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LAST DAY OF EARTH  作者: TATEO
7/10

滅亡まであと300~200日 中編

美鈴ちゃんは、黒髪の長髪で綺麗な女の子だ。女の子の友達も多かったし、男からも常に注目の的だった。いつぞや中田と付き合ってるって噂を聞いたことがある。彼女は常に僕たちのクラスや学年で中心的な立場にいた。彼女の周りには必ず誰かいて、話しているとみんな幸せそうによく笑っていた。だから、美鈴ちゃんの周りには笑顔が絶えなかった。人気者ってこういう人を言うんだろうな、って思ってた。


僕はそんな美鈴ちゃんを横目で見ているだけの男だった。実際に話す勇気はないから、遠くから見ているだけ。視線が合わないように。もし、見られているのがバレたらよからぬ噂が美鈴ちゃんに行くかもしれない。だから僕は遠くからちらちらとみるしかできなかった。


でも、この日見た美鈴ちゃんは僕の心にいる美鈴ちゃんとは全くの別人だ。長髪の黒髪は金色に染まり、耳にはピアスも空いている。僕は制服の姿しか見たことがないが、派手な黒色の革ジャケットに、黒のブーツ、黒のショートパンツの服装で、コンビニの入り口で座っている。腕には金色の派手なブレスレットが何個もついており、まるで獲物を狙う鷹のような目つきで睨みつけてながら、ラクダのような口で大きく口の中を動かしている。おそらくガムでもかんでいるのだろう。そんな姿を虚像だと思いたかった。


僕の知ってる美鈴ちゃんはこんなではなかった。だが、そんな僕に追い討ちをかけたのが、丸坊主でそりこみが入り、サンブラスをかけた、怖い男性が隣にいたことだ。年は確実に僕より年上だ。サングラス越しからも分かる鋭い視線で周りを威嚇し、その視線は美玲ちゃんにも注がれていた。


僕の頭にある地球滅亡最後の日の願いは見事に崩れ去った。僕は美玲ちゃんがいるコンビニから離れて足早に過ぎ去った。美玲ちゃんが選んだ道だ。僕が否定する道義などない。買い物袋を握り締めながら、必死に自分に言い聞かせた。


家に着くと、急に緊張感から解放された。ふぅーとため息をつくと、そのまま座り込んでしまった。あの丸坊主男が殴りに来るのではないかと、恐怖に怯えた。

あれが美玲ちゃんが選んだ道ならば、本当にそれが幸せなのだろうか。僕は玄関口からやっとの思いで立ち上がり、買い物袋を机に置くと、ふと思った。あの男は彼氏?いや、兄貴かもしれない。僕は兄弟がいないからよく分からないが。


でも僕は不安に押し潰されそうになった。

誰か美玲ちゃんの詳しい情報を知っている人がいないか、話を聞きたくなってきた。両親に美玲ちゃんの話をしていなかったから、きっと誰の話だ、と僕の気持ちを理解してはくれないだろう。ツールの一つにSNSがあるが、僕はしなかった。一度勧められて登録はしたが、更新なんてしていないし、誰も友達登録なんてしていないから、僕にしてみたら無用の産物だった。


僕が悩んでいると、玄関のドアがバタンと閉まる音がした。

「買い物助かったわ。ありがとうね」そう言いながらお母さんが帰ってきた。僕は美玲ちゃんの話題を必死に飲み込んでから、うん、と頷いた。買い物した袋を開けて冷蔵庫に入れるお母さんの背中を見つめながら、僕はお母さん、と呼んだ。

「うん?」 と、こちらを向こうともせずお母さんは返事した。

「僕、明日から学校行くよ」

「そう、分かったわ」

お母さんはそう言うと、再び僕が買ってきた買い物袋から食品を取り出して冷蔵庫へ詰め込んだ。


とにかく僕は情報を知りたかった。

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