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お化け物語  作者: ああああ
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第03話 新・お化けVS虫

第03話



ようやく森に辿りついた。まさか2度も地面で過ごす事になるとはね。

まぁいい。早速森に突入した。

したんだが、森に入って草に体が触れた瞬間枯れてしまった。


これは草から生気を吸い取ってしまったらしいね。

試しに木に触ってみる。するとゆっくりだが確実に木が枯れていく。

と同時に自分の存在感が増している事がはっきりと認識できた。


完全に木が枯れた時、自分の存在感というか体の密度といえばいいのか、なんかそんなのが最初の時と当社比1.2倍って感じで強くなった気がする。

これは以外に早く進化出来るかもしれないな。うへへへへ…


無理に動物や魔物を狩るより動けない植物を相手にした方がはるかに安全だしこのまま木から生気を頂いていこう。

まぁ森が枯れ過ぎても駄目だろうし程々にしとくけど簡単に死ぬ事が無いぐらいになるまで森に犠牲になってもらおう。


というわけで手近な木を吸っていく。一本吸うのに体感で大体3分ほどかかる。

20本ほど吸ったところで気づいたんだが、自分では大分強くなった気がするんだが吸っていく内に自分が大して強く無いという事が分かってきた。


なんでかっていうと最初が弱過ぎたから木を吸った程度で強くなった実感が持てただけだったみたいだからだ。体感で最初の3倍ぐらい強くなってると感じるんだが0.1を3倍しても0.3に過ぎないんだ。


あと存在感が増してくると木を一本吸っても存在感の上がり方が減ってきている気がする。

あまり森を枯らし過ぎるのも気がひけるし、何より来世での善行ポイントがプラスどころかマイナスになりそうだし他の獲物を探そう。


やや高めに浮いて移動を開始する。何か居ないかなぁとキョロキョロしながら進んでるとたまに木にぶつかってしまうがすり抜けるからそのまま通過する。ちょっと通りすがりにすり抜けても存在が拡散される分より吸い取る生気の方が多いので安心だ。


何も発見出来ないまま森の奥に進んで行く。すると周りの風景がというか木の種類が変わりだした。なんというかオドロオドロしい雰囲気になってきた。

これ絶対これ以上進むとアカンやつだ。雰囲気が変わる一歩手前ぐらいの木に隠れながら奥を観察する。

少しの間ジッと見続けていると奥の方で何かが動いた。よく見ると口から長い二本の牙を生やしたネコ科っぽい大きな獣だった。ようするにサーベルタイガーだな。

ていうかむっちゃ大きい。動物園で見たライオンとか比べものにならないんだけど。

明らかに一番最初に出会う魔物じゃないよねこれ。無理無理。俺は気づかれないようにそっと来た道を戻り始めた。


ビビった俺は地面に潜りながらこれからの事を考えることにする。動けない暇な時間が苦痛とか言っちゃったけど今はこの閉塞感が心地よい。もう一生地面に潜ってようかなぁ。

ていうか浮遊霊の一生ってどれぐらいなの?自然消滅するものなの?それとも外的要因以外で死なないものなの?分からない事が多過ぎる。


まぁいいや。どうせ分からないんだし考えても仕方がない。まずは進化を目指す。なので森の入口付近の草、虫、枯れない程度に木、小動物を狙って生気を吸わせていただこう。

今日はもう遅いから明日から本気出す。


特筆する事もなくここ十日程平穏に過ごした。兎や小鳥を見つけたが野性の勘なのか近づくと逃げられるので俺は完全にベジタリアンになっていた。そんな日が続いていたのに今日はいつもと何か違う気がする。森の中にぽっかりと空いた空白地帯を見つけた。中央付近に少し盛り上がった所が有りちょっと大き目の穴がある。


なんだろう。この光景、前世のゲームで見た事がある気がする。防衛軍的なあれで。


観察していると予想通り黒いアレが出てくる。そう、蟻だ。でもデカい。絶対魔物の一種だねこれ。大きさは俺よりも小さい感じだから7〜80センチってところかな?

