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名も無き星の冒険者  作者: 流水斎
第一章
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新たな目標

「それで、これからどうするんだ?湖も攻略してしまったし、そろそろ次の目標を決めないと…」

「確かにな。それで立ち回りも変わってくるか」

 これまで、湖の確保が当面の目標であった。

 ほかならぬサルマンデル自身が今朝が攻略し、様々な農耕や牧畜などのメドが立った所である。

 それまでは無関係で居られたアドベンチャーも、今後は移民計画の為に色々と行動を求められる事になり、同時に口出しが可能になるのだ。

「次は『谷』の攻略になるだろうよ。向こう側をグルっと押さえて、谷が不要と判りゃあ、毒素の排除が可能か試すんじゃねえかな。その前に俺も調査に行っときたいのもある」

「可能なのか?今でもあそこへ自由に出入りできるのはアマデウスだけだし、奴としても毒が避けてくれる訳では無いみたいだぞ?」

 ここで言う谷とは、事故によって毒素の充満する窪地の事である。

 吸い込むのが僅かであれば微弱な影響ですむが、常に湧き続ける為に侵入が不可能な地形となっている。

 この為に風下に当たる居住区画の一部を放棄する羽目になり、その方面への移動が大幅に制限されているのだ。

 これまでは居住区画を恐竜や獣から守る為に役立っていたが、これからは弊害の方が大きくなるだろう…。


「苦労するとして、出入り可能ならそれで十分朗報だよ。周辺探査の間に装備一式揃えて、念入りに入場させてもらうさ」

「確かに今すぐ行かないなら、準備は出来そうだな。何が棲んで居るか判らんし、それまでには私も色々覚えて置くとしよう」

 お前も付いてくる気かよ?何もかも吹っ飛ばすんじゃねえぞ。

 そういう言葉で苦笑しながらも、あえて否定はしなかった。

 最近の生物進化は早めに設定されている様で、どんな生物が毒素に適応しているか判らない。

 そう言う意味でも早いうちの探索が必要であったが、もう一つの目標もある。

「そう言えば、他に何か聞いてないか?専門家じゃねえとは言え既に入った奴の話はありがてえ」

「…そうだな。話半分に聞き飛ばしていたんだが…。事故で色々と壊れている機材もあるらしい。震源地ではないものの、余波が酷いという話だ」

 わ、私の専門でもないからな!

 サルマンデルはそう言って、重要かもしれない話を聞き飛ばした事に言い訳を入れる。

 期待はしてねーよと言う返事に憤慨しつつ、頭の隅を探って色々と思いかえし始めた。

「そう言えば出がけに貴様の話を奴からも聞いたな。…伯爵から聞いた話と殆ど同じだったんで気にも留め無かったが、冗談めかして貴様の事を七番さんと呼んでいた気がする」

「…へえ。なるほどねえ、奴も気が付いて居たのか。つーか、遠回しなヒントだな。こいつは気が付くわけねえって知ってるだろうしよ」

 悪かったな…。

 そう言いあって、二人は少しだけ沈黙した。

 アマデウスが告げたヒントとは、どんな意味があるのか再検討する。


「何の裏があると思う?その場で気がついて問い詰めたら、答えたと思うか?」

「そりゃねえんじゃないか?証拠を揃えて無い場合は怒ったフリをして、ひっかきまわす方へ走りそうだが…」

 普通の人間ならば証拠をそろえたら、逆に怒ったフリをするだろうがアマデウスの場合は逆だ。

 彼が求めているのは劇的さを愉しむ事であって、その場逃れの為に嘘を言うとは思えない。

 サルマンデルとアドベンチャーを早く合流させたいとして、他に何の意味があるのだろうか?

