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名も無き星の冒険者  作者: 流水斎
第一章
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対策の、起承転結

「事故でも事件でも解決しなければならないのは一緒じゃないか!こんな大事を放っておくのか!?」

「落ちつけ。俺達の使命で一番重要な事はなんだ?」

 激昂するサルマンデルを、アドベンチャーは宥めた。

 一見、同時に解決できそうな…解決せねばならない事の様に思える。

 だが、実際にはそうでは無い。

 彼らは開拓者であり、後の移民を導く立場に有るのだから…。


「ここで後に残る様なシコリを残したらまずいってのは判る。だけどな…たった七人が仲間割れして、なんとかなるような状況なのか?」

「…だからといって、それは犯人の思う壺だろう!?」

 どちらの言い分も正しい。

 今は状況は起きた最初の地点だ。

 ここで見逃せば、何時までも問題が残り続ける事になる。

 同様に、7人の誰かが欠ける…。というだけならまだしも、ギスギスした状況を造り出して停滞するのもまた問題なのだ。

 だから、今すべきことは…。

「ひとまずで良い、誰も知らない奴が居る証拠を見つけるなり、納得できる状況を造り上げてからだ。そうすれば戦いになろうが裁判になろうが、後に問題なんか起こりゃあしねえよ」

「それを見つける間に先に手を打ったらどうするんだ!?今だって既に犯人が何かしているかもしれないんだぞ?」

 答えの出無い問答である事は、互いに良く判っている。

 何しろ事故が起きた時、事件など無かったかもしれない(1人多い名簿も、装備や投票権を1枠分欲しいだけの便乗犯である可能性もある)。

 逆に意図的な犯行で有る場合、状況は刻一刻と悪くなる可能性も秘めている。

 犯人が動か無い可能性もあるが、状況の推移によってどちらにでも良いように、自分が都合の良い展開になるよう策を練るのは当然だろう。


「手をこまねている間に、こちらが犯人扱いされる事もあるんだぞ?そうなったら真相の追究なんて…」

「忘れてる様だから言っといてやる!俺らが新しい犯人を造り出すよりはマシだよ。じゃあ俺も便乗しようとか、出来心だったのに本気になられても困るんだ。取引に応じないのが一番マズイ」

