だるい。
いや、ほんと、息抜きでプロットなしで、だらだらと書きますので。
時間を無駄にしたくない方は見ないほうがいいですよ。
チャイムが鳴り響いた。
『はい』
『警察のものですが』
俺は湧き上がる衝動を抑えるのに必死だった。
こいつ殴りてぇ。
なんという恐ろしいことを考えているんだろう。
アテナが何か魔法のような力を注いだらしい。
『が、ぐ……あの、なんでしょう』
『今、向かいの水谷さんが殺された事件で、近所の皆さんに聞いて回っています』
『わ、わかりました』
まずい、このままでは確実に警察官を殴ってしまう。
出て行ったら必ず顔面をへこますだろう。
アドレナリンが凄いんだ。
しかし、出ないわけには。
俺が階段を下りていこうとした時、また外が騒がしくなった。
「うわ、うわ、うわわ」
「ひ~~~~~~~」
「きゃああああああ」
ど、どうなってるんだ?
甲高い悲鳴、警察官の荒々しい声。
そして、歪な金属音が断続的に耳を打った。
何が起こっているんだろう。
「ん? 」
騒々しい音に身を固くしていると、急に体から不穏な力が抜けていった。
アテネの力の効果が切れたようだ。
俺は恐る恐る玄関まで下りてきて、扉を少しだけ開き外を覗き見た。
「うわ、な、なにが」
外に出てみると、警察官や救急隊員が地面に座り込んでいた。
それそれが大きく目を見開き、道路の東側へ顔を向けている。
俺は足元の警察官に声をかけた。
「なにかあったんですか? 」
「え、あ? え? あ、ああ、えっと……」
警察官は反応は鈍かったが、ゆっくり身体を起こすと俺に告げた。
「死体が……飛びはねて……あっちへ行ったんだ」
俺は意味が分からなかった。
周りの人たちも、何が起きたのか理解していない様子だ。
死体が生き返って飛び跳ねる?
そんなことがありえるのか。
しばらく俺は玄関で立ち尽くしていたが、救急隊員や警察の人々が、急に慌しく騒ぎ始めたので、部屋に戻る事にした。
階段を駆け上がって部屋に入る。
「アテネ! 今さあ、なんか面白いことあったらしいんだ」
「面白いことですか? 」
「え? え? え? 」
俺の目の前には、アテネの声をしたおばさんが立っていた。
「へえ、人に取り憑けるんだ」
アテネは言った。
「あの方はまだ魂が身体に残っていました。それなのに、彼らは箱ごと彼女を浚っていこうとしたんです。わたくしは見過ごせなかった。」
「それで彼女の身体の中にはいり、飛び跳ねて、屋根の上にあがり、ぐるっと遠回りして、俺の二階の窓から入り込んだってわけだな」
「そういうことです……」
アテネは申し訳なさそうに、声を潜めた。
「部屋を汚してしまって……」
実際気持ち悪かった。畳敷きの部屋に血痕が散在していた。
「ま、まあ……最初は驚いたけど、アテネだもんな、それくらいは……」
確かギリシャ神話のアテネも憑依は得意だった。微妙に脳内で知識が反映されているようだ。
「私が身体に入っている間にこの方の傷は癒えます」
「そ、そっか、そんなことが出来るんだ……」
「はい」
さすがはアテネか、しかし……
「え、えっと、それでさ、どれくらいで治るんだ? 」
「3時間ほどです」
ま、参ったなあ……3時間もこんなオバハンの姿のアテネと二人で……