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『転生した以上、幼馴染+αと美少女ハーレムをつくってイチャラブ学園生活を送ると決心したオレ』  作者: 姜維信繁


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第77話 『部活解放ウェーブ! 悠真、GWハーレムシフトを画策する』

 1986年(昭和61年)5月3日(土)~5日(月)


 前日、5月2日(金)


 やがて昼休みになり、さらなる情報が飛び交った。


「聞いた? 卓球部の3年生も退部届け出したって」


「誰? うそ! あの鶯谷(うぐいすだに)先輩が?」


「ああ。朝練サボって顧問に怒られたんだってよ」


「でも、ぴよちゃん先輩って成績優秀じゃん。全国模試でもかなりの順位だったよな?」


 鶯谷のウグイスの鳴き声なら『ホーホケキョ』なのだが、なぜかヒヨコのピヨピヨから悠真は『ぴよちゃん』先輩と呼んでいた。


 その『ぴよちゃん』こと鶯谷英子先輩は、目立たないおさげのメガネ女子なんだが、実は隠れ美女なのだ。


 悠真はクールビューティーの高橋と同様にハーレムにと画策したのだが、菜々子と絵美に発覚して頓挫している。


「それを顧問は『勉強なんて二の次だ』って言ったんだってさ」


「マジかよ!」


 うわさ話で盛り上がっている悠真たちの近くに、菜々子と絵美が近づいてきた。


 2人は卓球部だ。


「ねえ、悠真」


「どうした? 菜々子」


「今日の集会で、卓球部を代表して私が話さなきゃいけなくなったの」


「マジで? おー、すげーじゃん!」


 菜々子の表情は緊張気味だ。しかめっ面をして不安そうに唇をかんでいる。


「鶯谷先輩がいないから、2年生の中から多数決で……」


「大丈夫だよ。ありのままを話せばいい。菜々子たちがどう思ってるのか、正直に伝えるだけでいいんだ」


 悠真は菜々子の肩に手を置いて体を寄せて、耳元でささやいた。


 すかさず凪咲(なぎさ)と美咲が二人の様子を目で追う。


 菜々子はホッとした表情を浮かべ、ほほ笑んだ。


 顔が少し赤い。


「ありがとう、悠真。悠真が応援してくれると思うと、勇気が出る♡」


 絵美も小さくうなずいている。


「私も……部活のあり方が、変わるといいな」


 絵美の小さな声に、悠真は優しくほほ笑み返す。


「もう、聞いた? 剣道部と男子バレー部だけじゃなくて、卓球部とテニス部、それにバドミントン部まで反抗し始めたって。3年生を中心に、みんな部活の強制参加に不満があるみたい」


 後から教室に入ってきた純美は、少しだけ興奮している。


「このままだと、明日からの連休中の練習も中止になるかも!」


 そう言って、純美はうれしそうに笑った。


 美咲と凪咲も目を輝かせる。


 何とも言えない多少の罪悪感はある。


 美咲も凪咲も純美も、バレーが嫌いなわけではない。


 菜々子や絵美にしたってそうだ。


 嫌いではない。


 それでも、まさに願ってもない出来事だったのだ。部活に拘束される時間が減れば、悠真との時間が増えるのだから。


(これで全員と会う時間も確保しやすくなる……)


 部活がどうなるかは正直どうでもいい。


 結果的にハーレム計画が順調に進むので、悠真はひそかに喜んだ。



 


 午後の全校集会。体育館には全校生徒が集まり、緊張感が漂っていた。校長が壇上に立ち、静かに話し始めた。


「皆さん、今回の件について、各部活動の代表から意見を聞きたいと思います」


 最初に立ったのは剣道部の川口崇広。彼の姿に、体育館内が静まりかえった。


「オレたちは奴隷じゃありません」


 川口の発言に、教師陣からはどよめきが生じた。しかし、彼は平然と話を続ける。


「朝は早くから、放課後も夜遅くまで、休日も、テスト期間中も。部活動に縛られて、自分の時間が全くないんです。勉強する時間も、友達と遊ぶ時間も、家族と過ごす時間も……」


