅びの石”というものがあって、そこから瘴気があふれているんだそうだ。その“滅びの石”は年を経るほど成長し、カケラがあたりに飛ぶ。酷いときは魔物に運ばれてものすごく遠い場所まで飛んで、落ちた先で瘴気をまき散らす。

 まき散らされた瘴気を浴びると生き物は魔物になって、人々を脅かす。ここ数年、その“滅びの石”はかなり成長してしまって、魔物に飲み込まれた村や小さな国がいくつもあるらしい。

 このままだと世界が滅ぶかもしれない、となったこの世界の人たちは、とあるおとぎ話にすがることにした。それが、“光の姫”の伝説だという。伝説の“光の姫”は人々の呼び声に応じて異界からこの世界を訪れ、“滅びの石”を浄化して世界を救って、それから当時のこの国の王子様と結婚して、幸せになったらしい。めでたしめでたし。数千年は前の話だというから、本当におとぎ話だった。

 だけど、根拠のあるおとぎ話だった。なにせ王家に代々受け継がれている碑石にはきちんと“光の姫”を呼ぶ方法が書かれていて、それでわたしが呼ばれたんだというんだから。

 ファンタジーの力ってすげーだなんてふわっとした感想を抱きながら、それよりも帰り方はあるのかと聞いた。王子様は、そっと目を伏せて、ある、と答えた。ただし、それで帰った記録はなく、準備には一年かかるのだ、とも答えた。一年。その時のわたしには、途方もなく遠い先に思えた。だって学年が終わってしまう。

 どうしよう、だなんて思うわたしをよそに、王子様が熱を帯びたような瞳で見つめて、わたしの手を取る。

「―—突然呼び出された君には、申し訳なく思う。だが、どうかこの世界をすくってはくれないか」

 とてもかっこいい顔に、そして非現実的な状況に流されて、この時のわたしはうっかりうなずいてしまったのだけれど。

 もしも、このとき断っていたらいったいどうなっていたのだろうと、後々何度も考えることになる。



 わたしは、“光の姫”としてお披露目されて、けれどこの世界のことがなにもわからないものだからしばらく王宮の中で勉強をすることになった。異世界に来たっていうのに勉強しなきゃいけないなんて、とちょっぴり憂鬱になったりもした。

 見目麗しい王子様に、皮肉屋の魔術師、ちょっとチャラい騎士に、真面目だが天然気味の家庭教師役。こちらを尊敬のまなざしで見てくる可愛らしい侍女。まわりにいる人たちは、どの人も漫画や映画の中のキャラクターのように美形で魅力的だった。そしてみんなして優しいし好意的。下手すると愛の言葉までささやいてくる彼らを相手に、それこそわたしまで、漫画の登場人物になったかのような気分になったのは、仕方ないことだと思う。

 わたしだって、女の子だし。漫画の中のようにいろんな男の子たちに愛をささやかれる、だなんて。あこがれたことがない、妄想したことがないなんて嘘はつけない。元の世界では、花の女子高生だったんだから、コイバナだなんてたしなみだった。



 もちろん、浮かれた気分は長続きしなかった。

 だって、良くも悪くも、元の世界でただの女子高生だったわたしは、恋にあこがれはしたものの、正直いって容姿は十人並み。ちやほやされて嬉しかったしときめいたのは確かだけれど、すぐに周りの人たちに戸惑うようになった。

 わたし、そんな風にちやほやされるような人間じゃないよ、と声を大にして言いたかったし、実際そう訴えてもみた。彼らは「自分の価値をわかっていないだけだよ」と甘く笑うだけだった。

 自分を認めてくれるようでうれしいような、でもその理由がわからなくて怖いような気がして戸惑うしかなかった。

 だからなのか、わたしは勉強を必死で頑張って知識を吸収するようになった。“光の姫”として浄化の術を死ぬ気で磨いた。彼らの期待に応えられるように。

 知識は何とかなった。浄化の術も徐々に上達してきた。

 でも、文化の壁が私の前に立ちふさがっているのに気づいてもいた。そこが王宮だったのもよくなかったのかもしれない。貴族社会、だなんて所詮ただのコムスメが一朝一夕で理解できるような世界ではなかったのだ。

