呉越同舟
「ようするに、君は状況を大きく動かしたいという訳だな?では根拠を説明したまえ、有り金を全て掛けるのはそれからだ!」
「そうこなくっちゃな。損はさせねえから、耳かっぽじって聞きやがれ!」
間も無く黎明期が終わる。
それにつれて新しい時代が来るが、その前に悪しき種は根絶していおこうというわけだ。
俺の出したカードは、伯爵にとってハイカード。取引に応じぬはずはねえとは思っていた。
だから乗ってきたし、当然ながら自分が使い潰されない為にも、根拠を尋ねて来るのは当然だろう。
「奴は不死というのがメッキで、俺達がそれに気が付ける事を知っている。となれば次の行動は一つだ、逃げるか…バックアップを造って本当に死なない身体に成る事」
「君たちの話が本当だとして…、4番目の行動が永続的な社会の革新であるというならそうだろうな。ではなぜ君にはメドがたったのだ?」
「私たちは本当の…っ」
俺と伯爵の目は、同時にあいつを黙らせた。
今は男と男の腹を割った会話と言うか、…俺たち二人で納得し合わないなら第三者の言葉は意味が無いからだ。
それ以上の口出しが無い事を確認して、俺は続きをまくしたてた。
「奴は俺達をしきりに動かしたがってた。…いや違うな、動か無いならそれでも良いんだ。重要なのは揚げ足を取って、俺達の居ない場所を確定させれるならどうでも良かったんだ」
「対処手段を思いついた段階で追われても困ると言う訳だな。…よろしい。では次に、何処に逃げ込んだと言うのだね?」
単純に逃げるのは、俺が追跡できる可能性があるので論外。
ならば俺たちの居ない場所で、安全を確保してからバックアップ制作に取り掛かる。
あとは絶対に手の届かない場所にそいつを保存して、適当にこっちと遊んでいれば良いって寸法だ。
そこまで話した段階で、伯爵は最後の難関…追っても居ないのに、逃げ込んだ場所が判るのかを聞いて来た。
「実際に見て無いから賭けになるが、こいつは分の良い賭けだと思うぜ?バックアップを造れて、なおかつ安全が保証できる場所ってのが1つある」
「ほう…。それは何処だ?まさか対処手段の見つかった毒の谷ではあるまいしな」
毒の対処が出来る以上、あの場所に留まり続ける事だけは無いだろう。
そんな事をすれば自殺するのも同じだし、やるとしたらまあ…俺達が全員出払った後だろう。
では安全な場所とは何処か?
あの場所に居た二人では絶対に突破できず、妥協をとりつけてからではないと攻略できない場所である。
「確実なのは時間と言う壁、俺達が妥協してやってくる前に作業を済ませる事。…できれば俺が追ったとしても対処でき、なおかつバックアップを造れる施設になる」
「そんな都合の良い場所があるのかね?確か君は地獄耳で、相当に手が長いのではなかったかな?」
苦笑しながら俺は頷いた。
探索方に所属し、どちらかといえば初見には細心で当たるので、冒険に出る勇者と言うよりは盗賊と言う感じに見えるだろう。
実際にその通りだし、スタッフへのスキル蓄積も、そう言った探索面に割合を割いて居る。
俺自身はそのせいで大した強さじゃないが、あの時…俺の隣には頼もしい味方がいた。
火力面では随一のあいつが要る限り、翼竜の群れごときが相手になるはずはない。
つまり、俺とあいつのコンビでも絶対に勝てない奴が棲んで居る場所ということになる。
「じゃあ、ここでもう一枚の報告書に目を通してくれ。俺が逆立ちしても勝てない呪文使いの恐竜ってのがあるだろ?…適応するには少し早過ぎる。となれば裏技を使ったと思うんだが…」
「君がドラゴンと名付けた個体か…。確かにサルマンデルでも勝てないなら可能性はあるだろうな。残る問題は、適応を促しただけなのか、その裏技を使っていたのかに寄るだろう」
「……あ~。ここで僕に振るの?ほとんど結論は出てると思うんだけどねぇ」
やかましい、さっさと俺の話がどの程度の信用性なのか、証拠を並べやがれ!
