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転生、そして再臨【召喚】part3

新たにメンバーに加わったナル。

いきなりですが今回はナル目線です。

ーーーーナルーーーー


なんて広い城だろう。

終わりが見えない。


「あのー、あとどれ位で"この城の出口"に着くんですか?」


「うーん、あと2km位歩いたらですかね」


「あ、2km。もうすぐ着き……ん?」


2 キ ロ ・・・?


「あのー、もう一度聞いていいですか?勘違いだと思うんですけど今僕、2kmと聞こえました」


「あ、失礼。2キロじゃないですね。えーっと……あー、桁を間違えてました。20kmです。」


「ウソォ!?」


「これだと時間がかかりすぎますね……あっそうだ!」


唐突にヴェイグさんは僕を軽々と担ぎ上げると。


「出発〜っ…」


「い、いやあのちょっと待っt」


「進行!!!」


「ぎゃああああああああああっ!!!」


なんだこのスピードは!!

化け物だろどう考えても!!人間じゃねえええええーーッ!!

そうこう考えているとどんどん加速していく。


「あばばばばばばばばばば」


気の遠くなるような恐怖を全身に浴びる。

そうこうしているうちに目的地に到着していた。


「はい、ここが"マルマルの入口ですよ」


「早っ!?速!!おろろろろろろろろーー」


ここまで15分ほどしかかかってないんだけどなぁ…

どうやったらそんなに強くなれるんだ。

気分がマシになるまで待ってもらった。


「さ、行きましょ!」


「あ、ありがとうございます」


肩を貸してもらいながら門をくぐる。三半規管が狂ったらしく、足元はぐらっぐらだ。

街の雰囲気はすごく明るく、活気に満ち溢れている。

朱色の壁に焦げ茶色の屋根、そんな見た目の建物が多く、元の世界ではあまり見ない様式なのでいつまで見ていても飽きない。

あっ果物発見。

八百屋かな……?

色々な物を見ながら歩いていると、前方に一際目を引く大きな円柱形の建物が見えた。


「あそこですよ」


ちょうどその建物を指差しながらヴェイグさんは言った。


「まさかあんなに大きいとは……」


「まあ、本部ですからね。少なくとも一万人は収容可能でしょう」


それでもあの城の大きさには到底敵わない。

あの城、一体どれだけの広さがあるんだ……?


「さて、私はこれから姿を消しますが手は握っていますので安心さてくださいね」


するとヴェイグさんが見えなくなった。

が、手に温もりを感じるのでそこにいるのだろう。

あとで仕組みを聞こう。

不思議なことに声は聞こえる。


「さあ、ここがギルドの入り口です。右前方に受付があるので行きましょう」


ギルド内には色々な課があり、代表的なものから依頼登録受付課、任務受付課、商業課、保安課、等がある。

その内の依頼登録受付課が管轄するのが今回のメインの目的であるギルドへの登録だ。

ここはその受付らしい。

まあこの情報、全てヴェイグさんの受け売りなんですけどね!


「あ、どうも」


「こんにちは、ようこそギルドへ!!御依頼ですか?御登録ですか?」


「登録です!」


「登録というなりますと一万Gになりますがよろしいでしょうか??」


げっ、金なんて持ってないぞ……


「御登録ありがとうございました!!」


え?

気づくと受付には一万G支払われていた。

というか、手続き簡単すぎでしょ。

クイクイっと引かれたのでそっちの方へ行く。ギルド本部を出てすぐの、狭い路地裏だ。


「いやー、ごめんなさい。お金のことをすっかり忘れていました」


「どうやって払ったんですか??」


「ああ、受付嬢が瞬きした瞬間に置いただけですよ」


ちょっと何言ってるか理解できない。

そうだ、さっきどうやって姿を消していたのか聞こう。


「あの、さっきどうやって姿を?」


「光魔法と空間魔法を融合させたオリジナル魔法です。ごめんなさい、最高峰の技術を要する魔法なので私にしかできません」


「そんな!謝らなくても!!それにしても融合魔法ですか…奥が深いですね」


そう言うとヴェイグさんはニコリと嬉しそうに笑った。


「実は、この"融合魔法"の分野を生み出したのは私なんです!」


「ま、まじすか…」


凄い人だとは思っていたけどここまでとは……

元の世界でも、魔法を作り出したりする人は相当の腕を……ん、待てよ?

