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田舎に引っ込んだ賢者  作者: 梅雨川
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今の暮らし

朝、太陽が顔を出す前の、霧がまだ晴れぬ町の外れにある家から、あるおっさんが出てきた。

彼の名はアレク・テレジアス、賢者と呼ばれる男だった。見た目では、賢者とは言いがたく、髭は無造作に伸び、髪も長さに乱れがあり、お世辞にも綺麗とは言いがたかった。しかしながら、彼は綺麗好きという訳ではないが、多少綺麗にしていなければ、気が覚めない、珍しい性格を持っていたため、風呂には入っており、また、家も少なからず手入れがされている状態であった。

「今日の朝も、いい空気だな~」

のんびりと、欠伸をしながら言うおっさんの出てきた家は、貴族の屋敷程でもなく、かと言って、小さいわけでもなく、人間が何人入るかと言われると、20人は暮らせるほどの大きさである。

「さて、森に薬の材料でも取りに行きますか」

そう一人、呟き、今日も森へ薬草や魔石を取りに行くおっさん。もはや日課となりつつあった。

昼過ぎ、森から帰ってきたおっさんは、今日は、いつものように、薬草の調合を行って、ポーションを作っている。

「さて、そろそろかな~、よし、これで回復と増強のポーションは完成。」

もはや日課となったポーション作りを終え、ギルドまで売りに行く。売らなくとも生活には困らないのだが、暇潰しでもせっかく造ったものなので、売りにいきたくなったおっさんの、日課になっていた。

今の彼の暮らしでは、あまりに悠長で、賢者と呼ばれているのは、疑わしいほどだった。

しかし、彼は賢者である。

彼はそう呼ばれることを認めないでしょう。彼は賢者ではなく、英雄になりたかったのだから。しかし、既に物語は、動きだしていたのだった。

彼は待っているのかもしれません。賢者としてでも、勇者としてでもなく、英雄として頼られることを。

田舎に引っ込みながらも、心のどこかで願っていたのだろう。

いつか、自分だけしか出来ないことを成し遂げると、その思いを募らせ、その誇りを貫き通していたのかも知れませ。その心意気は、ある意味での、英雄である。

彼は、歴史にいる偉人と同じなのでしょう。彼は、歴史の人物の一人に過ぎないでしょう。それでも、彼は誇りをもって行動した、賢者としてとして残るでしょう。そんな前代に存在しなかった彼の、英雄になりたかった賢者の行く末など、誰にも分からないのだ。

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