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逃亡。
正直今いる世界も、俺にあてがわれた立場も成り行きも気に入らなかった。
全てが面倒だ。
俺は乗り気になれなかった。
何が勇者だ。五聖だ、ガラパゴスだ。
そんなウンコストーリーにはめ込まれてたまるか。
取り合えず、俺は――逃げた。
首元から離れて人間に化けているカマクビからも、ヤドカリからも。
この世界と俺を結ぶ紐帯を断ち切り、俺はエストの山奥へ引き篭もった。
何も俺はこの世界の趨勢に従う必要はないのだ。
ふざけんな。
俺はこの仮想空間では神だぞ。
携帯でいつでも世界の成り立ちを変えることができるんだ。
何がかなしゅうて、そんな危険な旅やらお国騒動に巻きこまれなければいけないんだ。