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あなたにはもう届かない

作者: 神崎 姫奈
掲載日:2026/05/26

「瑠唯となんか付き合わなかったらよかった!」


その言葉を最後に私たちはもう会えなくなってしまった。


________________________


私たちの出逢いは高校二年生の夏。

大きな声で鳴くセミ、真夏の炎天下のグラウンド、蒸し暑い教室、全てが私たちの思い出。


「今日転校生が来ました。おーい入ってこい」


そう先生が呼び掛け入ってきた人は、どこか憂いのある表情の男の子だった。


「こんにちは東京からこっちに来ました。夏川瑠唯です、みんなよろしくね」


真夏の教室に夏がつく夏川瑠唯、夏生まれなのかな?笑


そんなことを思いながら


「ねえ隣の席、よろしくね?名前聞いてもいいかな?」


それが瑠唯との出逢いだった。



そこから私達は4ヶ月もの時を過ごした。

放課後みんなでカラオケに行ったり、時には二人でコンビニのアイスを食べたり、どっちが奢るかなんてじゃんけんで決めたりね。


本当に楽しかった。

こんなにも合う男友達はもしかしたら初めてだったのかもしれない。


そんなある日の冬だった。


「ねえ愛珠?俺たちってさ本当に友達のままでいいのかな。」


「どういうこと?」


「…俺愛珠がすきなんだ初めて会ったときから。愛珠は気付いてなかったかもだけど笑笑」


「え…まずはありがと」


私が言葉足らずにありがとうと伝えたら、瑠唯はちょっと寂しい顔をした。


「愛珠は俺のこと好き?」


「……うんだいすき」


とても嬉しそうな顔で泣いていた。


そこから私達は高3になり、約半年付き合った。


半年も一緒にいた私たちだったけど、人生で初めて大喧嘩をした。


瑠唯に別の好きな人ができたらしい。

「愛珠…ごめん俺別に好きな人ができたんだ」


今まで好きだよとか結婚しようねとか散々言ってきた瑠唯に「他に好きな人ができた」なんて腹が立ってしょうがなかった。


「え?意味わかんないんだけど」

「今までのは嘘だったってこと?好きとか結婚とか」


「本当は思ってなかった。結婚しようとかは」


私は咄嗟に言ってしまった、これが最後になるなんて思いもせず。


「瑠唯となんか付き合わなかったらよかった!」


その言葉に瑠唯はとても悲しそうな泣きそうな目をしていた。当時の私には理解ができなかった。一番苦しいのは私なのに。



それから私たちは音沙汰もなくお互いのsnsもブロックし、疎遠になった。


私は3ヶ月もの間、喉に食事が通らず学校にも行けない日が続いた。



________________________


不在着信1件


そんな通知を見た。


たまたま留守電に残っていたので聞いてみる事にした。



「愛珠…この電話を聞くときはもう俺はここにはいないかもしれない。でもこれだけは絶対伝えたかったんだ。他に好きな人ができたって俺は言ったけどそんなことは全部嘘。俺が転校してきた時から愛珠は特別で生涯愛したかった人だったよ。でも俺は白血病で、転校してきたのもそれが理由。東京の大きい病院に通院しないとダメだったんだ。」



「愛珠。愛してるよ今も明日もこの世にいなくてもずっと大好き。俺の初恋を奪ってくれてありがと。愛珠は俺のことは忘れて他の良い男と結婚してね。俺みたいなのじゃなくてね。」


私は泣き崩れた大好きだった彼が実は病気で東京に引っ越して来たこと。そして彼女であった私には内緒にしていたこと。



私達は「あの言葉で」最後になってしまった。


瑠唯はずっと私を愛してくれてたんだね


もうあなたには届かないけど…



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