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9月5日
会議です。
我が社もおちゃらけているようですが、そういう時もあります。
社長が深刻なオーラを出しながら、背中をこちらに向けて窓の外を眺めています。
「決断の時だ」
会社の運命を分けかねない、重大な決断の時。それを意味しています。
そう、ここ最近のもろもろにより、我が社にとってなくてはならないICRP20384という部品の調達がままならなくなってきています。
この部品の調達数=我が社の製品のトータル製造数
と言っても過言ではないほど、あらゆる製品に使用されている部品です。
「どの製品を維持し、どの製品を減らすか……だ」
「そんな悠長なことでは我が社は生き残れません!」
「というと?」
「主力製品一本に絞りましょう! あとは生産中止です」
どよめきが起きます。こんな大胆な意見を言うとは……。恐るべし北村君。
「そう『無限鼻毛抜き君』一本に!」
「いや、反対だ! それなら『無限かさぶたはがし君』にすべきだ!」
いやいや、ここはやはり新開発の『無限斉藤君首ちょんぱ君』でしょう……。