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使いまわし。


「暑いなぁ」

 電車を降りると開口一番、弟の輝はこう漏らした。

 同意見だ。

 夏は暑いに決まっているが、この頃の熱気は筆舌に尽くしがたい。

「おい、ちゃんと歩けや」

「す、すみません」

 駅の改札口を出て、日向の灼熱地獄へ踏み込むのに躊躇している矢先、ドスの聞いた声が後ろから飛んできた。すぐに謝るが、体格のいい白いシャツの男は舌打ちをして足早に去っていった。

「こ、こえぇ」

 輝は背を仰け反らせ、気後れ気味に言った。

「気が短いよな~」

 みんなこの暑さで機嫌が悪いに違いない。

 

 以前、面倒になって、この世界を凍結させた。

 完全に消さなかったのは、輝や雪乃の消滅を防ぐためだった。

 当然、凍結を解除したので、あの日の世界がここに蘇ったのだ。

 

 前田探偵事務所の所長は釈放された。

 相手と和解したからだ。

 詐欺の容疑――詳しくは話してもらっていない。

 まぁ、雇い主が復活したのなら、俺のバイトは続行だ。


「久しぶりにやってきたな」

「頑張ろう」



 

 

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