生活の始まり
朝、いつものように町が起き始める前に起きるおっさんは、いつものようにポーションを作り、朝一で組合に換金し、家に戻り執務室で本を読んでいた。
日が出きって、町が騒がしくなるころに朝作っておいた朝食を食べようと、下の階へ行くと、紅炎の波の四人のリーダーのエルネスもちょうど部屋から出てきたので、二人は、雑談をしながら食堂へ向かった。
「やあ、昨日は、よく眠れたかい?」
内心ではかなり緊張しているアレクだったが、何とか普通を装って話しかけることができた。アレクに話しかけられたエルネスは、とっさに昨日のことを思い出し、アレクに女の子としてみてもらえるようにしようと考えながら返答した。
「みんな疲れちゃってたみたいですから、ぼ、私も結構眠っちゃって、いつもならもっと早いんですけどね」
やがて降りてきた二人は、皆は疲れているだろうからと二人だけの朝食を始めた。
静かでのどかな空位に包まエながらの二人だけの朝食は、あまりにも静かで心地よいものだった。
それとは裏腹に二人の内心は、とても騒がしく騒いでいた。
(早くだれか起きてくれ、二人だけじゃ何を話していいのかわからないから、静かになっちゃうじゃん)
とアレクは心の中で叫んでいたが、ある意味エルネスも内心がざわついていた。
(うわぁ、二人だけの朝食になっちゃった。なんかこんな風に静かに二人だけで食事してると、ふ、夫婦みたいだ、なんて、えへへへへ)
はたからではわからないとても騒がしい朝食だった。しかし、その時も終わりがちかずいた。
「ああ!エルネスが抜け駆けしてる、ちょっと何で起こしてくれなかったのよ!」
そう、朝から大きな声を上げていたのは、昨日一番に寝たエミルが言い放った。
「ち、違うよ、ただ僕はいつも道理に早く起きちゃって、みんな疲れてるだろうからって、起こさなかっただけだよ」
「ホントに~?まあ疲れていたからよく寝ちゃったけど、まあいっか、今日は許す」
そう言いながら席に着くエミルがふと思い出したかのように言った。
「そういえばさ、アレクは今何やってんの?一日中引きこもってるわけじゃないでしょ?」
その問いに当然のようにアレクは返した。
「いや普通に引きこもってるよ、本読んだりご飯食べたりして」
「マジ、アレクはぶれないね、よくそんな詰まんないことが続けられるよね」
あきれ気味に言いながら朝食を取り始めるエミルであった。
そんな中で次に起きてきたのが、クリスだった。
(おお、クリスか、男一人に対して女二人はきついからな)
そう思いながら、クリスに話しかけた。
「おはようクリス、さあさあ、朝食はできているから、顔を洗ってから隣に座っていいよ」
そして、賢者と四人の生活の一日目が始まったのだった。