 大声で笑えば、眼を丸くされて、「キミの花のような笑い声で気分が明るくなるよ」と騎士に頭をなでられた。

 身分の違いなんてなかったといえば、それは素晴らしい世界なのかもしれないね、と家庭教師役から答えが返ってくる。

 友達に接するように話してほしいと言われて、いいのかなと戸惑いながらタメ口で話しかければ、「仲良くなれたようでうれしい」と王子様に喜ばれた。こんな風に誰かと話すのがあこがれだったのだ、と。

 濃い紫の色は悪魔のしるしだと魔術師に言われて、そうは思えない、綺麗だと答えればお礼を言われて泣かれた。日本には紫を嫌う習慣なんてなかったから、何気なく言っただけだったのに。

 文化が違った。視点が違った。わたしはたぶん、それにうまく適応できなかった。彼らはそれでいいと笑って、毛色の違う私をほめたたえた。戸惑うしかなかったけれど、それをどう伝えていいかわからなくて、私は曖昧に笑った。


 そうしているうちに、だんだんと王子様たちはわたしへ好意を強めているようで、「恋」をしている目を隠さなくなっていった。

 うぬぼれるな、勘違いだ、ただの女子高生相手に漫画の中から出てきたようなイケメンたちが「恋」をするはずない。逆ハーレムとかありえない。むしろわたしには手に負えない。これはそう、“光の姫”だから丁寧に扱っているだけだ。

 そんな風に思い込もうとしたけれど、恋愛小説の主人公のように、鈍感にはなれなくて。というより「恋人になってほしい」という言葉こそなかったが、愛のささやきは結構あったしボディタッチは多いし、わたしでもわかるレベルだった、と言っておこう。

 ……そんな彼らの向こう側に厳しい目をした人たちがいて、彼らの好意を反比例するように徐々に顔をしかめていっていることも、気づいては、いた。



 そんな時だった。わたしが「恋」に落ちたのは。

「今日は、小さめの“滅びの石”のカケラの浄化を試してみよう。不安がらなくても大丈夫だよ、愛しい私の姫君。護衛には、騎士団長のこいつを付けるからどんなことがあっても大丈夫。もちろん、私も一緒に行って、君を守るよ」

 そう王子様に紹介されたのは、燃えるような赤い髪に、強い意志を感じる金の瞳を持った男だった。


 生まれて初めて「心を奪われる」だなんて心地を味わった。心臓に電撃が走ったのではないかと思えるほど、衝撃的だった。

 そう、正直一目ぼれなんて存在しないと思っていたのに、本当に一目で私は「恋」に落ちたのだ。

 目があえば胸が高鳴り、声を聴けばうっとりといつまでも聞いていたくなる。耳朶を打つ一つ一つの言葉が、視界に入る些細なしぐさが宝物のように思えた。

 厳しいこともたくさん言われたが、その内容は芯の通ったものだと感じたし、実際とても納得のいくものだった。彼の事を知れば知るほど、深みに落ちていくのが分かって、もっといろいろな表情を知りたくなる。これが本当の恋の形かどうかなんてわからないけれど、たしかにわたしは「恋」をしていた。

 ――けれど、彼に夢中になっていたからこそ、自分が彼に好かれていないのはすぐに気が付いた。


 だって初めて彼の笑みを見たとき、それは見知らぬ黒髪の女性と二人で話しているときだったのだから。

 あんな表情もするんだ、素敵だなあと思った瞬間に、その相手が別の女性だった時の気持ちは言い表せない。うらやましい、いとしい、くるしい、なきたい。どれもが当てはまって、どれもが違う気がした。

 しばらく様子を眺めていれば、その女性が召喚の時に斜め後ろにいたスーツ姿の女性であることに気づけてしまい、騎士団長の彼と会った時とは別の衝撃が心臓を襲ったかと思った。その時初めて、わたしは彼女のことを忘れていたことを思い出したのだ。なんて最低な人間なのだろう、わたし。同じ世界から来たであろう人のことを、すっかり忘れていたなんて。罪悪感がぐるぐるとおなかのあたりを渦巻く。

 言い訳をさせていただくなら、ただの女子高生のコムスメにとっては自分のことで精いっぱいだったのだ。慣れない環境、慣れない場所、よくわからない好意を向けてくる人々、向けられる期待。それをなんとか受け止めようとしているコムスメが、どうやってあの時初対面で話したこともない同郷の女性を気遣えるというのだろう。

 罪悪感にさいなまれながらあの女性について調べてみた。あの後、彼女はわたしのオマケと認識され、捨てられるようにして王宮のすみで仕事をもらって暮らしていたらしい。とりあえず放置されていただけで、いじめられていたということはなかったようだ。ちょっとだけほっとした。


 ちなみに、わたしがあの“滅びの石”のカケラを浄化している間、あの同郷の女性は大き目な“滅びの石”のカケラが落ちて魔物たちの被害がひどかった地域へお手伝いに行っていたらしい。

 そして、わたしよりもはるかに早く、“滅びの石”を浄化したのだという。

 …………なんだそれ。

 なんだそれ!!

