「子猫とバッタ」
学校からの帰り道 いつも通る道である
「あ 子猫だ・・・」
「何やってんだ?」
子猫はコンクリートの塀によじ登ろうとしていたが
半分くらいまで登れるのだが そこから上には登れず落っこちていた
「あー この塀の上に登りたいのか」
「ちょっと待て この塀に登れたとしても このチビは はたして降りれるのか?」
塀の両端を見てみた・・・ 向こうの方に木の枝が塀に覆いかぶさっているのが見える
「あの木の枝に移れば この塀の向こう側に降りれるな」
僕は子猫に近づいた・・・ 子猫は逃げなかった
塀によじ登るのが必死だったからか 僕に気づいていない
僕は ひょいと 子猫を塀の上に乗せてやった・・・
子猫は ちょっとびっくりしたようだが 塀の上に登れたので 満足そうな顔をしていた
そして僕の顔をじーっと見つめていた・・・
「僕が頼みもしない事をしたので 怒ったか?」
子猫のプライドを傷つけた?
子猫は 木の枝の方に向かって トコトコ歩き始めた
僕は 木の枝に子猫が飛び移るのを確認して その場を後にした・・・
あれから半月が経った頃・・・・
学校からの帰り道 いつも通る道
「あ 子猫だ・・・この前の子猫だ」
なんかちょっとだけ 大きくなっている様な気がした
しかも 塀の上に乗って こっちを見ていた
「あっ 登れるようになったんだ」
僕は子猫に近づいた・・・子猫は逃げなかった
「ん? なんかこのチビ真っ黒に汚れている」
もしかして この塀に登る練習でもしてたのか?
それと口に何か咥えている・・・
僕が 傍まで行くと 咥えていた物を 足もとに置き 手で僕の方に押し出そうとしている
何かしら? あー バッタだ
チビが捕まえたらしい・・・・
「これって 僕へのプレゼント?」
「この前のお礼なの?」
僕は ティッシュにバッタを包みポケットにしまった
真っ黒に汚れていたのは僕にあげるバッタを捕まえるため?
「もう チビだなんて言えないな 失礼だよね」
「ありがとう」と僕は子猫に行った
子猫は 得意げな表情をして 僕をみて 一言「ニャー」と言った
子猫と僕の奇妙な友情が芽生えた瞬間だった
そして 僕らはその場を離れた・・・
おしまい