第04話 続・お化けVS虫
第04話
さて、念力(仮)も使えるようになったし蟻狩りを再開しよう。
え?念力使って戦わないのかって?
無理無理。どうやらこれ生きているものは持ち上げられないみたいなんだよね。
浮かして身動きとれなくして吸って終わり。という戦い方が出来ないのでまだ戦闘なんてする気が起きない。あと何回か進化すればもうちょっと強い力も使えるようになるかもしれないし安定して狩れる蟻さんを狩り続けるね。
そんなこんなであれから5回は蟻を狩ったけど進化はしなかった。やはり強くなると格下からの経験値は少なくなるのだろう。
しかぁし、俺はあと1回は進化するまでここを離れない!
さぁ狩りの時間だ!
あれから10回目つまり100日もたってるんだけどまだ進化しない。もしかしてこれが最終形態なのか?
いや、諦めたらそこでウンタラカンタラ。気長にいこう。時間は有り余ってるんだし。
あれからさらに7回目にしてようやく体が光りだした。
キター!光りが収まってすぐに体を確認。
手は相変わらず、ではなくなんか杖持ってた。下が尖ってて上には赤くて丸い石が付いてる。長さは50センチぐらい?
取り敢えず振ってみる。
すると、石から青い炎の塊が飛んでいって木にぶつかった。木は燃え上がるんじゃなく凍りついている。
ふむ、熱を奪う炎ということか?
色々試したいがまずは体の確認だ。と思ったが他に変化している所はなかった。しいて言うならば体がより白さを増したぐらいだ。これ進化していったらいつか白すぎて輝きだすんじゃないか?
さて、青い炎の検証に入ろう。
検証の結果これは人魂なんじゃないかと思う。
杖を振らなくても杖に力を込めると人魂がでる。そのままだと前方に飛んで行くが念力で操作可能。一度に2個まで人魂を出せて消したい時に消せる。背後に2つ人魂を浮かべておくとなんだかお化けっぽさが増した気がする。念力の操作練習もかねて出しっ放しにしておく。
あと帽子もそうなんだけど杖もこれ何で出来てんだろ?物理的な接触が出来ない体で持てるって事はこれも霊体みたいなもんなのかな?
てことは手から離れたり落としたりしたら地面に潜って果てし無く落下していくのか?
試しに杖を持ち上げ下に手を構えておき杖を落としてみる。
すると手を離してすぐのところで杖は浮いていた。
これならうっかり落としたりしても安心だな。おそらくこの杖も霊体で俺と同じように謎の力で浮いているのだろう。
さて、次の進化を蟻でしようと思ったらたぶん数年はかかるだろうな。
時間なら有り余ってるけど流石に飽きる。ついに新しい場所に移動する時が来たようだな。
あのオドロオドロしい森の奥に挑む時が来たようだ。
途中で人魂を背後に浮かせていることを忘れて木をすり抜けて移動し人魂が木にぶつかって木を氷漬けにしたりしながら例の場所に辿り着いた
前と同じくちょっと手前から様子を窺う。
動くものは見当たらない。目立つので人魂は消して恐る恐る慎重に木に隠れながら進む。
余りにも慎重に進んでいるので振り返ればまだいつもの森との境目が見えるぐらいの距離しか進めていない。臆病なのではなく慎重なのだ。
自分で自分に言い訳をしながら次の木に隠れたその時、前方に動くものの気配。
しかも真っ直ぐこちらに向かって来ている。木にめり込んで反対側を見てみると例のサーベルタイガーがこちらを真っ直ぐに見ながら近づいて来る。
え?なんでこっち来んの?
残り3メートルほどの所で止まったと思うと、サーベルタイガーは顔を仰け反らせ明らかに今から口からなんか出しますよ〜という姿勢を取る。
明らかに俺が狙われているので地面の中に緊急退避。
その瞬間、凄まじい咆哮と何本もの木がへし折れる音が聞こえてきた。あれは絶対ただの咆哮じゃなく魔法的な何かだね。喰らったら消し飛ばされるビジョンしか見えない。
というか何で居場所がばれたのだろうか?
この辺の事を考察する為に一旦戻るかな。別に逃げるわけじゃないんだからね!
安全の為に地面に潜りながら移動する。すると存在が拡散されていない事が分かった。
なんでだ?進化したからか?
この辺も確かめないといかんな。