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明日から鬱になる
第1章
鬱になる!
「俺明日から鬱になるわ!」
後藤 幸吉
36歳、お客様相談室係長。
金融会社入社14年の旦那から妻への宣言である。
「な、なんで。それに貴方いつから鬱になったの?」
「え、だから明日から。明日先ず会社に電話して心療内科行ってくるから。」
「あ、会社には行き続けるから安心して!」
要領を得ない妻はさながら南極○○号のようである。まあ確かに今のいままでビール飲みながらサッカーを見ていただんなから「鬱になる!」と言われりゃそうなるか。
「そのために、、まずは医者、そして勉強だな!」
鬱になるのに勉強もへったくれもないと思うかも知れないが、何せ俺のは所謂「エセ」である。エセであるとバレないようにしなければ意味がない。
翌日朝、お客様相談室長に気分がすぐれないと言う理由で有給休暇の届けを済ますと夕べ調べておいた心療内科にまず足を運んだ。