復讐を誓った時
そよ風が吹く。その中で私は何を求めてるんだろう。
元はお金持ちの令嬢だった。両親が死んで、養父母にこき使われて、それゆえ両親の仇が今まで信頼してた叔父さん…
凛はビルの屋上の上に立ち、そよ風の中全てが嫌になった。そして飛び降りようとした瞬間誰かに止められた。
「離して…離して!死にたいの!離して!」
「凛!しっかりしろ!凛!」
そこには兄代わりと言ってもいい、海がいた。海は凛を強く抱きしめる。力強くただ無言で。
「私…何のために生きてるの?このまま生きててもわかんない…苦しい…」
「凛。このままでいいのか?」
「え?」
凛は初めて海の顔をしっかりと見た。海の目は真剣だった。
「復讐しないのか?あいつらに…」
「復讐……でも、海の信頼する人でしょう?」
「信頼?あいつに?確かに社長にしてくれたことには恩義を感じている。復讐できる立場にしてくれたことはな?」
凛は初めて海の本心を知った。海の立場は複雑だ。神崎グループの会長と海は血が繋がっていない。
幼い頃から母親に連れまわされていた海は神崎グループの会長と出会い、その才覚を見込まれ社長となった。海の母親も神崎グループに入った。
しかし、母親が会長を誘惑し、海の心の支えだった当時の神崎夫人を神崎グループから追い出した。
『追い出す』、一見ただ追い出されたように見えるが、実は神崎夫人は殺された。唯一の母と思っていた神崎夫人がいなくなり、海は復讐のために実母を利用した。
実母を神崎グループの奥方にし、会長に近づこうとしたのだ。
「私と復讐相手は同じ……」
凛は、幼い頃から叔父である神崎会長に育てられた。それは、両親が何者かに家を放火され、死んだからだ。しかし、凛はここの屋上に着く前に聞いてしまった。
―2時間前―
「叔父さん!コーヒーを持ってきたわ!」
「ありがとう。凛は頼りになるなぁ…いっそのこと海と結婚してくれれば娘になるのになぁ。ガハハっ!」
「叔父さん何言ってるのよ!」
何のたわいもない日常だった。両親が死んで、叔父さんは私のことを引き取ってくれた。しかも、花宮の姓を名乗ることも許してくれた。命の恩人だった。しかし、凛はその後聞いてはいけないことを聞いてしまった。
コーヒーを下げ、職場に戻ろうとした時、叔父さんに資料を提出するのを忘れていた。
(全く。私って本当に忘れん坊…叔父さんまだ休憩中かな?)
資料を持ち凛は会長室に向かった。そしてノックしようとした瞬間のことだった。
「凛のことだが、いつ始末できる?」
(え…?)
淡々と言う叔父に対して部下は言った。
「申し訳ありません。もうすぐです。この後花宮凛をご両親の墓に連れて行く予定でそこで決行予定です。」
「そうか。ならいい。兄さんのところで最期を迎えられるならば本望だろう。」
凛は足音を立てずに静かにトイレに行った。そこであまりのショックに嘔吐した。
(どういうこと…?まさか私を殺す気?まさか……パパとママを殺したのは…!)
当時、両親が死んだ時、警察の調べは淡々としていて、容疑者の男もなぜ放火したのか聞くと「金が欲しくて家に入った。でも、金庫を漁ってるのを見られて2人を殴り、放火した。」と言った。だが、当時の現場には扉が外側から頑丈に板で開けられないように閉められていた。
容疑者が慌てている時に板で開けられないようにする余裕があるのだろうか?そう思った凛は警察に再調査を依頼したが、その時には容疑者は牢で首を吊っていた。
(私が再調査を依頼したのは一昨日。叔父さんも協力してくれた。まさか…私に事件の真相がバレないように私を殺そうとしてるの?計画性のある両親の事件…それを主導できるのは…!)
「1人しかいない…」
凛は急いで会長室の前に戻り、携帯の録音機を起動させた。そうすると恐ろしい真相が待っていた。
「兄さんも大人しく計画資料を渡せばいいものを…そうすれば殺さずに済んだのにな。結局、兄さんが激高して火を放つしか方法がなかった。」
「しかし、そのおかげで今の神崎グループがあるのでは?」
「そうだな!いやぁ殺してよかった!ガハハッ!」
―現在―
「ここには証拠が詰まってる。でも、私の力では会長を倒せない…」
思い詰める凛に海は提案した。
「凛。結婚しよう。」
…は?と凛は問い詰めた。
「何言ってるのよ。今の私の話聞いてた?」
「だからだ。俺を利用しろ。結婚して神崎グループに入り、証拠を掴んであの悪魔を地獄の底に叩きつけるんだ。」