 わたしはその事実を知った時、心の中で絶叫した。

 わたしがあれだけ必死で練習したのは、なんだったのだろう。あれだけ環境を整えてもらって、頑張って勉強して、訓練をして、それでもやっと小さなカケラを浄化できるようになっただけだというのに。放置されるようにしていた彼女は、大した訓練もせずに大き目のカケラを一気に浄化できたのだという。むしろ“光の姫”というのはわたしじゃなくてあの女性の事だったんじゃないだろうか。わたし、間違えられたのだろうか。


 それとなく王子様たちにそう促してみれば、「大丈夫だよ、自信を持って。キミはなにも心配しなくていい」と言われた。後々、王子様からあの女性に文句がいったらしいと知って頭を抱えた。そうじゃない。そうじゃないよ、王子様。どうやら、彼らはわたしが落ち込んだものと思ったらしい。わたしの言い方が悪かったとでもいうのか。

 確かに自分のそれと比べて、落ち込んだりもしたけども。それよりも、あの女性に文句がいった事実を騎士団長様に告げられたことの方が、落ち込んだ。どん底まで落ち込んだと思う。

 彼はその事実を淡々と述べた後、眼だけを怒りで満たして、「不用意な発言は慎んだ方がよい」旨の苦言を呈してきた。好きな人の好感度があからさまに下がったのを目の当たりにしたのだ。本当に落ち込んだし、実際部屋で一人泣いた。わたしにどうしろっていうんだ。

 本当に、ただのコムスメのわたしには、生きるのが難しい世界だと思った。



 彼女が“滅びの石”を浄化した事実は、気が付けばあちこちに噂となっていた。なんでも、浄化したのちには傷ついた人達の手当を手伝い、炊き出しも行ったらしい。

 さらにはその噂にはわたしにとっての新情報も含まれていた。その大きな“滅びの石”のカケラは、そもそもわたしが浄化しに行く予定だったらしい。が、清らかな“光の姫”(笑)のわたしに、いきなりそんな事故現場を見せに行くわけにはいかない、と王子様たちが言ったそうだ。それで結局、小さなカケラで慣らしてからという話になったのだという。

 噂は最後にたいていこう締めくくられる。

 ―—あんな男を侍らせるしか能のない小娘が、本当に“光の姫”なんだろうか。聞いたかい? あの時の女性は、あの“光の姫”と呼ばれる小娘と一緒に異界から来たらしい。なら、本当の“光の姫”はあの女性じゃないのか。だって、あんなにも慈悲深くて、多才なのだから!

 因みに、わたしがこの噂をきくのはとても容易かった。別に彼らもわたしに対して本気で隠そうだなんて思っていないらしく、ちょっと耳を澄ませば盗み聞くことが可能だったのだ。もっと言うならば、わたしが部屋で一人でいるときに、中にわたしがいるとわかるとたいてい外はそういう話題になっていたわけだし。



 本当に、この世界の人たちはただのコムスメに何を求めているんだろう、とわたしはため息を毎日たくさん落とした。

 あの女性は、この世界では見たことのない様々な素敵な料理を作ることができるらしい。

 ―—わたしは残念ながら、現代の家電を使って簡単な料理をすることぐらいしかできないから、この世界での料理はからきしだ。

 あの女性は、立ち振る舞いがしっかりしているし、謙虚である。

 ―—そりゃあ、あの人は社会人だもの。私だって、できる限りのことはしているし、こちらの礼儀作法の勉強だって必死に頑張った。だけど、たぶん元の世界での年相応なのだ。わかってないことは多い。

 あの人は、たくさんのけが人を前に気丈にも手当に奔走したらしい。

 ―—わたしにできるかといえば微妙なところだ。怪我なんて、せいぜい転んですりむいたり、刃物で指先を切ってしまったり、ちょっとした事故で骨を折ったり、そのぐらいしか知らない。さすがに気絶はしないとは思うけれど、グロい映画とかは痛くて見れないタイプだから、平然と立ちまわるのは難しいと思う。