俺はそんな意味を込めて、アマデウスの方をじっと見た。
それに気がついた伯爵も、奴の方を向いて、どの程度の正しさなのかを確認し始める。
単純な話だが、モジュールに適応するように進化を促しただけなら…。
良い意味でも悪い意味でも、ドラゴン1体で済むと言う事になる。
「そりゃまあ、気合いを入れたら問題無いでしょ?分野は違うけど、クロガネだって同じ事ができると思うよ」
「まあそうだな。わしが生物系なら最高傑作のクリーチャーを造り続けるだろうが…。4番目の行動理念を考えるとありえんだろうな」
「判ったろ?こないだモジュールに興味を示し始めたばっかのナマモノが、数か月で適応できてたまるかってんだ。…となると裏技で強化する方が手っとり早いし…まあ作る方も面白しれえだろうよ」
アマデウスは事もなげに可能だと言った後で、可能ではあるけれど…とおやっさんの方を見た。
頷く二人の話が終わった後で、俺はありえないと締めくくる事にした。
悪い意味では他に呪文を使う生物が敵に回る可能性があり…、良い意味では戦力面でもそこに要るだろうという可能性が飛躍的に高くなる。
「(…裏技?)」
「(お馬鹿さんねえ。あたしたちも使ってるでしょ)」
「君は自分が何を言っているのか判ってるのかね?フィギア・スタッフを野生生物に使わせているなら、敵は何体要るのか判らんということだ。…まあ良い、私の切り札は後で見せるとしよう」
話についていけない馬鹿へ、モルガナが耳打するが。
二人のヒソヒソ話に興味が無いのか、伯爵は力強く頷いて案件に肯定を示した。
その肯定は、スタッフを使った生物の話でも、4番目の逃げ込み先の話でも無い。
俺と手を組み、状況を大きく動かすという博打に……全額ぶち込むと決めた男の表情だった。
ゲーム風解説第37回
@スキルの種類
このゲームでは、色々なタイプのスキルが登場して来ます。
1つめは、クラスごとの特殊能力を示すスキル。
2つめは、流派の技でるスキル。
3つ目は、汎用の習熟を現すスキル。
以上3つのスキルが存在することになります。
どれも技能を示す言葉でスキルと呼んでいますが
面倒な上に混乱するので便宜上は、別の名前を用いることになるでしょう。
基本的は、特技・技・熟練度と言う感じで判り易く管理して行きます。
具体的にどんなスキルがあるかなのですが
1:特技:
クラスごとのスキルであり、勇者がパーティが休める安全なテントを張ったり、魔術師が研究室を異空間から呼び寄せる。
あるいはベルセルクがカウンターしたりと、他のクラスでは不可能な、特殊行動になります。
2:技
流派ごとの特徴あるスキルで、二刀流が出来たり走りながら呪文だとか色々な事が出来るなどなど
特技に似ていますが、より簡単で、流派を覚えれば誰でも使える者に成ります。
3:習熟度
その行動を、どれだけ身につけているかというスキルです。
単純に振り分け数値で締めされますが、それだけに重要な能力です。
仮に、能力値とサイコロの数値が10を越えたら普通の判定。
20を越えたらその道のプロの行動としますが、この場合に+5もの判定を得る事が出来ます。
習熟名は自分の覚えた、細分化した事になりますが
物質転移・他者変身などをした後、元の自分の身体を思い出すのに
目標は20と仮定しましょう。
一般人は転移したら元の身体を思い出せずに分解していましますが
「元の身体を覚えて置く5」というスキルを習熟し、関連する能力値をあげている魔術師は
転移や他者変身をしても安全な訳です。
また、これらは「転移呪文5」などと、より細かい分類をする事が可能ですが
この場合は移動を阻む結界との対抗に使ったり出来る半面、他者変身には使えないので注意してください。
なお、此処で例えた結界との対抗判定ですが
最終数値を申告し、その習熟が使えるスキルである事を説明するのは、使用者側の義務になります。
隠して置いて、「こう言うスキルがあるんだ」などと、後から説明してはいけません。