 …水掛け論に、ようやく結論が導かれ始めた。

 というよりも、最初からお互いの方法論がスレ違っていただけで、目指す方向は同じなのだから。

 杓子定規に考えないのなら犯罪者は居ても良い、問題なのは自分達の運営が脅かされ、最終的に移民が台無しになる事が問題だ。

 それさえ避けられるのなら、犯人と取り引きしても良いのだし…。そもそも便乗犯であれば犯罪行為自体を止めているだろう。

 そんな状況で迂闊に刺激したらどうなるか?つまりは魔女狩りと居直り暴走からくる、より大きな大事件である。

「結局、どうやって事態を収束させるんだ?それを聞かせて貰わないと、少なくとも私は納得はできないぞ?」

「だからそれを説明する前に、お前がギャーギャー言いだしたんだじゃないか…」

 めんどくせー。

 ようやく静まった女に、男はため息ついて地面に描き直した。

 話が長くなりそうなので枝を集めて火を灯し、焚火に替えると二人して座り込む。


「一番困るのは解凍設備がどうにかなる事かな」

「確かに、私達だけでこの広い星を開発するなんて不可能だ」

 移民用の母船が吹っ飛ぶような命令は出せないし、本星との通信手段が無くなってもそれほど支障はない。

 となれば、避けるべき状況は母船からの降下船が破壊なり、工作されることだろう。

 増援として起こす段階に来ているので、今は刺激するべき時では無い点と言う事になる。

「加えて洗脳されねえように、考えとく必要はあるだろうな。その辺りで突出されても正直困る」

「…?起床プログラムで洗脳できるような情報は書き込めないだろう?」

 あちゃー。

 アドベンチャーは顔を抑え、何を言ってますかねーと呟いた。

 洗脳とは本来、交流によって植えつけるものなのだ。

 つまり…。

「自分で言ったろうが。俺達こそが犯人にされたらマズイってよ。この際だから、自分の勢力を拡大したいだけなら目をつむっても良いんだが…」

「そういえばそうだったな。……しかし、政治問題とかになるとお手上げだ。頭が痛くなってくるし、正直どれが正解なんて私には判らない」

 たった7人。増援として追加の移民者が目覚めたとしても数十名でしかない。

 その状態で独裁したければ、統治や裁判の専門家ではない彼らにとって、正直好きにしてくれとしか言いようがなかった。

 個性派ぞろいの初期移民を束ねるだけでも凄い労力だし、やれるものならそのカリスマ性を見せつけて欲しい物である。

 …よって問題となるのは、追求を逃れる為に、何もかも台無しになる様な情報を吹きこまれては困るという点だけだ。


「まあ4人目について調べる以外は基本同じだな。ただし、理由を付けての作為には気をつけとく」

「起床候補者をまとめて降ろしておくとか、予備の重要資材を数人だけの評決で決めるなと言う事だな?そのくらいならなんとかできそうだ」

 苦手な話が終わったからか、それとも自分は特に今までと変わらなくて良いからなのか判らないが。

 アドベンチャーの直ぐ近くで話しあっていた事に気がついた。

 夜間で明りは少ないし、密談しているのだから当然ではあるのだが…。

 焚火よりも熱い物を感じるサルマンデルであった。


ゲーム風解説の第七回


・アイテムのレアリティ、クラス:レギオン

 本筋とは関係の無い、陰謀物への対策関連は1話で終了。

ただし、何気に今後へ関わってくるのが、意味の薄い重要物資の持ち出しが難しくなる。

元々モジュール既成装置の殆どの位置が不明な状態で有る為、いわゆるレアリティが決定付けられる。

(現在のメンバーは、パスコード1つで超重要以外を持ち出せる為、仕方の無い制限ではあるが)

 これに対して職分から、一定の持ち出し制限を免れているのがクラス:レギオンである。

ドミネーターの中でも、母船・近隣開拓惑星との物資運搬管理を職分とした別格であるスローナーであるクロガネを参考とし、一定のレア・アイテムや研究成果(別クラスの特典)を使用出来る。

(なお他の別格は、マスターである管理者、次席管理者、知識を本星・他の開拓惑星と共有する役の最大4)


クラス:レギオン

 開拓母船からの重要物資・技術・知識を管理する役である、ドミネータ・クロガネを参考に造り出されたクラス。

ゲーム的には入手頻度:レアのアイテム一つか、他のクラスの特典のどちらか使用出来る。

能力的にはアイテムの能力を引き出したり、向上させるタイプのキャラである。

アイテムの中にはモジュ-ルを個別で1つだけ選べるので、初期から空間系・転移系などレアリティの高い呪文を使用する事も出来る。

(レア・モジュール単体か、アンコモンの補充装置など)


なお、モジュールのレアリティを簡単に書くとこうなる。


1:コモン

 地・水・火・風などの自然にある物を調整するモジュール。

コマンドとしては、防御強化、攻撃ダメージ、回復、移動強化など

戦闘関連の内容になっている。


2:アンコモン

 重力・雷・氷結(凝固)、砂(分体管理)など、自然には有るが概念的に高度な物。

効果加算・内容物補充・効果逆転など、現象自体の効果に作用する物が主体である。


3:レア

 空間・時間・場所(位置情報)などなど、非常に概念的で普通は自然界にそのまま存在しない物となる。

「空間」であれば、空間を発生させて場所を広げたり、対象範囲を一定空間全体にして、回避不能にもできる。

基本的には非常に協力であるが、概念的な物であるため、とても扱い難いのも特徴。


4:それ以上

 現時点であるかどうか不明な内容。

神や魔など、存在が不明な物がこれに当たるのだろう。

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