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仲間。

 

 仲間が欲しい。

 いくらなんでもこんな寂しい荒野で俺一人とか侘しすぎる。

 さっそく携帯だ。

 

 『俺は16歳の高校生なんで、相手は年下にするか、14歳にしよう。名前はテリー。

 性別は、最初は男にしよう。俺の僕、従順で優しくて聞き上手、明るい、先導役もこなせる。

 外見は眉目秀麗、自然な亜麻色の髪、目は優しさを湛えてフレンドリー。背は俺175より低めの170cm。特技は陰陽道、柔道3段、剣道3段、空手3段、そろばん3段、IQ高め。推理オタ。これらを満たす』

  

 よし、決定を押した。

 さぁ出てこい、テリー。


 おぉ、袴着た侍のような姿のテリーが目の前に現れた。

 腰には日本刀を刷いて、足には草履。

 眉毛は濃くはっきりと末端まで映え揃っている。

 年下なので遠慮なく容易く声をかけることにした。

「やぁ、テリー」

「拓様、はじめまして」

 その場にさっそく肩膝ついて頭を低くするテリー。

 姿格好が微妙にアンバランスだし、言動にも適当なところが見られるが、

 要は携帯に書いた条件を攪拌して出来た即席人間がテリーなわけだ。

「今日から俺の足となり手となって働いてもらうぞ」

 俺はもちろん主人なので、従者であるテリーには上から物を言う。

「もちろんです! 」

 そこでそんな発言するとは思わなかった。

 明るいが微妙にブレンドされているせいだろう。


「さぁ、どうするか」

「砂山つくりしましょう! 」

「飽きた……」

 悪いけどすぐに否定させてもらった。

 発想まで俺と一緒に貧相にならなくても良い。

 おっと、今日は眠いな。

 瞼がやけに重い。

 さっきまでいた俺の世界では深夜2時半だった。

 そろそろ寝なくては。

 『ペンション 山伏、俺専用の宿だ。気のいい老夫婦が身の回りの世話をしてくれる。ペンションの土台にはタイヤがついていて、移動が出来る」

 これでOK押すか。

  すぐに白い煙が荒野の一部分に立ち昇り、ペンション山伏が姿を表した。

  白一色で染められた、長方形の建物だ。車みたいな形だと思って欲しい。

  窓が何個か両側面にある。

  前面と思われる部分には車のライトのようなものと覗き窓が一つ。

  あの窓から老夫婦、たぶん爺さんが外を見て運転するに違いない。

  側面の左側に木の扉がついている。

「テリー俺を負んぶしろ」

「はいー!」

 テリーの背中によいしょとか言いながら負ぶさる。

 見かけによらず、がっしりしてて俺の重みを意に介せず、

 左手で尻を支えつつ、扉のノブを右手で回して中に入っていく。

「ちわ、拓様はすぐに眠りたいそうです! 」

「おうおう、これはこれは拓様! 爺が案内しますよ!こちらへ」

「任せた……」

 エプロン姿の目尻が下がった優しそうな爺さんが木の香りがする階段を上って、

 俺達を部屋に案内する。

「ここです! 」

「おぉ、ベッド! 」

 窓から差す柔らかい白光が部屋を優しく包んでいる。

 中は木材がふんだんに使われていて、何となく気分が落ち着く。

 まぁ、そんな事はどうでもいいんだ。

 ベッドに、ダイブ! 

 あぁ、気持ち良い……乾いたばかりの日光の匂いが染み付いた敷物に、

 青っぽい柔らかい掛け布団、俺の頭にあった程よい高さの枕。

 俺はすぐに掛け布団を駆けて、枕に頭を良い塩梅に乗せて右側を下にして目を閉じる。

 二人の息遣いが聞こえるが、俺の命令を待っているせいか黙ったままだ。

 取りあえず、よく寝たいので……

「俺が部屋を出てくるまで、起こす事は罷りならぬ! 」

「「御意! 」」

 ピエールと同じく言葉は臨機応変に変わるようだ。

 おやすみ。

 

 

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