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十二月十三日

 十二月十三日


 斉藤君がいません。


 ベランダでひなたぼっこをさせていたらいつの間にか消えていました。

 斉藤君にガメラのような飛翔能力があるとは……


 自分から飛んでいったのであれば仕方ありません。

 これでエサ代・電気代が浮きます。老後も面倒を見る必要が無くなりました。

 早速水槽を捨てることにしましょう。

 次の粗大ゴミの日は……おや?


 チャイムが鳴り響きました。お客様とは珍しいことです。

 誰が来たのでしょう?


「802号室の宮島ですが」


 どうやらお隣さんのようです。

 彼は奥さんと二人で悠々自適の年金暮らし。二人のお子さんは独立して別のマンションに暮らしているとか……。

 趣味は刀剣収集。よく扉に『中野刀剣会 定例会会場』という看板が立てかけられていることから、この辺りでも有名で刀剣界ではカリスマ的存在なのかもしれません。

 私から見れば所詮マニア……いやオタクですが……。


 そんな方が一体私に何の用でしょうか?

 ま、まさか……勧誘でしょうか?

 刀剣なんて備前長船とか備前福岡くらいしか分かりません。勧誘されても困ります。


「こちらで、カメを飼っていませんか?」

「飼っていません」

 おっと、インターフォンのスイッチが入ってないことを良いことについ本音が……。

 しかし、何故知っているのでしょうか?

「実はウチのベランダにカメが迷い込んだのですが、こちらで飼われているのではと」

 どうやらベランダの仕切板の下をくぐって隣に行ったようです。


 チッ


 粗大ゴミの日を確認することを諦めて斉藤君を引き取りに伺うことにしました。


 宮島宅の扉を開くとそこは無限の剣製(アンリミテッド・ブレード・ワークス)の固有結界が展開中!


 玄関から太刀と脇差しの日本が飾られているのはもちろんのこと、奥にチラリと見えるリビングは壁一面の日本刀日本刀日本刀!


 なんとなく長刀や十文字槍も見えた気がしますがそれは気にしないことにします。

 そんなものは真田幸村のコスプレしている人に持たせておけばいいでしょう。


 斉藤君お帰り~。心配したんだよ。

 もう隣に行ったらダメだからね。


 おや? 斉藤君の右足が見当たりません。


 まさか、宮島さんが刀の切れ味を試すために……



 


 右足だけ引っ込めてやがりました。

 バカにしているのでしょうか?


 粗大ゴミは次の水曜日か……。


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