プロローグ
最近、転生ものとか、異世界召喚とか言うジャンルが熱い。
かくいう俺もその熱の波に乗っている。
仕事を終えて家に帰るなりスマホを開いて読み漁るのが最近の日課だ。
一応俺、ニートじゃないからな。魔法使いまであと五年を切ってるけど、引きこもりでは断じてない。
ところで本当に30超えるまで純潔を守り抜いたら俺は魔法使いになって画面の向こうのお嫁さんと添い遂げる事が出来るんでしょうか。
話を変えよう。
そんな訳で割とオタクに片足突っ込んだ連中にとってはそう言うジャンルが浸透している。
まぁ昔からどんな国でも異世界で勇者になる、って話は少なからずあったわけだから馴染みやすかったんだろう。
俺も最初はあまり食指が動かなかったが、ちょっとした試しにと読んでどっぷりと沼に漬かる羽目にあった。しかし後悔はしてない。
あとは年甲斐もなく俺も異世界に呼ばれたらなぁとか妄想なんかも…いや、これ以上は止めよう。
あれだ、男って生き物は勇者とかヒーローとか言う生き物に憧れるように遺伝子レベルで刻み込まれているんだ。そう信じよう。
信ずるものは救われるってな。
あ、すいません石投げないで。
なんて、夢みたいなことを考えていた時期が俺にもありました。
「おお、勇者よ。それに聖女殿、よくぞ我が国においでくださった!」
まさか俺が…あと五年で魔法使いになる可能性が高確率で決定していた俺が、勇者に!
「ぬ、貴様は何だ」
…なれるはず、無かったね。