 そうやって、だんだんとあの女性と比べられることが増えた。そして、わたしの事を厳しい目で見る人が増えた。堂々と陰口をたたいたり、嫌みを向けてくる人たちが増えた。わたしの周りにいて手助けをしてくれる人は、私を「好き」だという人と、最初についてくれた侍女ぐらいだだった。


 我ながら情けないけれど、わたしは割と限界が近かったのだと思う。

 そのころ、わたしを「好き」という人たちは更にわかりやすく私にアプローチをしてきて、とうとう「好きだ、恋人になってほしい」と告白をしてきてしまったから。いろいろから回った挙句、わたしは思いっきり彼らを振った。まじめに彼らと恋人になれるかを考えて、なりたいと思えなかったから。オブラートに包まず、気持ちは嬉しいけれどほかに好きな人がいるから、その気持ちに応えられないと告げたのだ。

 ……じゃんけんで決めでもしたのかと思えるほど順番に告白してきた彼らに、もれなくそう答えたのに、彼らは一様に「あきらめない」と答えた。何故だ。

 そこまで好かれる理由がわからなくて、よくよく彼らの様子を振り返って、そして気づいた。

 彼らが恋焦がれているのは、「伝説の“光の姫”との恋」なのだ、ということに。

 確かに、私の性格とか、何かを気に入ってくれたのかもしれない。私も、それなりに――クラスメイトの男の子とか部活の先輩とかぐらいには、なかよくなれたとは思っている。だけど、彼らに“恋”はしなかった。そもそも、彼らが見ているわたしには、“光の姫”フィルター的なものがかかっているように思う。わたしの何気ない言動も“光の姫”がやっていると思うから素敵に思うし、心に響くと思うのだろう。たぶん。

 そんなことを考えて、納得した。納得したけれど、同時に怖くなったし、どうすればいいかもわからないかった。だって、過剰に美化されても、困る。



 それのすぐあとに、どこぞの令嬢たちに呼び出されて囲まれて「殿下たちの周りを分不相応にうろちょろするのをやめなさい!」だなんて糾弾されたわたしは、いろいろ限界を超えて不安やらなんやらが全部爆発してしまった。

「へらへら笑って、つきまとって、目障りですわ! もっと殿下方と距離をおきなさい」

「―—どうやって?」

 声が震えた怒りで真っ白になるような気持ちで、口を開く。令嬢の一人が、噛みついてきた。

「そんなこと、自分で考えなさいよ!」

「いっぱい考えたよ! 考えたに決まっている! 考えてもわからないからきいているんじゃない! わたしは、いったいどうすればよかったの? だって、わたし、あそこにしかいる場所がないのに! なのに、彼らから距離を置いて、それで? わたし、この世界に独りぼっちになるの? あそこを追い出されたらわたし、どうやって生きてけばいいの? それとも距離を置けば、そうしたら、わたしは、大好きな家族や友達のいる、元の世界に帰れるの? かえして、くれるの?」

 気が付けば、視界がぼやけていた。目があつくて、瞬きをすればぼろりと涙がこぼれていて。

 令嬢たちは黙った。


「―—偽物の“光の姫”のクセに」


 誰かがぽつりといった言葉に私は噛みついた。


「あなたたちが、勝手わたしを連れてきて、そう呼んだんじゃない! わたし、一度も自分が“光の姫”だなんて名乗ったこと、ないし! でも、あなたたちがそうだというから! 勉強も、訓練も、頑張って、いたんじゃない。―—そもそも、わたし、あの人たちの告白、全部断って、いるのに……」


 そうだ。わたしは一度、彼らの愛の告白を断っている。今はあきらめないと言われたからよいものの、もし、振られたことを原因で、彼らがわたしの周りからいなくなったら。むしろ断りやがってとその気持ちを怒りや憎しみに変えられたら。もしかしてわたし、すぐに殺されてしまうんじゃないだろうか。

 急にそんなことに思い至って、ぞっとする。

 だって彼らはこの国の権力者。彼らが黒といえばほかの人も黒というレベルなのだと思う。

 たとえそんな意図がなくても、彼らが悪感情をわたしにむければ、わたしを助けてくれるひとは、たぶん誰もいなくなる。

 見知らぬ世界で、一人きりで? どうやって生きていける?

 だから高校生のコムスメに何を求めているんだ!


