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空と大地と、ゆめ色の星

作者: 逢乃 雫

風薫る街の


新樹光に


照らされた道で



ひと雨ごとに


夏めき色づく


紫陽花の花びら



薄紅と青の花が


寄り添い風に


ゆれながら



傍らにはオレンジの


カランコエの花



幾つもの星の花が


奏でる鮮やかな色




樹々の翠の波間に


太陽が沈みゆくとき



風にさゆらぐ


葉のささやきは



夕映えに打ち寄せる


夏の波音のように




ゆららかな翠の風に


煌めく麦の波



秋に蒔かれた種は


冬に芽を出し


春に翠に染まり



やがて黄金色に


実りゆくその色を


宿して空へと


駆け上がる


うしかい座の星




そよめく緑夜の風に


煌めく麦色の星



アークトゥルスは


五月雨星と呼ばれて



月不見(つきみずの)の空を照らし


天満つ月の夜にも


かすむことなく



情熱の輝きを


燈し続けながら




うしかい座の


もう一つの煌めき



オレンジと青の光


イザールは


寄り添う二重星



そしてアークトゥルスも


真珠星の(そら)へと


五万年の時を駆けて




空を眺めれば


たくさんの星々



その中にきっと


心に宿る光も



なかなか


みつからないものも


あるけれど



本当はたくさんの


答えがあって



自分でつくる


自分だけの


答えも、きっと




寒い冬に芽を出し


麦は踏まれながらも


より強く根を張るように



その根があるから


青麦から黄金色へと


実りを結ぶように



夢もまた


心の大地に育てながら



それがいつか


あたたかな光と


なりますように




大地の穂の波と


天へと駆け上がる星


そして


やがて明けていく空が


放つその色に、


瞳を焦がして




    












うしかい座のアークトゥルスは「熊の番人」の意味で、春から初夏の夜空高くに最も輝くオレンジの一等星です。麦の収穫や雨の時期と重なり「麦星」「五月雨星」とも呼ばれ、五万年後には、ともに「春の大三角」のおとめ座のスピカ(真珠星)の近くへ移動しているといわれます。


また、うしかい座のイザールは、オレンジと青の二重星で「プルケリマ」(ラテン語で「最も美しいもの」)と呼ばれます。


麦は、芽を出した後に踏まれること(麦踏み)でより強く成長するといわれ、青麦が初夏に黄金色に染まります。カランコエは小さな星形の花がオレンジや紅色に咲き、「幸せをつくる」などの花言葉があります。


夏めいていく自然をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、本当にありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] こんにちは。読みました。読んでいて、緑に印象を受けました。この詩における緑は、どちらかといえば濃いものなのではないでしょうか。夏は暑い時も涼しい時もありますが、何といっても緑の濃さが、緑の…
2023/06/23 17:02 退会済み
管理
[良い点] いつも思うのですが、物凄い知識量だと関心しています。ささすがにアークトゥルスは知っていましたが、イザールやプルケリマと呼ばれている事。あとカランコエの知りませんでした。 詩の感想でなくて…
[良い点] 風薫る新樹光に照らされた道に咲く 紫陽花が色鮮やかに咲いている 姿がぱっと浮かび上がってきました。 そのよこに咲くカランコエのオレンジが 印象的です。 月不見の空のしたでも咲いている …
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