7月18日
フリーアクセスになって、隣り合わせになる人間が毎日違います。
げ。今日は企画一課の課長。
苦手なのです。
「なにぃ? 今日も休む、だとぅ?」
朝一から野太い声を聞かされてちょいぶるーです。
話の内容からすると、怪我をした部下が長いこと休んでいることに怒っているようです。
「大体だねぇ、僕が若い頃足に10針を縫う怪我をしたけど一日も休まなかったよ」
ほう。それは立派なことです。
しかし噂によると怪我をした彼は確かに2針程度ですが、目を強打したため、超がつくど近眼にも関わらずガーゼでメガネをかけることもままならないとか。
このため周りに迷惑をかけたくないからと休んでいるとのことです。
私も目が悪いので、よくわかります。
メガネがないと通勤途中でもっと重大な事故を起こすことでしょう。
仕事にならないどころか他人に迷惑かけること必至。
いっそ休んでもらったほうが会社のためです。
「新井君。それにねぇ。君が奥さんと商店街を歩いているのを見たよ」
ほっほう。怪我している部下を街中で見かけておきながら案ずる声をかけることなく、電話口で前に見かけたよ、ですか。
おっと、どうやら電話は終わったようです。
「ところで丸山課長補佐」
「はい」
「鷺宮君の問題はどうなっているのかね。良いかい? 部下の話はよく聞いてあげて理解してあげることが一番重要だよ」
なかなか良いこと言いますね。ここだけ聞けば良い上司です。
「それが……。どうも暴力団風の男に付き纏われているようでして。引っ越しを考えていると。今度一緒に食事でもしながら相談にのってあげ……」
「そんなのほっとけ!」
ナンデストー?
今フロアにいる人間全員の心の叫びが聞こえました。
あまりの衝撃に、斉藤君は登場しません。
え? いつもそうだというツッコミはなしですよ。