「確実なのは『谷』に重要な物が眠っているって事、4番目には秘密があるという事。場合によっては他にも大きな進展があるかもしれねえな」

「そこまで期待するのもどうかと思うが、新天地よりは谷を優先するのが今後の目標と成りそうだ」

 情報を確保してきた貴様には悪いがな。

 大きな山の向こうまで行って、翼竜タイプを見つけて来た彼に、サルマンデルは肩をすくめてみせた。

 それは構わねえよと応えつつ、アドベンチャーは他に何があるのかを考え続ける。

 答えが出るのは随分先の事になるだろうが、どこまで優先すべきか、命をどの程度掛けるべきか悩んだのだ。

 無意味な危険は絶対に嫌だが、ぶらさげられた的であるならば、喰いつきたくなるのは道理である。


「駄目だな。ここで考えても答えが出ねえ。新天地の情報は既に報告しちまったし、この分ならアマデウスも新発見は教えてるだろう。後は伯爵達の合議を待つとするさ」

「なるようにしかならんか。ならばその決定に合わせた場所に退治に行くとしよう」

 この手の戦略・政略に関しては二人とも不得手だ。

 みなの意見を聞いたうえで、専門家の伯爵が一番良い場所を攻略対象に決める。

 後はその決定に対し、過程の修正を求めるとか、…伯爵が事故にかこつけて自分の欲望を入れこまないかを監視するだけであった

「まあそれを決めるまでに、幾つかとっかかりの情報を仕入れてくるぜ」

「…あ。もう行くのか?」

 話は終わったとばかり、アドベンチャーは立ちあがって丘を登り始めた。

 思わずつまらない事を聞いてしまったと、サルマンデルは少しだけ後悔して見送る事にした。

 行き先が決まっているのなら、こんな何が居るか判らない所では無く、自分が見つけた自分だけの場所に戻るべきだ。

 彼女としても、居住区から遠くないのだから、さっさと戻れば良いとは…判っている。

 ただ、せっかく逢えたのに寂しいな…。

 とらしくもない感傷に浸るのである。


ゲーム風解説第四回とオマケ


@クエストと、リビルド・タイミング

 シナリオとして話を勧める傍ら

連作のショートミッションやキャンペーンに関わる課題が出される。

これがクエストであり、達成ごとにドロップ品やシナリオボーナスとは別の報酬が入ったり、新しい目標が提示される。

 ランダムに規制されるシナリオでは、このクエストに関わるショートストーリーで有る場合が多い。


 この段階では

0:チュートリアル1、コンピューターに起こされて事態(世界観)を把握するまで

1:チュートリアル2、NPCと出会って能力を把握し、冒険の旅に出るまで


2:連作のショートミッション:「湖攻略を果たす」と、「新天地を見つける」

3:連作のショートミッション2:「谷の攻略を果たす」と、「4番目について把握する」

4:キャンペーン黎明期の終了:事故を把握し、異常事態を解決する方針を確立する。


と言う感じで各クエストとグランド・クエストが設定されている。

モジュール呪文を使う為のスタッフは機械なので、基本的にはこのクエストが配布されるタイミングで、リビルドを掛けて設定し直す事が可能。


・リビルド

キャラクターは一定の方針が変更される段階で、大きな再構築を掛ける事が可能。

基本的にはこの段階で新しい概念や、技術が導入される扱いになるためである。

(チュートリアルを基本とした学園物は、教師の認可で例外)


作中ではスタッフへ組み込む能力を、特定の方向に規定したクラスの大枠

呪文の方向性を導入した門派が新しい設定として正式に導入される事になる。

この事でサルマンデルはクラス:精霊によって、大幅に初期コストが軽減され

アドベンチャーは探索向きのクラス:勇者ドレッドノートを選ぶ事になる。

ただし、この段階ではクラスの大枠と設定特典のみであり、クラス別スキルなどはまだ研究が為されていない。


クラス特典

精霊:ドミネーター・サルマンデル

同一属性のモジール属性を3つ設定し、効果を受け取る。

ただし門派・流派が取得できない。


勇者:ドミネーター・アドベンチャー

探索設定を行った対象に対し、防備がない場合は優先権を得る。

例として、魔術隠蔽していない対処のサーチや、魔術鍵を掛けて居ない扉の解除が、一段階簡単になる。


魔術師:ドミネーター・モルガナ

任意のコモンの属性か、コモンの属性をアンコモン1つに書き換える事が出来る。

任意の属性とは、ドロップ品や門派による変更でしか入手できない物でも構わない。

モルガナはこの能力で特殊な属性を得て、門派:創造門を組み合わせて使用指定いる。


レギオン:ドミネーター・クロガネ

レアまで(許可が必要なアンコモンを含む)任意のアイテム1つを得る。

初期では入手不能のアイテムを使いこなせば、器用貧乏のスキルマスターを補う事が可能。


聖職者:ドミネーター・伯爵

 聖別した対象へ、無条件の優先権を得る。

「聖別」は初期に造られたクラススキルの1つ。

伯爵はこの能力で獣たちを操ったり、他者のアイテムを一時的に借りけて色々な事を実行している。


亜人種:ドミネーター・アマデウス

 身体を開拓惑星に適応させて、自然地形:ロケーションの効果を得ることが可能。

指定したロケーションからの属性を受けるほか、その場所に置いて発生するペナルティを受けない。

アマデウスはこの能力がうまく機能している乱数の日では『谷』に自在に入り込み、違う日でもその週に強化される呪文によっては谷へ侵入している模様である。

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