 わたしは、とうとう抑えきれなくて泣きじゃくって、唯一の味方と思える侍女に連れられてあてがわれている部屋に戻った。そして、しばらく王子様たちとは距離を置く努力をした。でも彼らの立場が上すぎるせいか、どうあがいても彼らが望んだ時に「会わない」選択肢は用意してもらえなくて、笑った。本当に、わたし、どうすればいいんだろう。


 そうしていても“光の姫”としての勉強は終わらない。期待も、減らない。ただ厳しい目だけが、増えた。

 そんな中で唯一、わたしの頑張る希望になっていたのが、騎士団長の彼の存在だった。どんなに疲れても、冷たい声でも構わないレベルで、あの人が好きだった。本当に、それだけで癒される気がしたのだ。同時に、どうあがいても彼の“特別”にはなれないことを悟って、心がちぎれた。くるしくて、いっそ自分にナイフを突き立てたくなる。さすがに実行はしなかったけれど。

 どうすればいいか煮詰まって、時折聞こえてくる彼女と私の初恋の人の話や、うっかり目に入ってしまったりもして、もう心はいっぱいいっぱいだった。

 だから最終的に私は「せめて」と思った。

 せめて、不毛な恋は終わらせよう。それで少しは、マシになるはずだ。


 そうして、迎えた人生初の愛の告白に返ってきたのは、ひどく冷たい視線と侮蔑の声音と。

「あなたには、いくらでも愛をささやく人がいるでしょう? 多くの愛を求める気持ちは理解できませんが、それだけいれば十分なのではありませんか? 私にはそのようにあちらこちらに媚を売るような女性の取り巻きに加わるような趣味はありません」

 わたしを否定する、そんなセリフだった。これはひどい。せめて「ほかに好きな人がいるから」とかもう少しやんわりした言い方はなかったものか。何一つ、わたしを見てくれてはいないんだと思い知る。

 あまりの言葉に、死にそうになって唇を震わせていると、どこから見ていたのか、口先だけの慰めの言葉を花束代わりに持ってきた王子様たちが寄ってきた。騎士団長の彼の視線がますます冷たく白けたものになる。つらさが増した。やってられない。

 彼らに向き直って、一歩身を引く。そして、ギッとにらみつけて、震える声で喚いた。

「皆様のお誘いは、以前何度もお断りしていたはずです。それにわたし、初恋に敗れてすぐ、ほかの人に乗り換えられるほど、器用じゃないので。特に、人の弱みに付け込もうとする、卑怯な人なんて、大嫌い!」

 そして部屋に駆け戻った。ちなみに彼らは、呆然としていた。笑えて、それから大泣きした。ほんともうやってられない。


 そんな最悪な告白の一週間後、大本の“滅びの石”が彼女によって浄化されたことが、国中に巡って、祝われた。






 ――まあ、つまりは。

 私はきっと、この世界にきたあの時、分不相応な好意に少しでも浮かれては、いけなかったのだ。


 あの女性と私とで、いったい何が違ったのだろう。何度も考えてしまう。

 はじめのあの時、わたしが“光の姫”だと思われたのは、きっとあの人と比べて、若かったからだ。そして多分、あの時はわたしの方がそれなりに身なりに気を使っていたからだ。だからパッと見て、わたしがそうだと思われた。

 だってそうでしょう。伝承に名高い“光の姫”だなんていかにも綺麗そうな名前の人を呼んだのだ。二人いれば、きっとどちらかがそうだと思うに違いない。

 そして、わたしの方が若くて、制服もスーツよりはたぶんかわいくて、疲れ切って肌が荒れて目の下にクマができている人よりは、化粧こそしてないけれど年頃のコムスメらしく手入れをしていたから、こっちを選んでしまったのは、しょうがない。なんだっけ、ソウタイコウカ、というやつだろうか。

 たぶん、力はどちらにもあった。わたしよりも彼女の方が強かっただけで、確かに私にだって浄化の術は使えたんだから。正直、そう思わないとやってられない。

 わたしは、表に立って多くの人に求められた。彼女は、裏にいてただ一人、好きな人に求められた。

 わたしは、すべてを吹っ切って、一人を求めて、本当に全部なくしてしまった。彼女は、一人を求めて、求められて、すべてを手に入れたように思う。

 わたしは初恋をした。彼女は、たぶん最後の恋になると、言っていた。


 あの時、わたしが分不相応な待遇に少しも浮かれず、奇想天外なこの状況に少しも現実逃避をせずに、対応できていたら、もしかしたらこうならなかったのかもしれない。

 そんなことを、思った。


 “滅びの石”が浄化された後はもう、わたしのいる場所は針のむしろだった。正直針のむしろって概念としては知っていたけれど現実にそうなるまでは舐めてた。見事な手のひらクルーを見た。つらいを通り越して、手のひら返しのお手本みたいな状況に笑ってしまう。