 川口の声は次第に熱を帯びていき、体育館内の生徒たちの表情も変わっていった。共感のまなざしが増えていく。


 まったく、くそ野郎がどの口で言ってんだよ。


 それが悠真の正直な感想だ。


 こういう輩が、大人になって自分の過去の行いを棚に上げて、自由や人権を振りかざすんだよな。


 これも、悠真の心の声である。


「部活動は強制なんですか? 自分の意志で参加する活動じゃないんですか? 嫌々参加しても、いい成績が出るとは思えません」


 続いて女子バレー部の高橋明日香が立ち上がった。端正な顔立ちに凛(りん)とした表情。彼女が話し出すと、体育館内は水を打ったように静かになった。


「私は女子バレー部のキャプテンとして、責任を持って部を率いてきたつもりです。でも、……部活動だけが学校生活ではありません」


 高橋の冷静な語り口は、川口の熱さとは対照的だが、その言葉の重みは同じだった。


 うん、そう。


 先輩がそう言うならそうなんだろう。


 悠真はうなずく。


「私は将来、薬学の道に進みたいんです。そのためにはもっと勉強の時間が必要。でも、今の部活ではそれが許されない」


 いやあ、すごい。


 中3でそこまで考えているとは。


 悠真は先輩の発言に感心したが、その後何人もの部活の代表が立ってそれぞれの意見を述べた。


 そして、いよいよ菜々子が卓球部の代表として壇上に立つ。


「卓球部では、特にテスト期間中も休みなく練習があります。それで勉強時間が十分に取れず、テストの結果が悪くなる人も……」


 少し緊張した様子だが、菜々子は堂々と自分の言葉で語り続けた。


「部活動は大切ですが、勉強も大切。どちらも頑張りたいのに、今のやり方では難しいです」


 そして、校長の視線が悠真に向けられた。


「軽音楽部はどうですか?」


 え?


 えええ?


 オレ?


 名前を呼ばれた悠真は、一瞬緊張したが、立ち上がって答えた。


「軽音楽部は……正直、恵まれていると思います」


 その言葉に会場がざわついた。


「自主練習が中心で、顧問の山口先生も見守ってくれる。自分たちで練習時間を決めて、やりたいときに集まって、練習できる。オレ……僕たちにとって、部活動は本当に楽しいです」


 悠真はゆっくりと言葉を選びながら続けた。


「でも、他の部活を見ていると、それが『当たり前』じゃないとわかかります。部活動は自分を高める場であり、自主的に参加するのが本来の姿ではないでしょうか?」


 正確には、違う。


 悠真たち軽音楽部には、その代償として学業との両立があった。


 創部の際に条件として学校側から出されたのだ。


 その証拠に、悠真も祐介も、学年で10位以内に入るほどの実力である。


 しかし、この場でそれを言うべきではない。


 話がややこしくなるからだ。


 体育館内に静かな賛同の空気が広がった。


「テスト前には勉強の時間も必要だし、休日は家族や友人と過ごす時間も大切。部活動と他の活動のバランスが取れれば、より充実した学校生活になると思います」


 悠真が席に戻ると、体育館内に大きな拍手がわき起こる。


 校長は一度深く息を吸い、生徒たちを見渡した。


「皆さんの意見を真摯に受け止めます。教師陣とも協議し、部活動のあり方を見直す委員会を設置します。明日から連休になりますが、その間に各部の代表者を選出してください。連休明けに第一回の委員会を開きます」


 ここまで言って、校長はもう一度間を置いて生徒全員を見渡した。


「そして、明日からのゴールデンウィーク期間中の部活動は、全て自由参加とします。希望する生徒だけが参加する形式で行います」


 おおおおお!


