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転生、そして再臨【召喚】part4

亮太目線です。


城で留守番をすることになった亮太。

何もせずにただいい子で……いられるわけが無い。

ーーーー亮太ーーーー


「さて…と」


城の中に人の気配が無くなったのを確認してから亮太は動き出した。


「魔法……今俺が使えるのはーー」


魔術

【火:ファルムLv.1】

【闇:カルドLv.1】

【空間:グラブ】

【空間:コピー&ペースト】

【空間:スタンプ】


静かに床に触れる。

微かに魔力の流れを感じる。吸収する機能があることを隠してあるのだろう。意識しないと全く認識出来ないレベルの極々弱い力だ。


「解除」


呟く。

すると、部屋全体の壁を始め、物という物全てがが波打つ。普通ここまで早く魔法を習得し解除するなど有り得ないのだが、亮太の中にある何かがそれを可能にした。


「蝕め、カルド」


亮太の3mほど先に黒く輝く霧が現れた。

ヴェイグによるとこれは瘴気というものらしく精神と肉体を一瞬にして蝕む恐ろしいものだそうだ。

壁に向け発動、噴霧する。

と、壁が風化しボロボロになった。


(これ、人間とかに当たったらどうなるんだろ……?)


そんな恐ろしい想像に身をぶるりと震わせる。

亮太は深く考えないようにすることにした。

精神と肉体を蝕むと前記したが、それはバランスが均一の状態を指す。

当然、物理的なバランス配分を多めにとると先程の壁のような事になるし、精神的なものを多めにとると自我を保てなくなる程だ。

これまたヴェイグによると、レベル3以上の闇魔術は相手の自我を完全な形で破壊することが可能だという。まあ所謂、意識レベルを制御可能な植物人間状態になるらしい。


「成功!!やったぞ!!」


実は、今日のようにヴェイグが買い足しに出掛けている時は密かに制限解除の練習をしていたのだ。

初の成功である。

この忌々しい壁をすべて吹き飛ばしてしまえばこの部屋以外のことも少しはわかるだろうーーと、そんな計画である。


「燃え上がれ黒き炎、ファルム!!」


「蝕め、カルド!!」


「潰えろ、グラブ!!」


立て続けに、様々な魔法を凄まじいインターバルの短さで唱え続ける。

もう部屋はボロボロだ。


ファルムにより美しい装飾は焼け焦げ、カルドにより壁という壁が朽ちる。

グラブにより様々な物がひしゃげ潰れる。


「はあっ……!はあ!!」


立て続けに言葉を発し続けたことにより息が乱れる。


「まだまだぁ!!!」


再度様々な魔法を発する。

が、ここで深刻な問題発生。


「コフッ……」


なにか鉄臭い液体が口から吹き出た。

これは……血?


改変。


すると、直後には何も無かったかのように……いや、改変されたのだから何も怒ってはいない。

が、確かに亮太は見た。


「なんなん……ガバッ」


先程の倍以上の血液が彼の口から吐き出された。

ここでようやく気づく。


「なんだこれ!?」


夥しい量の魔力が亮太の体から溢れ出ていた。

溢れ出たそれは部屋に穴が空いていても、結界のようなもので防がれこの部屋に溜まっていく。

どうやらこの結界のようなものが亮太を閉じ込めている元凶らしい。


「うあ……」


体から力が抜けていく。

そして亮太は深い眠りについた。





『うわ、こいつ失神したわどうしよ』


『どうしよう……レイモンド!!』


『……はあ、あなたがどうにかしなさい。アゼル』


『あ、そう?じゃ、行ってくるわ』


『行ってらっしゃい!』


と、ベルがいたずらっぽく笑ったような気がした直後。


『おわっ!?』


アゼルの体に回避不可能な速度で凄まじい衝撃が襲う。


『お前は荒いんだよ畜生!ベルゥ!!覚えてろぉぉおおお!!』


アゼルの体が光の中に消えた瞬間、亮太の体がぴくりと震えた。

そしてなんと、瞳が開かれた。


「はあ、だるいんだよなあこれ」


あたりを見渡すと部屋全体に濃密な魔力が溢れていた。


「崩壊&引力&装備」


三種合成魔法である。

途端に部屋が崩れ始める。いや、ボロボロになった壁やものが亮太に向かい崩れ飛んで行っている。

すると、亮太の体にそれらが完全にフィットするようにまとわりつき、さらにそこから瓦礫が追加され、信じられない密度の装備が完成した。

高い密度を誇るその防具は魔力さえも通さない、いや違う。

防具の周りには見覚えのある、日本でいうところの蚊帳を彷彿とさせるベールが包んでいた。

そしてこの既視感は極めて強い。まるで今見たような。


「装備完了……ってとこかな」


なんと、結界ごと部屋を圧縮して装備していたのだ。魔力が溢れ出し危険な状態にあるならばそれを圧縮して無理やり元に戻してしまおうという魂胆だ。

不自由を逆手にとり圧倒的な自由を手に入れた。


「こんなもんかな!」


亮太、いやアゼルはそう言うとまた深い眠りに付いた。


『どうだ?部屋装備』


『良かったと思う!イカしてる!!』


『なんと趣味の悪い……イカレてますね』


『おいコラ今なんて言った!!?』


彼ら、アゼル、ベル、レイモンドは亮太の無意識の領域に存在する人格。

言うならば、不正ログインで勝手に生成されたアカウントのようなものだ。

死神が亮太の中に勝手に追加したのだ。

実は亮太の気付かぬうちに彼の成長の助けになっていたりする。

だが個々の人格の統合は……


『『『ワーワー!!』』』


これである。

ちなみに死神の一部なのでかなり強かったりする。


「……ん?」


主人格の亮太が意識を取り戻す。


「ってーー何だこりゃああああああ!!!??」


住み慣れた部屋はボロボロ。

装いの変わった服は謎の光を帯びており、そして何より''メチャクチャ''重い。

気を失う前を1000とすると

今の体の自由度は1くらいだ。

まあそれでも、途方もない力を手にした亮太にとってそこまで気になるものではないが。


「アアアアアア!!!あれ?」


入口でへたり込んでいる2人を確認。


「おーい、ナルー!ヴェイグー!!」


彼らの状態はまさに、茫然自失。抜け殻のようにただただその場で……


「なにボーッとしてんだよ早く部屋を元に戻せよ」


人格が違うとはいえ玉座の間を破壊したのは他でもない亮太自身なのだが、彼自身にはその自覚がないので、責めるのはまたお門違いというものだ。


「「……」」


ああ、ダメだこりゃ。

亮太はその場で静かに頭を抱えた。

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