歴史。
バンクス城下街を追いやられ、仕方なく森の中を超えこの村へやってきた。
そこで何故か歓待されて、その場で村長秋の夜長に驚くべき真実を告げられた。
件のバンクス城は元は、この世界にいた、バーグルという民族がすむ城だったということ。
バーグル族は、目的は分からないがこの地に日本を照準として、一年に一回召還の儀を執り行ていた。その時召還されるのは3人。この儀式は長い年月を通じて行われ続けた。
召還された日本人は、城の中で酷い扱いは受けなかったらしい。
ここの世界の古い文献を調べる限りバーグル族は温厚な民族だったとか。
そんなバーグル族に打ち解けていく人間もいたが、そうでない人間もいた。
人間から見れば、相手の異形は驚嘆に値するものだ。
まさしく、宇宙人か、妖怪のような存在だった。
その民族と馴染めない、もしくは彼等を差別的な目でみるものは、
城から離れて、同じ意見を共にする者を従えて、この大陸のあちこちに集落を構えていった。
そうしてできた集落では、独自の生業を確立し、村社会の中で規律や様々な組織が作られていった。
彼等の頂点に立つのは村長を筆頭に、外からの脅威に対抗する自警団、調達組と言われる、山野にいる
野生の動物を狩ったり、木々に自生するキノコや山菜などを調達する集団。
他にも色々あるそうだが、この村に住むものは食物や家を提供される見返りに、必ずどこかの組織に入ることが村の掟とされていた。
こうして集落が広がっていくと、人間達に領土意識ができていった。
自らと全く姿形の異なるバーグルを近しい場所に、しかも城に住まわせておくわけにはいかない。
人間達は徒党を組み、ある日、バンクス城に押し入り、温厚なバーグルは武装した彼等に抗う術をしらず、僻地へと追いやられていったらしい。