 校長のこの言葉に、体育館内には喜びの声が広がった。



 


 全校集会が終わり、生徒たちが教室に戻る中、悠真の周りには美咲、凪咲、純美、礼子、菜々子、絵美が集まっていた。


「悠真、かっこ良かったよ!」


 純美が目を輝かせている。美咲と凪咲もうれしそうな表情だ。


「よくぞ言ってくれました♡」


 礼子も満面の笑みだ。


「そんなことないよ。みんなの気持ちを代弁しただけ」


 悠真は照れ隠しに、手帳を取り出した。


「それより、GWの予定を最終確認しておこうか」


 彼女たちの表情が一斉に明るくなる。


「ぶっちゃけ、サボりさえしなけりゃ、オレのバンド練習の都合はどーにでもなるよ。でもみんなは部活があるだろ? 佐世保にデートに行きたいけど、往復で6,000円以上かかるし。それに時間もかかるから、午前中や午後だけはもったいない。どうする?」


 悠真の問いかけに、美咲がパッと顔を輝かせた。


「部活、自由参加になったんだよ? ほとんど休みみたいなもんだよ!」


「そうそう! もう毎日でも悠真と会えるじゃん! どこだって行けるよ!」


 凪咲が興奮気味に続いた。


 純美は少し控えめに、しかし期待を込めた瞳で悠真を見つめる。


「うん、部活、大変だったもんね……。これで少し楽になるかな」


 礼子は柔らかな笑顔でうなずく。


「私は……うん、悠真がいいなら、何でもいいよ」


 実際は悠真の独占計画を練っていた礼子である。


 本当は悔しいはずだが、ここで異論を唱えれば、悠真の嫌いな『協調性のない女』になってしまう。


 もっとも、それは悠真がハーレムを保つために適当につけた言い訳だったが(他に女がいても文句を言わない女という意味)、当の本人である悠真は絶対に公言しない。


 菜々子と絵美も、うれしそうに悠真を見つめている。


「佐世保、行きた~い!」


 絵美が少しだけ身を乗り出して言った。


 菜々子も『うんうん!』と同意する。


 悠真はこの状況に内心でニヤリとした。


 くそ先輩の『反乱』で始まった部活動改革は、この上なく都合の良い追い風だったのだ。


 これで、彼女たちと会う時間、そして親密度を高める機会が飛躍的に増える。


 まさに、天恵とも言うべき状況だ。


 よし、まずは佐世保だな。


 イベント感もあるし、一日つぶせる。それに、前に凪咲と外泊したホテル新城もあるからな。悟君にも会えるし、バンドの件も話せる。一石何鳥だ?


 誰と行く?


 全員を連れて行くか?


 いや、それはさすがに修羅場になるだろう。グループ分けか? それとも一人ずつ順番に……。


 待て待て、1回で往復6,000円もかかるんだぞ。


 全員一緒に済ませればコスパがいい。


 ただでさえ大金なのに、6人分で36,000円なんて、中学生が簡単に出せるわけがない。それは美咲たちにとっても同じだ。


 悠真は頭の中で、複雑なスケジュールと人間関係のパズルを組み立てていた。全員を満足させつつ、自分の野望も着実に進める。それが彼の目標なのだ。


「佐世保、行きたいよな。でも、全員で行くのは……ちょっと大変かもしれない。みんなそれぞれ行きたい場所とか、やりたい計画とかあるだろ?」


 悠真はそう言いながら、手帳に目を落とすふりをして、彼女たちの反応をうかがった。


 美咲が真っ先に反応した。


「えー、なんで? みんなで行っても楽しいじゃん!」


「そうだよ、悠真。みんなで行こうよ!」


 純美も賛成する。しかし、凪咲は少し考えている。


「でも、みんなで行くと……(してもらえない! 抜いてもらえねえじゃねえか!)」


 これが悠真の心の声だ。


 気のせいかもしれないが、美咲の様子が少しだけ違っているのを悠真は感じた。


 もしかして、あえてみんなでデートして、自分のポジションを確認しようとしているのか?


 6人の中で自分が一番大切にされているかどうかを、目で確認したいっていう……。


 め・ん・ど・くせえ……!


 それが悠真の本音だったが、口が裂けても言えない。


「じゃ、じゃあGWは、そうだな……日曜日に全員で朝から佐世保でいいか? あとは、オレもバンド練習しないといけないから半日ずつね。みんなの部活の予定とオレの予定で調整しながらデートでいいか?」


 結局、連休中の日曜日に6人全員合同デートで、それ以降は月に1回1人ずつ。たまたまだが、計算すると年に2回の佐世保デートになった。


 他の日は1日かけても遠出はしない。今風(?)に言うと、お財布に優しいデートをしようって結論になったのだった。



 


 次回予告 第78話 (仮)『修羅場?』

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