牢屋にて
不遇な僕たちは良く分からない世界の城の地下牢に入れられた。
3人一緒に……
些か緊張していた。
「おい、間山だっけ」
「あ、はい」
声が裏返ってしまう。
「どうするんだ? 」
「どうすると言われても」
僕は臆病で人見知りが激しい。
当然、こういうタイプの男子は苦手だった。
細い歩道で向かってきたなら、間違いなくこちらが道を空けるに違いない。
僕が黙り込むと、彼は奥の苔むした壁に座る彼女を見やった。
「水島だっけか」
「…………」
神田君は水島って女の子に声をかけようとして口ごもる。
彼女は口数は少ないのだけれど、何か近寄りがたいオーラ纏っている色白の美人だ。
さっきも神田君は横柄な口調で声を掛けてガン無視されたばかりだった。
「こら出せやー! 衛兵! 」
わめく神田君。
足を抱きこんで大人しく余生を楽しむ僕。
冷たい床に教科書を置いて、その上にノートを開けて何かをつづる水島さん。
何を書いているんだろう?
僕は気になって彼女の傍に、膝でにじり寄った。
興味深げに眺める僕を彼女は一瞥すると、
「日記をつけてるの」
と一言だけ漏らした。
「なるほど」