 それでも王子様たちがわたしのそばにきて愛をささやいてくるのは変わらない。すこしばかりありがたいと思う。普通だったら、ここで王子たちに恋をするのがセオリーなんだろうけれど、やっぱりわたしはそんなに器用な人間じゃないらしい。むしろ、お前ら頭大丈夫か全力でひいた。申し訳ないことなのはわかっていたけれど。実際恐る恐るそう指摘してみれば、「そうかもしれない、私は恋に狂っているのです」と王子様たちに憂い顔で言われた。あっやばい怖い。

 わたしは、偽物の烙印こそ押されなかったものの、王子様たち以外のみんなからは嫌われているようで。逆にあの女性は、素敵な”光の姫”としてあちこちに祭り上げられているらしい。遠目から見たときには、戸惑いながらも隣にいる騎士団長の彼と一緒に微笑んで、幸せそうだった。

 うらやましい、という気持ちがあった。でもそれをぶつける元気は、わたしにはなかった。

 こんな中、わたしはいったいどうすればよいのだろう。部屋から出る用事もなくなったわたしは、王宮の豪奢な部屋の中で窓の外を眺めながらたくさんのため息を落として。拾われることのないそれと一緒に、きっと幸せも遠くにいっているのだろうと思った。


 そうしている中で、気が付けば召喚されてから一年が経っていて。

 王宮の魔法使いの人が、控えめに「あのう」と声を上げた。「帰還の準備が整いましたが、どうされますか?」と。

 そういえば、王子は最初に言っていた。帰還することは、できるのだと。

 それを聞いたわたしは目からうろこが落ちた気分だった。そうだ、帰ればいい。こんな訳の分からないところで、どうしたらいいのかもまったくわからないままに過ごすより、帰って、家族と友達と、またここに来る前と同じ、平穏で幸せな生活をすればいいんだ。

 だって、帰れるんだから!

 王子たちが止めてきたが、私はそれを断った。自分に起きた最悪の告白の日事件を踏まえて、私は毎回かなり真面目にそして慎重にお断りの文句を告げている。相手はそれを聞いちゃいないが。

 もう一人の同郷のあの女性は、かなり悩んでいるようだった。わたしは早く家に帰りたい気持ちで一杯だったが、どうやら帰るための魔法は今回の一回しかできないらしい。頑張れば数十年後にもできるのかもしれないが、魔力やら技術やら星の巡りやらが関係して、今回の一回きりが限度である、と王宮の魔法使いたちは「ホンモノの“光の姫”」と呼ばれる彼女に向かって言っていた。しかも、その定員は2名がやっと。

 とりあえずわたしは彼女の答えを待った。たっぷり一週間かかったが、結局彼女は帰ることにしたようだった。

 正直、わたしは「めでたしめでたし」な結果を迎えているだろう彼女は帰らないのかもしれないと思ってもいたけど、やはり元の世界の事も大事に思っていたらしい。さらに聞きたいとも思わない噂話が聞こえてきて、どうやらあの騎士団長さんが彼女を説得したらしいと知った。騎士団長さん自身は、家族を早くになくしていて、きちんと家族のいる彼女には家族を大事にしてほしいと言ったのだとか。大変女の子ごのみのラブロマンス風に語られてた。噂話すごい。そのまま小説にしたら売れそうだ。世界を超えた恋の物語だ。わたしの存在も、邪魔者として当て馬として大活躍しているのではないだろうか。つらい。



 帰還の日はさらに一週間後に来て、私はこの世界で一番お世話になった侍女さんに丁寧にお礼を言って、お別れの時に涙ぐんだりした。王子たちの告白と引き止めは丁寧に断った。

 魔法陣に乗るのは、一人ずつ。別れを惜しまれながら、けれど振り返らないためなのか彼女が先に陣に乗ることになった。たくさんの人に惜しまれながら彼女が消えていくのを、ぼんやりと眺める。心残りはない。侍女の子と別れるのはかなり悲しいけれど、それよりも私は帰ったらまずやりたいことは何だろうと考えていた。

