Sランクパーティー田舎へ
少年四人達は王都の組合から出て、乗り合い馬車を探していた。
「やっと終わった。まったく、とても長く感じたよ。さて、乗り合い馬車を探しますか」
そう言いながら乗合馬車を待っている紅炎の波のリーダー、エルネスであった。
「ま、いいじゃん、これで私のおじさんに会えるんだし」
エルネスのつぶやきに答える魔導士、エミル。
「だれがお前のだ、彼は僕のだ。いつかプロポーズしてもらうんだ」
そういった盾役のライアン。
「まって下さい。アレクおじさんはみんなを平等に見ていました。故に、今一番成長が著しい僕が最も好かれることは明白な事実です。皆さん、諦めて下さい」
知識を優位ととるクリス。
「お前らはそればかりか、まったく。おっさんに好かれるのは僕と党の昔に決まっているのに」
エルネスがそう言い、みんなの殺気を浴びているが、まったく気にした様子もなく当然というような顔をしていた。
もう、お気づきだろう。彼らは、エミルを除き、男装した少女たちであった。故に、冒険者のパーティー同士での女性問題もなく、仲良く、たくましくやっていけるのだった。
しかし、当のおっさんは彼らが彼女らであることをまだ知らないでいた。知らぬが仏とは、よく言ったものだった。
「君たち、乗らないのかい?」
乗合馬車の業者に声を掛けられ、初めて馬車が来たことを知った四人の少年、いや、少女たちは、歯切れが悪く、不満そうな顔をしながらも馬車へと乗った。
「では、辺境の町、グランドキング都市行、しゅっぱーつ」
業者の号令で、馬車が動き出し、しばしの旅が始まった。
目指すは賢者の住む都市、グランドキング、王国の北に果てにある、森林と隣接した小さくも発展した都市だ。
その頃、賢者は手紙を受け取ったまま、中身を見ず、読書をしていたのだった。
彼らは進む、愛するおっさん賢者のもとへ。
当のおっさんは、おっさん賢者は、エミル以外は男だと思っているので、恋鵜を抱くのはエミルしかいないのだが、彼からすれば皆子供であるため、そのような感情は、なかった。今のところは。