元の世界の魔法は使えるのか?


「あの、街に入って早々なんなんですけど一旦街を出て、人気のない場所に行くことはできますか??」


お安い御用と言わんばかり僕を担ぎ上げるとーー


「出発……!」


ああ、やっぱりこうなるのか。


「進行!!」


「うぐぅっ……!!」


ものの1分ほどで街から離れた場所に着いた。


「試してみたいことがあるんです」


「試したいこと……ですか?」


「見ればわかりますよ」


実際できるかはわからないが、それもやれば分かることだ。


「オルドルク!!」


すると、指先から凄まじい火力の炎が吹き出しそれが何と龍の形になった。

火龍を精製する魔法。

オルドルク。


「なんてことを……!」


ヴェイグさんはクールな様子を少し崩し焦りながら叫んだ。


「水柱!!」


瞬間に水の柱が現れ火龍は姿を消した。

もはや魔法名すら言ってない。ただの現象名じゃないか!!


「あなたがそれを唱えた瞬間待機中の魔力が一瞬0になったんです。それは魔力枯渇を大幅に超える危険な現象であり、言うならば魔力奪取です!!」


魔力枯渇ってかなり危ないんじゃなかったか?

それにしては、僕の体はピンピンして……

ある可能性に気づき速攻確認した。


「オープン……」


目の前に現れた光のパネルが表す数値は、



ナル

Level:15(max100)

体力:130

魔力:45

筋力:90

賢さ:300

素早さ:250

魅力:590


経験値:1300

所持金:0


能力

残機:この世界に本来存在しないものが享受する可能性のあるバグスキルの一つ。死亡しても残機があるぶん生き返る(リスポーンできる)。

残り残機数:99998



経験値以外の変化した数値 …あ!!


「残機が減ってますね」


横からヴェイグさんがそう言う。

メインが死なずに残機が死ぬこともあるのか。ろくにこの世界の法則も理解していないというのにこんな賭けに出るなんて……迂闊だった。

でも大きな収穫があったのも事実。

残機を使えば元の世界の魔法も使える…!!


「さっきは調整したので威力は低かったのですが、これを最大威力にすると、山より大きくなります」


「山より……!素晴らしい。勉強になりました。でも危険ですから気をつけてくださいね」


ヴェイグはどこか嬉しそうにそう言うと揺らめき、消えた。


「あっヴェイグさん!?」


『土産物を頼むよん』


完全に忘れてた。

恐らくヴェイグさん、それを買いに行ったな。

さて、その間にもう一つくらい何かやろうかな。


「残機よ、出てこい」


ダメ元で言うと、


ぼとっ


成功。

最早残機の概念がだんだんわからなくなってきた。


ナル「やあ、僕の残機」


残機ナル「あ、ナルαだよ」


ナルα「どうしたの??」


ナル「さっきヴェイグさんから合成魔法ってのを聞いたんだけどさ、それ、僕たちでもできないかなー?って」


ナルα「僕が使える魔法って確かあと二つだけだよね?」


ナル「グラマル(微振動)とタプルム(水精製)」


どちらも魔力消費ほぼゼロで発動できる初級どころか、息を吐くのと同じレベルのただの動作……みたいなものだ。


ナルα「さあ、やろう」


ナル「うん、僕がまずタプルムするから、君は僕の水に電気的なイメージを持って超微振動させてみてくれ」


始まった。

記念すべき第一回目。

結果は、弱すぎる魔力で上手く調整ができずスプラッシュ。

服を濡らす結末に終わった。

あと一回くらいやりたいけど、そろそろヴェイグさんが帰ってきそうだ。

そんな心中を察したのか、


ナルα「魔力の微調整はベースにて練習しておくよ」


ナル「ベース?ああ、亀裂の先の事か。よろしく頼むね」


ナルα「はいはーい」


ナル「ベースオープン」


ナルα「ちょっとそんなので亀裂ができるわけーー」


亀裂が生まれた


ナルα「ちょ嘘でしょ!?!?ww」


そんなこんなでナルαが亀裂に入った瞬間あいつの悲鳴が聞こえた。そしてすぐ亀裂は閉じた。

不審に思いステータス画面を確認する。



ナル

Level:15(max100)

