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亜空間VoiCe  作者: 瑞月 啓
面接編
2/3

癖の強い男

「求人広告を見て応募しました。」

「あら、なんと珍しい。」

(まあ、何するかよくわからないしな。)


穂月は早速応募した。頭の回転と同じくらい行動も早い。


「働きたいんだね?」

「そうですね。」

「わかった。素質はあるようだから、とりあえずここおいで。」


この会話で何がわかるのか疑問に思ったがそんなことはどうでもよい。


(面接だ……。)


なにせ彼はこれまで面接にすらこぎつけたことがない。書類で落ちているのだ。

勉強はできる、人柄もよい。でもそんなことは書類からは伝わらない。


(初面接、楽しみ。)


暢気(のんき)にそんなことを思いながら、穂月は送られてきたショートメッセージを確認した。


――面接について―― 

面接日時:4月8日(火)10:00~

面接会場:非公開

求人広告前にいる人に声をかけてください。会場までご案内します。

当日は履歴書をご持参のうえ、動ける服装でお越しください。


(2日後か。思ったより普通だな。)

素質だのどうのこうの言われた手前、何かあるのではないかを考えたが杞憂だったようだ。

穂月は帰宅し高校のジャージを出した。彼の中では動ける服装=高校のジャージ。

「” Intersective Station” ね……。交差する駅とかか?」

試しに調べてみる。ヒットするものはない。調べ方が悪かったのかもしれないと様々な方法を試した。

まずこういうことは応募する前にやることだが。


……結局どんな会社かもわからなかった。会社ではなく商業施設なのかもしれないが、なにも出てこないのだ。HPも見当たらない。


当の本人はそういう(HPのない)ところもあるよなと気にとめようともしない。そもそもバイトなのに月¥450000はおかしくないだろうか。実働時間も書いていない、業務内容も書いていない。欠陥だらけの広告など誰も応募しないのが普通だ。


しかし、ここで応募してしまうのが曽倉穂月(そくらほづき)という男であり、癖の強さを示す決定的な証拠だ。

所謂、後先考えずに行動するタイプである。


ここまでだと凛とした男という印象が崩れてしまうような気もするので補足しておくが、彼は日々()()()()()()ような人だ。囲みは男女問わない。皆から聖人のような扱いを受けており、彼に聞けば大半が解決すると言われているほどだ。175cmとは思えない物腰柔らかな雰囲気と麗しい笑顔さえも持っている。

持っていないのは自身の知的好奇心を自制する理性と自尊心ぐらいだろう。彼の成績が良いのも彼からすると好奇心に従ったまでのことであり、本質的には理解していないらしい。故に何も知らないのだと。めんどくさい男というわけだ。


人間力のある素晴らしい男、それが曽倉穂月である。好奇心が働かない状況に限るが。



そんなこんなで4月8日。面接の日。

特に緊張する部類でもないのでいつもと変わらない朝を過ごした。ジャージに着替え、求人広告のあった場所へ向かう。一応人間力のある男なので10分前には着くように計算して出発している。抜かりない。


(あの人……か?人って言っていいのか?)

求人広告の前に着くともう既に案内役がいた。人のようだがしっぽが見えている。それに獣の耳も生えているようだ。狼のような凛々しい眉目のお方が佇んでいる。狼のお方と呼ぶことにしよう。


誰も彼の姿を気に留めない。コスプレの類か。

(ハロウィンじゃないし……。テーマパーク系のバイトか。)

穂月の中で業務内容に関する疑問は解けたらしい。


「面接、受けたいのですが……。あなたが案内の方ですか?」


あっさりと声をかけた穂月に対して狼のお方は少し驚いているようだった。驚かないことに驚いていた。しかし、相手は曽倉穂月である。彼の中ではバイトに関する好奇心でいっぱいなので、しっぽが生えているとか獣の耳が生えているとかはどうでもよいのだ。


「そうですが……。やはり()()があるのですね。」

(素質?この人が電話の相手か。)


またも素質という言葉を耳にし、穂月はこの人が電話に出た相手でショートメッセージに書かれていた案内役で間違いないと思った。厄介なことに、彼の好奇心は”素質”に反応してしまった。


「電話の時もおっしゃられていましたが、あなた方の言う”素質”とは何のことでしょうか?」

「あ、えっと、何も聞いていませんか?」

「素質があるようだとおっしゃられていましたよ。」

「そ、うですか。素質というのはその管理課としての、といいますか……。」

「管理課……。ちなみに何の管理でしょうか?」

「え」

「ん?」

「もしかして……異世界の方ではないのですか?」


両者、認識の齟齬を感じる。お互い頭の切れる者のようで。


「上の者に確認しますね。」

「とりあえず、面接会場に行けばその方に会えますか?」

「そうだと思います。面接会場に案内しますね。」

狼のお方はそういって呪文を唱えた。すると(とびら)が開いた。


()()も見えているのですね。」

狼のお方は驚く穂月に向かって問いかける。

「これも……?」

「求人広告も、私も、闔も。ここにいる人には見えませんよ。」

ゆっくり書いていきます。

そういえば文字数の相場ってどのくらいでしょうか。

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