転生、そして再臨【回想】part3
前回までのあらすじ
動けず詰んでいた亮太だったが側近らしき人物が姿を現した。
亮太に近づいた彼は、唐突に亮太の首を突いたのだった。
「おい、待てい!『死んだかな?』じゃないわ!痛ってえなこの野郎!」
そういって俺は座った状態で掴みかかろうとするが、その手は空を切る。
どうやらこうなる事は想定済みだったらしい。
「やはり……!」
側近っぽいやつは何故か俯いている。んっ?いま床に雫が落ちた気が…
「あ?なんだよ!」
俺は状況が理解出来ず声を張り上げる。
突然側近のようなやつは跪き、言った。
「おかえりなさいませ!そして、ようこそいらっしゃいました。我が主!」
「……は?」
そうして、俺の新生活は考えていたよりちょっと、いや大分違った形で始まることとなった。
「おい、どういう事だ?御主人ってなんだよ!しかも、おかえりとようこそって意味矛盾してておかしいじゃねえか!それにお前がさっき言ったように、なんで俺は死んでいないんだ!!!!」
まあそう焦らずに、と宥めるように俺を諭すとゆっくりと側近のようなやつは話し始めた。
「まず、謝らせてください。先程は申し訳ありませんでした。非礼をお許しください。私の名はヴェイグと申します。先代が亡くなられてから毎日、新たな主人が現れないかとこの、玉座の間で長い間毎日をここで過ごして来ました」
「んで、その主が俺?」
「はい、先程首を突きましたのは代々この一族に伝わる書に書かれていたことを確かめるためです。」
「その書かれていたってことが首を突くってことにどう繋がるんだよ!」
「我々一族は死神の加護を享受しているのですが、加護があまりにも強いため、第20代目のウロボロス一族の長は死神の過保護を持つ。と記されておりました。加護とは使える魔法の系統を左右するもので、ちなみに世代交代は転生制となっております。転生制とは死後、自動的に異世界又は別次元からこの部屋へ転移された方に世代を交代する制度のことです。」
ウロボロスという名前をきいた瞬間中二病というワードが浮かんだがそれはあまりにも失礼で、そして意味が伝わらないだろうから口に出すのは控えることにした。
「何だそれ…全く身に覚えが……!そうか!」
「はい、死神の過保護。その能力は不死です。傷を負った、その過去が即座に改変されます。因みにご子息にのみ能力の讓渡は可能です。ご子息に讓渡がなされた場合、自動的に世代交代となります。」
「俺その場合はどうなるの?」
直前に殺された怒りの感情など最早消え失せていた、否、忘れていた。
自分の頭の単純さにガッカリする。前前世は鶏か何かだろうか。
「禁忌を使えばどのような者でも能力の讓渡は可能です。が、その禁忌の効果が自我、全体力、全魔力を自身の魂に焼き付け任意の器に融合するというものです。死神の過保護はその効果に更に、次世代の血縁者にしか引き継げないという制約が科せられています。」
「ってことは、肉体は死ぬけど魂は一緒に生きていくってことだな。ありきたりだが感動できるいい展開じゃねえか。」
「…? 時にご主人様。お名前を伺わせてもらっても宜しいでしょうか??」
「おお、そういえば何も言ってなかったな。俺の名前は雪見亮太だ。ん、この一族になるってことは雪見・ウロボロス・亮太ってことになるのか笑 じゃあ、亮太って呼んでくれ。あと、その堅苦しい喋り方は止めてくれ、さっき素が出たって言ってたから疲れるだろうし素でいいよ」
「わかった、亮太」
「早っ!?」
「ふふふ、冗談ですよ…」
ヴェイグはそう言い嬉しそうに目を細めて微笑む。
こうして名を改めた俺、雪見・ウロボロス・亮太は側近の彼、ヴェイグと主従関係になった。
亮太は一つ大事なことを忘れていたが、思い出したように言う。
「なあ、どうして椅子に押さえつけられてるんだ?」
今回はちょっと長めに設定してみました!(基本的に短すぎるだけですが笑)
(ノ)*´꒳`*(ヾ)