体力:130

魔力:45

筋力:90

賢さ:300

素早さ:250

魅力:590


経験値:1300

所持金:0


能力

残機:この世界に本来存在しないものが享受する可能性のあるバグスキルの一つ。死亡しても残機があるぶん生き返る(リスポーンできる)。

残り残機数:99958



ちょっと何人死んでんだよ!!

流石におかしいだろ!!!??

まさかこれは魔力消費量ではなく消費時間に関係があるのか……!?

そう考えると辻褄が合う。

さっきはヴェイグさんが一瞬で消してくれたし……

と、視界の端で揺らめくものがあった。

見ると、ヴェイグさんが戻ってきていた。大量の荷物を抱えて。


「戻りましたよ〜」


「それ、どうやって持って帰るんですか??」


「あなたまで抱えるのは厳しそうですね……いったん戻って迎えにきますかね」


「あ、待ってください。僕にいい考えがあります」


「もう変なことしないでくださいね」


ギクッ……


「わかってますよ。ベースオープン」


僕の頭上の空間に現れた亀裂にギョッとするヴェイグさん。

亀裂の中から声が聞こえてきた。


ナルα「あのー、このご臨終のたくさんの僕はどうすればーー」


ナル「しーっ!!」


後ろから猛烈な怒気を感じるがいったん無視。


「あ、あの〜……荷物預かってもいいですか……?」


無言で頷くヴェイグさん。

ああ怖い。


ナル「とりあえずベースでこれ預かっといて!!」


ナルα「まだ遺体の(僕のだけど!!!)処理も済んでいないのにどうしろと!!」


ナル「遺体よ消滅しろ」


ナルα「うわ消えた!!自分に超無慈悲!!」


そんなこんなで荷物を預け終えた僕へ、ヴェイグさんからのお説教が始まった。

終わるまで約二時間。


ーーーー二時間後


「ああ、足がしびれた…」


「ふんっ……」


なんとか許してもらうことができた。

いや実に耳に痛かった。

でも本当の所、出会って1日足らずでここまで仲良くなれたのだから結構嬉しかったりもする。


「よーし、そろそろ帰りますか」


ヴェイグさんはまたもや僕をむずと掴むと、


「出発〜」


「ひっ……」


「進行!!」


「イヤアァァァァアアアアアアッ!?!?!!」


ようやく城に到着したが、ここで少しヴェイグさんの血の気が引いているのが見えた。


「あの、ヴェイグさん?」


だいぶ三半規管が鍛えられたと思う。

こっそりオープンで確認してみたらレベルが一つ上がっていた。それも関係しているだろう。


「……行きましょう」


玉座の間の扉のおおよそ50m手前、この到着するのにかかった時間11分ほど。よほど急いだらしい。

ヴェイグさんから、身を隠すように言われた。


「ヤバイのがいます」


確かに僕もそう思った。

だって数時間前とは明らかに雰囲気が違っているんだから。

壁にひびが入り、ヒビからは物凄く濃い魔力が漏れ出している。


「待っててください」


ヴェイグさんは音を微塵も立てずに扉に手をかけ勢いよく開けた。


「……っ!?」


その場にへたり込むヴェイグさん。何があったのだろう。

待っていろと言われたからしばらく待ったが、呆然としたヴェイグさんに何の変化もないので、意を決して近づくことにした。

そして、ヴェイグさんがへたり込んでいる場所に立った僕も、同じように言葉を失った。


扉にの先。

そこにはーーーー


何もなかった。

次週は亮太目線です。

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