書神 ローレライ 2
シュッン!
「うおっ!?」
「きゃあっ!?」
ドンッ!!ドテッ!!
歴史省で小さな事故が発生。
瞬間移動。
距離等関係なく一瞬で目的地に移動できるもので、高位の魔法使いにしかできない。
大変便利な魔法だが、目の前に突然人が現れるため事故率が高い。
「おはよう、ブラン。また瞬間移動で送ってもらったのね」
笑いを堪えながら歴史省の省長が近付く。
彼女の名はアリーティス・マイア・ユーステン。
最年少かつ初の女性省長。
ブランシュの上司兼親友である。
愛称はアリナ。
「うう…おはよう、アリナ」
「さぁ、皆!ブランシュが来たことだし、研究を始めましょう!!」
「やっぱり、資料がないと研究が先進まない」
アリーティスの言葉にブランシュは今朝の事を思い出し、後悔した。
(やっぱり、問答無用で資料取り上げればよかった)
資料がなければ、発掘の場所も特定出来ない。人物のプロファイルも出来ない。
進まない。
「ああもう!やっぱりラドから資料取り上げれば良かった!」
苛々がつのり、仕事場で叫ぶブランシュ。
彼女は本業以外の仕事は結構嫌いなのだ。
その叫びを聞いたアリーティスは瞳を輝かせる。
「ちょっと、ブラン。その叫びの内容をもっとよく聞かせて。もしかして資料の買い取り主を知っているの!?」
その後、ブランシュとアリーティスはまともに仕事せず資料をどう手に入れるかを話し合った。
「―――つまり、今まで歴省より先に資料を買っていたのがそのローレライさんって人なのね?」
確認するアリーティス。
頷くブランシュ。
「ええ、裏社会の人々を使って資料を手に入れてたんです」
「それすごいわね!裏の人々に本当の意味で信用されないと取引はおろか接触すらも出来ないのよ」
アリーティスも、何度か裏社会に手を付けたがあっという間に身元がばれ接触が出来なくなった。
「うーん、でもそういうことなら、寄付してもらうのは難しいわ。」
「どうして?」
「きっとローレライさんが一般人だから売ってくれたの。それを国家省に寄付しちゃうと一般人という信用を裏切ることになるの」
「…………………ごめん。よく分からない」
アリーティスは苦笑した。
分からない方が幸せなのだ。この手の話は。
「とにかく、寄付は難しいけど“借りる”ことは出来るかも。ローレライさんに頼んでみたら?」
「そうね。ラドに頼んでみる」
話の折り合いがつく。
ローレライが買った50冊の資料。
それは、ヴォルティエ王朝の謎を解き明かす最大の鍵となった。
ブランシュ:今回は私が担当?あれ?置き手紙がある。『登場人物の年齢を紹介してください』……女性に年齢を聞くのはタブーってことこの作者知らないのかしら?―――でも、そう渋る歳でもないから紹介します。まず、ローレライが23歳。アリーティスが25歳。私が22歳よ。ん?紙が飛んできた。『ありがとうございます。次回もお楽しみに』私からもここまで読んでいただきありがとうございます。