表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
195/197

アテネ改造計画

仮想世界に耽溺


 軽自動車でとある山腹にある山小屋にやってきた。

 水上のおばはんを回復させたので、ここに遺棄することにした。

 アテネが水上さんの体から離れ、意識が戻っていない水上さんを山小屋に寝かせる。

 これで隠蔽工作は完了。

 シナリオとしては、死体が飛んで逃げてここまでやってきたということにしよう。

『飛ばしの携帯』

 反映されると、さっそくその携帯で近くの所轄署に死体を発見した旨を伝える。

 そして、車でアテネとともに立ち去ることにした。

 別に山じゃなくても良かったのだが、近所は常にマスゴミや警察やヤジウマがうろうろしていたので、家の近くで遺棄するのは難しかったのだ。

 公園でも良かったけど、都会は監視カメラがあちこちにあるから、妙な疑いを掛けられても困るしね。

「アテネ、もう、かってに憑依しないでおくれ」

「はい、分かりました」

 アテネは一応、オリュンポスのアテネみたいな力を使えるのだけれど、日本社会では真っ白な赤ん坊同然というか……一般常識がないのだ。

 俺は教育が必要だと感じていた。

「よし、どっかでマンションを借りよう」

「マンション? 」

「住居のことだ」

「なるほど……」

 アテネは頭がいいので、一度取り入れた知識は二度と忘れない。

 マンションで英才教育を施して、俺好みの女に仕立ててやろう。

 男のロマンというやつだ。

 

 兵庫県の神戸市三宮まで軽自動車でやってくると、車を有料駐車場に止めて、歩いてマンション探しを始めた。

 どうせなら高層ビルの中にある高級賃貸マンションを借りよう。

 六本木ヒルズのようなのがいいな。

 俺はガラケーをいじりながら、ネットで検索した。

 あった!

 神戸○○センターだ。

 一部伏字にしておく。

 よし、携帯だ。

『神戸○○センターの15階以上にある高級賃貸マンションがおれんち」

 反映。

 これで住居も確保ができた。

 さっそくエレベーターを上がって自室に向かった。

 部屋の扉を開けると、見たこともない世界が広がっていた。

 大理石の床に、ふかふかソファー。システムキッチン。

 広いバルコニー、その先に広がる絶景。市内を一望できる。

 いやーなんだか、本当にここに俺住んでいいんだろうか?

「アテネ気に入ったかい? 」

「はい」

「もっと喜んでほしいな」

「はい」

 アテネは見たことのない世界に戸惑っているようだった。

 言葉がぎこちない。

 神でも緊張するみたいだ。

『肩書き、俺は某IT企業の社長の四男、政治家とも交流あり、父親は放任主義』

 これも反映をしておこう。

 本物の父さんと母さんとはお別れだ。

 仮想世界だから別にいいだろう。

 さてと、アテネを育てる人材発掘をしなくては。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