 そして、彼女が消え切って、まだ光の残る魔法陣に、魔法使いたちに促されながら足を進めようとしたその時。

「待って……!」

 王子の声とともにがしり、とつかまれる腕にたたらを踏んだ私。王子様が引き止めようとしたらしい。その隣で、続いて、どん、という音がした。

「―—ほら、ためらうな、行け! この馬鹿ヤロウめ! 人生で唯一、惚れた女なんだろ! それを逃してどうする!!」

 わたしの隣を転げるようにして、誰かに押されたらしい一人の男性が飛び出す。わたしは王子の手を振り払って陣にむかったが、一足遅く。

 見えた光景に、世界の音が、なくなったかと思った。


 飛び出していった、赤い髪と金の瞳を持った、私の初恋の人。

 彼の姿が、魔法陣の上で、光を帯びて消えていく。彼はすまない、ありがとう、と私の背後の人に言っていた。私の方は、見ていなかった。何が起きたのだろう、と理解する間もなくわたしも魔法陣の上に足を踏み入れたが、同時に彼の姿はかき消える。魔法陣の光が、色を失う。消えていく魔法の残滓と反比例するように、世界に音が戻ってきて、どくり、どくりと心臓が嫌な音を立てているのが分かった。わたしの足は、変わらずこの世界の床を踏みつけている。

 さざ波のように、周りがざわめいていた。あの女性の見送りに来ていたはずの人たちの注目を背中に浴びて、私は振り返ることができない。息を、うまく吸えない。


 わたしは、帰ることが、できなかったのだ。

 帰れた、はずなのに。






 あの時、騎士団長を魔法陣の中に押し出したのは、騎士団長の親友であったらしい。騎士団長と、あの女性の深い愛を知っていて、引き離してはいけないと思ったと言った。かといって、彼女を家族と引き離してこの世界にとどめるのは酷だろう、と。

「反対に君は王子様たちに愛されて、この世界で幸せに生きることができるだろう? なら、あいつたちの恋を、応援してやってもいいんじゃないか?」

 何でもないことのように、その人は私に向かって言った。その後ろで王子たちがこちらに熱のこもった視線を向けていた。私は何かを言われる前に王子様たちにお断りの言葉を口にした。

 その横でわたしの侍女をしていてくれた子が、その人を思いっきり殴ってくれた。古い知り合いだったらしい。



 その後、私はいくつかの支度金を渡されて王宮から追い出された。この国は大々的に“光の姫”の帰還を発表していたから、もう一人の女性ならともかく中途半端で大して役に立たなかったコムスメがいても困るだけだったのだろう。いらないから殺しちゃえとならなかっただけよかった、と今になって思う。王子たちがあの手この手で甘い言葉を告げてきたけれど、それのどれもを振り払って私はひとりで王都のすみっこに捨てられることになった。

 そのままそこで仕事でも見つけようかと思ったけれど、身元の不確かな、しかも大して力もないコムスメにできることは見つからなくて。たまに貴族に間違われて「家出お嬢様の道楽に付き合ってはいられない」と言われることもあった。宿も満足に取れなくて、お金を巻き上げられそうになったりもして、支度金があっというまに底をついてしまうのではないかとおびえたわたしだったけれど、そこで貴族の馬車に拾われた。いやあれはむしろ拉致だった気がする。大通りをとぼとぼ歩いていたわたしの前に豪華な馬車が止まって、侍従みたいな男性にさりげなく強引に詰め込まれたのだ。

 中に乗っていたのは、いつかわたしを取り囲んで「王子に近づくな」と言って来たお嬢様の一人で。こちらを鋭い目で見て、それからため息をついて、言葉少なに「手助けしてさしあげてもよくてよ」といった。

 そのお嬢様ご一行に連れられて、わたしは隣の国まで来た。その間、わたしは使用人たちに交じってこの世界の一般的な常識を学ばせてもらった。恥はかき捨て、ともいうし、わたしはわからないことを遠慮なく聞きまわって何とか一人で火をおこしたり、ある程度の魔法を使ったり、料理をしたり、お買い物をできるようになった。使用人たちもわたしの事情はある程度知っているらしく、最初は微妙な態度だったけど、がむしゃらに頑張っていたわたしに対して最終的には打ち解けてくれたと思う。

