田舎に到着
王都から遠く離れた自然豊かな都市、グランドキング。
そこに向かう馬車の列がなっていた。その中の一つの馬車に、Sランクパーティーの、紅炎の波は乗っていた。
彼らの目的は、田舎に引っ込んでしまった、自分らの師であるおっさん賢者、アレクに会う事だった。
「別に、皆おんなじ場所に行かなくてもいいのに」
エミールの言葉にいち早く三人同時に答えた。
「「「よくないよ!」」」
「何でよ、これって個人個人での休暇でしょ?しかも、四人全員で言ったらアレクさん困っちゃうわよ」
「確かにそうだな、ここは二人すつに分けて、次の休暇で交代すればいい」
「いやいや、自分だけ得しようとしないの、もしそうなったとしても、君が今回行く側にはならないのかもしれないよ?」
エルネスがそう言うと、知識袋のクリスはすまし顔で答えた。
「別に構わないよ。何故なら、そう仕向けることで、敵を少なくしアレクさんに誰がいいかを決めてもらえる」
「なるほど、いいんじゃないか?それでも、もう遅いがな。ほら、もうすぐ着くぞ」
ライアンがそう言いながら指をさした方向を見ると、町が見えてきていた。
田舎ではあるが、そこそこ栄えており、行商人の出入りがそこそこあった。
「思ったんだけどさエルネス、何でこんな田舎の町にこんなに行商人が来てるの?」
「この地にはですね、温泉が湧いてまして、その値段がどこよりも安く、畑業も多くを栽培していて、多くの農産物を納品しており、かなり条件のいい町なんですよ。まあ、田舎なのであまり来る人はいませんけどね、来るとしたら療養する人とか、小銭稼ぎの冒険者とか、王都での税収ができなくなった人の移住ですかね、まあそんなのめったにありませんけど」
「流石はパーティーの知識袋、クリスはほんとにいろんなことを知ってるな~」
そんな雑談をしながらも馬車は町へと向かっていく。
馬車の業者が「もうすぐですよ~」
という声を聴きながら、一行はグランドキングへ入っていくのだった。