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「それって・・・どういう事なんだよ?」


俺は交互に二人の顔を見た。




「俺にもさっぱりわからん。」


矢野はそう言うとお手上げ・・・と言った感じで


首を横に振った。




「ナル・・・なんかやったの?」




「い、いえ・・・何も・・・。」




「・・・じゃ・・・なんで?」




・・・なんでナルが・・・?




「あ・・・でも、だいたい察しはついてるので・・・」




「愛美ちゃん、心当たりあるの?」




「・・・はい。さっきまで忙しくて矢野さんにもまだお話してなかったんですけど、


 多分、康成さんと佐伯さんの事が原因じゃないかと・・・。」




「日高と佐伯さんが?」




「はい、康成さんと佐伯さん・・・なんだか上手くいってないみたいで・・・」




「それがなんで愛美ちゃんに関係あるの?」




「・・・それがですねぇ・・・実は先週の月曜日からずっと2,3日続けて


 康成さんからメールが来てたんです。」




「日高から?なんでまた?」




「話があるって・・・、でも、私はもう康成さんの話を聞くつもりも


 会うつもりもなかったからずっと無視してたんですけど、


 木曜日、会社の前で捕まっちゃって・・・で、その時に佐伯さんが


 現れて、康成さんとケンカになって・・・」




「・・・で、愛美ちゃんはどうしたの?」




「私はその場にいても二人の問題だから関係ないし、


 さっさと帰りました。そしたら金曜日の夜に今度はアパートで


 康成さんに待ち伏せされてて・・・。」




「それで、愛美ちゃん大丈夫だったの?」




「はい、ちょうどその時、先輩が来てくれたので大丈夫でした。」




「そか・・・て、だから愛美ちゃん広瀬の部屋に帰るって言ったんだ?」




「はい。」




「じゃ・・・ナルにちょっかい出してたのは金曜日だけじゃなかったんだ?」




今の話の流れで行くと・・・“日高”と言う男がナルの元彼で、


“佐伯”って女がその浮気相手だったヤツか・・・。




「はい・・・無視してれば大丈夫だろうと思って


 先輩には何も言わなかったんですけど・・・」




「そっか・・・で、その日高ってヤツはナルになんの話があったんだ?」




金曜日の夜、日高って男がナルに言い寄ってたのが目に入ってきて、


俺は咄嗟に割って入ったけど、詳しい話までは知らない。




だいたいの予想はついているけど・・・。




「それが・・・佐伯さん、子供ができたって言ってたの嘘だったらしいんです。」




「「えっ!?」」




「康成さんとどうしても結婚したくて嘘ついたそうなんです。」




「「はぁー?」」




「・・・で、康成さんが佐伯さんと婚約解消して別れたから


 やり直そうって・・・」




「日高も日高なら、佐伯さんも佐伯さんだな・・・。」


矢野は呆れた口調で呟いた。




まったくもってその通りだ。




「・・・けど、だっだらなんでナルがクビになるんだ?」




「あ・・・っ!そうだよ?」




「それがですね・・・佐伯さんて実は、うちの社長のお嬢さんらしいんです。」




「え・・・でも、苗字違うじゃん?」




「私も康成さんから聞いただけなんですけど、数年前、社長が離婚した時に


 佐伯さんは奥さんの方に引き取られたみたいで、


 その奥さんの旧姓を名乗ってるそうなんです。」




「なるほどね・・・。」




「だから、今回の事はおそらく佐伯さんが手を回したんじゃないかと。」




「確かに・・・日高も来週から突然、北海道に転勤になったって辞令が出てたな。


 ・・・だとすると、佐伯さんは日高を北海道に飛ばしただけじゃ気が済まず、


 愛美ちゃんをクビにしたってワケか・・・。」




「はい・・・多分。」




それで今日、仕事の引継ぎなんかでずっと遅くまでやってたのか・・・。


てか、日高ってヤツもあの女もナルと同じ会社だったのかよっ。




「それって・・・思いっきり不当解雇じゃないか?」




「あぁ、そうだな。」




「あ・・・でも、もういいですよ。」




「「なんで?」」




「これでもう明日から康成さんと佐伯さんの顔見なくて済みますし。」


ナルは意外にもスッキリとした顔をしていた。


それでも俺は納得なんてしていないけど・・・。


もちろん矢野だって複雑な顔をしていた。

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