 そのお嬢様には、感謝してもし足りない。王子たちに近づくわたしが気に食わなくて、いっそ遠くへ捨ててしまおうだなんて思ったのもあるのかもしれないけれど、それ以上に帰れなかったわたしに同情をしてくれたらしい。あと、仲の良かった侍女とは親しかったらしいことも原因だろう。面と向かって尋ねる機会はなかったけれど。なにせ、“光の姫”だったとは言え、今はわたしは庶民だ。基本的には使用人扱いで使用人たちと一緒にいたのだ。馬車に引き込まれた時の様子と、あとはお嬢様に近しい使用人たちの言葉を聞いて、なんとなく察することができた。

 そして、街についたのち、その街の一角、ギルドと呼ばれるところの前に下ろされて、わたしはひとり、置いて行かれることになった。

「ありがとうございますお嬢様!!」

「……せいぜい生きあがくことね」

 去っていこうとする馬車に大声でお礼を言えば、お嬢様は窓からのぞかせた顔をしかめて、そんなことを言う。言ってからちょっとだけ笑ったので、嫌がられたわけではないのだろう、と思いたい。この街のある地域の領主はお嬢様の従妹が嫁いだ家らしく、国は違えどたまに遊びに行ったりするらしい。お嬢様たちは、そのまま領主の屋敷へと向かうのだ。わたしは、その馬車が見えなくなるまで見送った。

 そして、馬車が見えなくなって、しばらくしてから、わたしは一度深呼吸をしてギルドの中に足を踏み入れる。心細い気持は多少あれど、そこに来るまでの間にいろいろ教えてもらったおかげで、何をすればいいのかは大体理解していた。

「―—すみません、ギルドへの登録をお願いしたいのですが」

 見知らぬ土地でも、ただのコムスメでも、ひとりぼっちになってしまったとしても。

 失恋に夢をみて、裏切られてどん底に落ちた様な、元女子高生で世間知らずなわたしでも。

 人間、やろうと思えば案外なんとかなってしまうものらしい。

小娘……異世界に召喚されたよくも悪くもただの女子高生。少々流されやすい。この後、ギルドで依頼をうけて糊口をしのぐかたわら、魔法の勉強をして生きていくことになる。夢は自力で帰還。ときどき街にやってくるお嬢様と交流している。

同郷の女性……料理上手な元社畜。巻き込まれての異世界トリップだと思っていたが実はそうでもなかった。はいはい逆ハートリップに巻き込まれただけなのねテンプレテンプレ(違う)。年齢=恋人いない歴だったがこの度素敵な恋人を捕まえたので幸せ。

騎士団長……一途で真面目で強い、女性嫌いのくせにモテる男。小娘に惚れられたがタイプじゃなかったのでふった。だが同郷の女性には惚れた。友人に背を押されて惚れた女性を追いかけて異世界へ羽ばたく男。でも多分何度も警察のご厄介になる。

王子様たち……恋する男たち。はたして恋とはなんぞや。小娘に逃げられたあと、回りからは小娘は死んだと告げられて諦める。その後それぞれ無難な婚約者と順調な結婚をし、身分に見合う平凡な人生を歩んだ。

侍女……平民から叩き上げで王宮の侍女まで成り上がった才女。世界で一番小娘のことをわかっていた。騎士団長の友人を殴った。

騎士団長の友人……友達思いのやんちゃな貴族。何故かモテない。侍女に殴られた。

お嬢様……割と偉い身分のツンデレお嬢様。身分相応の常識に則って小娘を呼び出して注意した。そして泣かせた。よく見ればあんまりにも小娘が憐れだったので仕方なく手を貸してあげることに。べ、別に泣かせて悪かっただとか、妹みたいで放っておけないだとかなんて思っていなくてよ!?

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― 新着の感想 ―
[一言] 同郷の女性が先に帰還となったときに嫌な予感はしたんだよね…。間違いなく帰りたいのは主人公のほうなんだし、先に返してもらえたら良かった。(いやその順番も(ピー)な友人とやらが誘導してたかもね……
[良い点] 引き込まれてあっという間に読んでしまいました 好感の持てる主人公でした [一言] (令嬢以外)自分の見たいものしか見てない周囲から離れたことで、主人公も自身の幸せにいつかたどり着けると思い…
[一言] ざまぁくれマジで!! なんだこの最高に胸糞悪いオチ!! こんな世界滅べ!!
2021/09/06 09:38 退会済み
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