そしてキモい。大きい虫ってキモいよ。まぁせっかく見つけた獲物なので吸わせていただくが。御誂え向きに一匹だけ巣の外に出て何やら触角を動かしてらっしゃる。俺は上空からゆっくり下降しアリさんの真上からアタックを開始する。そしてアリさんの体に自分の体を埋める感じで突進した。


その瞬間アリはビクッと震えたかと思うとその場でジタバタもがき始めた。10秒もしない内にひっくり返り脚が丸まって動かなくなった。まるで殺虫剤をかけられたかのような反応だったな。


ふぅ、初めての戦闘?は緊張したぜ。そして他に獲物はいないかなぁと振り返った時巣穴から顔を出している蟻と目があった。どうやら犯行の現場を目撃されていたようだ。蟻は顎をガチガチと鳴らした後こっちに突進してきた。それを迎え討つ!といってもただ触れるだけの俺。触れるっていうか向こうが突進してきて勝手に俺に当たって生き絶えるだけなんだけども。


しかもさっき顎を鳴らしていたのは仲間を呼ぶ為だったらしく黒い津波と呼ぶのが相応しい程に果てし無く押し寄せて来る。俺はその光景をただぼうっと浮いて眺めていた。


体感で1時間経つか経たないかというぐらいでようやく蟻が途絶えた。数百どころか千以上いるんじゃないかという程の数だった。それの生気を根こそぎ吸い尽くしたのでさっきまでとは存在感がまるで違っている。今ならあのサーベルタイガーも…いや、やっぱ無理。あれにはまだ及ばない。ここは調子に乗らずに堅実にいこう。


さて、巣の中に居るであろう女王蟻を倒してもいいけどほっといて暫くすればまた大量の蟻が産まれるのではなかろうか。おいしい狩場なのでキープしておこう。しかし生き物を殺す葛藤とかがまるで無いな。虫だからか?いや、でも普通に兎とかにも襲いかかれたしアンデッドだから生き物を本能的に憎んでるとかそういうのが有りそうだな。

まぁ殺すまでの葛藤とか長過ぎる物語は嫌いだったので自分はこんなもんでいいんだろう。


その後巣の近辺で草とか虫を狩りつつ様子を見ているとおよそ十日もあれば蟻はあの時の数ぐらいまで増えるようだ。何故なら俺が殺した蟻の死骸を餌にしているから巣から離れて探しに行かなくても食糧が豊富な為に増える速度が上がってるっぽい。


そしてあれから3回ほど蟻を狩った時にそれは起きた。


突然体が光りだして数秒程で収まっていった。これは進化したんじゃないか!と急いで体を確認する。

手を見てみる。相変わらずペンギンのフリッパーの様なシーツの手。だけどシーツの色が漂白されかの様に白くなっている。前まではちょっと薄汚れた感じだった。足もとというかシーツの端もボロボロだったのが今は綺麗なものだ。そして感じる頭の違和感。さわってみると帽子を被ってるようだ。取って見てみる。魔女がかぶるような黒い三角帽子だった。それ以外に目立った変化は無いな。


しかぁし、他にも変化はあるようだ。なんだかよく分からないが出来る気がする。何が?と聞かれてもさぁ?としか言いようがないが何かが出来るような気分なのだ。具体的に言うと魔法的な何かが出来る気がしないでもない。

物は試し、帽子をかぶりなおし手を前に突き出してなんとなく力を込めてみる。すると前に横たわる蟻の死骸が宙に浮いた。手を動かした方に自由に動かせる。生き物の死体を弄ぶのも気分が悪いので一旦おろしてその辺の小石で再チャレンジ。

色々試した結果、同時に動かせるのは3つまで。手を動かさなくても思った通りに動かす事が出来る。自動では動かず自分の意思でしか動かせないので3つを大雑把な動きをさせるか一個を集中して動かすかしか出来なさそう。


なるほどこれがポルターガイスト現象ってやつか。

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